「ワーゲンバス」として親しまれたフォルクスワーゲン「タイプ2」の伝統を引き継ぐ電気自動車(EV)「ID. Buzz」が日本で発売となった。価格は標準タイプが888.9万円、ホイールベースの長いタイプが997.9万円。出荷開始は2025年7月以降の予定だ。
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フォルクスワーゲンが1945年に量産を開始したのが「タイプ1」(ビートル)、1950年に作り始めたのが「ワーゲンバス」こと「タイプ2」(写真)だ。「ID. Buzz」はVシェイプの顔つきや特大のVWロゴ、2トーンカラーなど、タイプ2のヘリテージをさまざまな面で引き継いでいる
日本で買えるグレードは?
ID. Buzzはドイツのハノーバーにあるフォルクスワーゲン商用車部門の工場で生産。欧州では2022年に発売し、その後はアメリカ、豪州、シンガポールなどに販路を広げた。
日本で発売となるのは、ノーマルホイールベース仕様の「Pro」とロングホイールベース仕様の「Pro Long Wheelbase」の2グレード。ボディサイズは「Pro」が全長4,715mm、全幅1,985mm、全高1,925mm、ホイールベース2,990mm、「Pro Long Wheelbase」は全長とホイールベースが+250mmとなる。「Pro」は2+2+2のレイアウトで6人乗り、「Pro Long Wheelbase」は2列目シートが3人掛けで7人乗りだ。3列目シートは脱着可能で車内のアレンジは多彩であるとのこと。ロングホイールベースの荷室積載量は最大2,469リットルに達する。
バッテリー容量は「Pro」が84kWh、「Pro Long Wheelbase」が91kWh、一充電走行距離(WLTCモード)は「Pro」が524km、「Pro Long Wheelbase」が554km。ID. Buzzは「Pro Long Wheelbase」で車両重量2.7トン超と重いクルマだが、駆動用モーターは最高出力210kW(286ps)、最大トルク560Nmと強力なので、加速は良好だという。
ミニバン大国の日本で売れる?
ミニバン大国の日本にあって、EVの選択肢としてはおそらく唯一となる「ID. Buzz」だが、はたして売れるのだろうか。フォルクスワーゲン ジャパンの人に聞いてみると、「使い方がライフスタイルに会う人にはバッチリなクルマ」であるとのことだった。重いクルマで風の抵抗もある程度は受けるため、長距離移動ばかりという人は一充電走行距離の問題で厳しいかもしれないが、例えば荷室にサーフボードを積んで海に出掛ける人であったり、犬などのペットと一緒にクルマで外出する人にはオススメしたいそうだ。
EVはエンジン由来の音と振動がないので静かに走れる。重いバッテリーをクルマの床下に積んでいるので低重心になり、乗り味も良好だ。神経質な犬でも、このクルマなら案外、快適に過ごしてくれるかもしれない。
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内装色は4色あって、ボディカラーによっては組み合わせられる色が決まっている。黄色と白の2トーンには写真のグレー内装のみ組み合わせ可能だという。もともとあった黄色のシートはグローバルで設定廃止となってしまったそうだ
すでにテスト走行を行ったという前出のフォルクスワーゲン ジャパン担当者によると、ID. Buzzに乗れば「今までのミニバンとは違う」乗り味を楽しめるはず、とのこと。意外にも「かっちり」した足回りで、背の高いクルマであるにもかかわらず「ロール」も抑えられているそうだ。