この記事では、マネジメント、コミュニケーション研修講師として、階層別教育、プレゼンテーション、話し方などの分野で年間120回以上の講演を行っている濱田秀彦氏の新著『仕事で伝えることになったら読む本』(アルク刊)より、一部を抜粋して紹介します。今回のテーマは「報告と連絡の違いが説明できない」。
報告と連絡の違いが説明できない
先日、職場に配属された新入社員から「報告と連絡はどう違うのですか?」と質問された際、言葉に詰まってしまい、恥ずかしい思いをしました。どのように説明すればよかったのでしょうか。
先輩社員として、新入社員にきちんと答えられなかったのは悔しかったでしょうが、本人は説明できなくても仕事に支障はないはずです。なぜなら、感覚的に使い分けているからです。例えば、お客様に「報告ありがとうございました」という言い方はしないでしょう。それは、「報告は上方向にするもの」ということが、感覚的にわかっているからです。
ただ、教えるとなると、しっかり言葉にして説明できなくてはなりません。改めて両者の違いを、並べて考えてみましょう。
- 報告「仕事の発注者(上方向)に対する情報提供サービス」
- 連絡「仕事を前に進めるために、横方向に対して行う情報共有活動」
大きな違いは3つあります。それは、目的、方向、ゴールです。それぞれ解説します。
報告の目的は「発注者に対するサービス提供」、それに対して連絡の目的は「仕事を前に進める」ことです。
方向としては、報告が上司、顧客など上の立場の相手向けなのに対し、連絡は横方向であるという違いがあります。
ゴールは、報告が「相手の満足」であることに対し、連絡は「情報共有」という点で異なります。
この3つが大きな違いなのですが、他にも報告は相手が1名または少人数であることが多く、連絡は大人数に向けて行うことがある、という違いもあります。
こうしてみると、報告と連絡の違いが見えてきますが、両者には共通点もあります。それは、どちらも「発信」というアクションがメインである点です。そこだけに注目すると、「同じようなもの」という考えになってしまいますので、「発信という共通点はあるものの、目的、方向、ゴールの3点が異なる」と理解してください。
これで、自信を持って新入社員に説明できるでしょう。
『仕事で伝えることになったら読む本』(濱田 秀彦/アルク)
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