金融庁が、未成年向けNISAの利用拡大を要望しました。教育資金などの準備を目的とする投資がしやすくなり、期待が高まっている一方で、親が陥りがちなリスクに注意が必要です。今回は「名義預金」や「贈与税」のリスクについて、知っておくべき注意点を解説します。
未成年向けNISAとは
金融庁は2025年8月に、2026年度の税制改正要望を公表しました。この中に、NISAの「つみたて投資枠」の対象年齢を引き下げ、未成年にも広げる要望が含まれています。
対象年齢を18歳未満に引き下げることで、すべての世代が長期の資産形成ができる環境づくりを狙いとしています。親にとっては、自分の口座だけでなく子どもの口座を開設できるため、高校や大学の進学などの教育資金の準備に役立ちます。
税制改正に関して政府や与党による議論が行われます。未成年向けNISAが実現するかは、2025年12月に発表される税制改正大綱で結論が出るでしょう。
親が押さえておきたい、名義預金や贈与税のリスク
未成年向けNISAに期待する方は多いですが、注意しないといけないポイントがいくつかあります。
贈与税対策
贈与税には、年間110万円の基礎控除があります。もし過去に存在したジュニアNISAと同じように年間80万円の非課税枠が設定された場合、1年間の入金額が80万円以内であれば、贈与税はかからない可能性が高いため、必ず確認しましょう。
また、未成年NISAの場合、親が子どものために資金を出すことになりますが、そのお金が「子どもの財産」であると税務署に認めてもらうことが重要です。このため、贈与契約書などを作成し、「いつ、誰が、誰に、いくら贈与したか」を明確に記録しておくことが有効です。
また、子ども本人への告知も必要です。小さな子どもに理解させるのは難しいですが、成長に合わせて「これはあなたの将来のために積み立てているお金だよ」と伝えましょう。
名義預金
「名義預金」とは、口座の名義人と、そのお金の真の所有者が異なる預金のことです。税務署からは贈与と認められず、親(資金の提供者)の財産とみなされるリスクがあります。未成年NISAでも同様のリスクがあるため、注意が必要です。
親が通帳や印鑑、キャッシュカードなどをすべて管理し、子どもが自由に引き出せない状態になっていると、名義預金とみなされやすくなります。口座管理の主体は子どもであると示せる状態にしておきましょう。とくに、そもそも子ども本人が口座の存在を知らない場合は、名義預金と判断される可能性が高まります。
お金の使途に関して、未成年NISAで運用した資金は、あくまで子どものためのものです。親が勝手に引き出して、親の生活費などに使ってしまうと、贈与が成立していないと判断される要因になるので注意しましょう。
教育と資産管理方法も重要になる
未成年NISAを適切に活用するには、子どもへの教育と資産管理方法も重要です。
子どもへの教育
未成年NISAは、子どもに金融や資産形成について学ばせる良い機会です。親が運用を代行する場合でも、何に投資しているのか、なぜ積み立てているのかなどを定期的に話し合うことで、子どもの金融リテラシー向上につながります。
過去のジュニアNISAでは、災害時などを除いて原則18歳まで払い出しができないという厳しい制限がありましたが、今回はそれが廃止される見通しであり、利便性が高まります。
子どもが安易に引き出してしまうことがないよう、家庭内で「どういう目的で使うお金か」を事前に話し合っておくことが大切です。
親自身の資産形成との区別
未成年NISAはあくまで「子どもの名義」の口座です。親自身の老後資金や教育資金とは明確に区別して管理し、子どものための資金として運用することが重要です。
何のための資産なのかを明確に決めることが重要
未成年NISAで問題になる原因は、親の資産と混同してしまうことです。完全に区別して管理する必要があるため、貯める目的をしっかり決めることが重要です。
子どもの高校の入学・授業料、大学の進学費用、子どもが社会人になったときの一人暮らしの初期費用など、何に使う資金なのかを、明確に決めましょう。


