4月のトランプショックで大きく下落した株式市場ですが、その後は回復が続いており、6月後半にはナスダック指数とSP500指数が年初来安値を更新しました。あわせて日経平均も高値を更新しています。米国は利下げを織り込む形で株高が続く可能性がありますが、国内株式市場は参院選と米国との関税交渉が株価の重石となる可能性が高まっています。
6月後半にナスダック指数とSP500指数が年初来高値を更新
株式市場は4月にトランプ関税ショックがあり大きく下落しました。その後は回復を見せたものの、日米ともに値動きが少なくなり、株式市場の動向が話題になることは少なくなりました。
しかし6月後半に入り、米株式市場の堅調さが報じられるようになりました。気付けばS&P500指数は6月26日に、ナスダック総合指数は27日に年初来高値を更新。ダウ平均は年初来高値を更新していないものの、6月後半は米株価の主要2指数が高値を更新しリスクオンが進みました。
日経平均も40,000円を回復し年初来高値を更新
ナスダック指数とSP500の年初来高値更新とともに、日経平均も6月26日から上昇が加速しました。そして27日には節目価格40,000円を回復。1月末以来、5ヵ月ぶりの40,000円回復です。そして6月30日は40,852円に至り、年初来高値を更新することに。日経平均は38,000円台で停滞していましたが、6月末の上昇により、国内でも株高が注目されるようになりました。
米国の弱いインフレと利下げを織り込む形で株高続く可能性
米株高が進んだ要因の1つは、米国のインフレの落ち着きです。コロナ禍後に急速に進んだインフレですが、米国では落ち着きが見られます。インフレ退治のためにFRBは高金利政策を維持してきましたが、インフレ一服で高金利政策を修正する余裕が生じています。
また、トランプ関税の影響が米国経済に影を落とし始めており、米経済指標は予想を下回るものも出ています。FRBの政策金利は4.50%(上限)まで上げられていますが、インフレが落ち着きを見せており、景気後退の際は遠慮無く利下げが可能な状態です。
これまでインフレが進む中で、景気が後退してもFRBは利下げに踏み切れないのではないか、との懸念がありました。しかし足元の状況はその懸念を払拭しつつあり、FRBによる今後の利下げを織り込む形で、リスクオンの株高が続く可能性があります。
第1次トランプ政権時の株高・ドル高とは違い、ドル安が進む
第1次トランプ政権時は株高・ドル高が進みました。第2次トランプ政権下においても、4月にトランプ関税ショックがあったものの、株価はまずまず順調な推移を見せています。しかしドル安が進んでいます。ドルインデックス(ドルの他通貨に対する相対的な強さを表す)を見ると、2027年1月の第2次トランプ政権発足以降、1月の横ばいを除くと2月以降はほぼ下落が続いており、6月は年初来安値を更新しました。
ドルが反発すると、第1次トランプ政権の際と同様に株高・ドル高が進む可能性があります。今後、株高・ドル高に向かうか、このままドル安が進む中でも株高が続くか注目されます。
参院選や米国との関税交渉があり日経平均の伸びは限定的か?
日経平均も40,000円を回復するなど堅調に推移しましたが、更なる上昇には国内要因では力不足の可能性も。配当や株主総会などの材料は6月で一巡しました。また円安も株高要因ですが、足元のドル円相場は143~144円台で円安は一服。そして米国との関税交渉は難航中のようです。本件は円売り要因ですが、株売り要因ともなります。また7月20日に控える参院選では与党の苦戦が予想されています。
上記から国内株式市場は上昇には材料不足の状態です。日米株式市場は連動するケースが多いため、米株式市場の上昇とともに日経平均も上昇する可能性はあります。ただし関税交渉に加えて参院選があり、今のタイミングで投資家はポジションを買いに傾けるのは難しいと言えます。
6月後半から進んだ日米の株式市場の上昇ですが、7月に入り特に国内は落ち着きを見せています。今後については、ダウ平均も高値更新をするなど、米株式市場の上昇の勢いが続くかが注目点です。一方、国内株式市場を見る上では、米国市場の行方に加えて、米国との関税交渉と参院選の行方が注目点と言えるでしょう。