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スーパーカー時代の開拓者! ランボルギーニ「ミウラ」の落札額は3億円超?

MAY. 07, 2025 11:00
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1960年代、自動車業界に衝撃を与え、「スーパーカー」という新たなジャンルを切り拓いたランボルギーニ「ミウラ」。今回はミウラというクルマを「技術」「デザイン」「価値」の側面から振り返り、気になる近年の落札額についても見ていきます。

  • ランボルギーニ「ミウラ」

    ランボルギーニ「ミウラP400」(本稿の写真は撮影:AND OWNERS)

スーパーカーの象徴が生まれたワケ

第二次世界大戦後の復興とともに、自動車の生産台数が飛躍的に伸びた1960年代。自動車産業は大きな変革期を迎えていました。

当時、圧倒的な存在感を誇っていた自動車メーカーは「フェラーリ」です。

カーコレクターでもあったランボルギーニ創業者のフェルッチオ・ランボルギーニ(1916 - 1993)は、所有していたフェラーリ車の扱いにくさに不満を抱き、「もっと優れた車を作る」と決意して1963年に会社を設立。すでに地位を確立していたフェラーリのブランド力に果敢に挑んだ結果、誕生したのがミウラというクルマです。

ミウラを「未来の車」にしたミッドシップ

1965年の「トリノ・オートショー」でランボルギーニは、シャシー(自動車の骨格を形成するフレーム)のみのコンセプトモデル「TP400」を発表します。そのとき、自動車業界に衝撃が走りました。なぜなら、TP400がV型12気筒エンジンを「横置きミッドシップ」で搭載していたからです。

当時、高性能車の多くはフロントエンジンを採用していましたが、ミウラはエンジンを車体中央に横向きに配置。シャシーの軽量化と合わせて重量バランスを最適化し、優れたハンドリング性能とダイレクトな操作感を実現しようとしたのです。

  • ランボルギーニ「ミウラ」

ミウラが搭載する3,929ccのV型12気筒エンジンは350馬力を発揮しました。滑らかな高回転性能が生み出す力強い加速感と独特の咆哮を響かせるエンジン音は、ドライバーに高揚感を与え、新しい走行体験を提供しました。

  • ランボルギーニ「ミウラ」
  • ランボルギーニ「ミウラ」

当時、すでに公道用のミッドシップは市販されていましたが、どれも小型でした。そもそも、大排気量のV12エンジンを扱っているメーカー自体も、フェラーリかランボルギーニの2択という世界だったのです。つまり、ランボルギーニは設立後、わずか数年でフェラーリと同じステージに立っていたということです。

1966年の「ジュネーブ・モーターショー」では、ついにボディを架装した「ミウラP400」を発表します。想定以上のオーダーが殺到したため、翌年には市販車の製造を開始しました。こうしてミウラは、これまで開発が難しかったV12エンジンを横置きミッドシップで搭載した初の市販車となり、一大センセーションを巻き起こしたのです。

巨匠・ガンディーニのランボデビュー作

ミウラの洗練されたデザインを手掛けたのは、イタリアのデザイナー、マルチェロ・ガンディーニ(1938-2024)です。

1965年に27歳で「ベルトーネ」(車のデザインや設計などをするイタリアの工業デザイン会社)に入社したガンディー二は、その才能と豊かな発想力が認められチーフに就任します。翌年に発表したミウラは同社で初めて手がけたプロジェクトとなり、この抜擢は彼のキャリアを大きく押し上げる転機になりました。

その後も「カウンタック」や「ディアブロ」、ランチア「ストラトス」など、数々の名車を世に送り出し、「巨匠」や「天才」と呼ばれるようになったガンディーニ。晩年にはその功績が讃えられ、トリノ工科大学から機械工学の名誉学位が授与されます。そんな名デザイナーの手によって、ミウラは誕生したのです。

  • ランボルギーニ「ミウラ」

ミウラを生み出したデザイン哲学

彼のデザイン哲学は「美しさと技術の融合」にあります。単なる外観の美しさにとどまらず、クルマ全体の一体感を重視するという考え方でした。ミウラも随所に彼の哲学が感じられます。

まず、見る者を魅了するミウラの流れるような曲線と低い車高は、美しさを追求すると同時に、エアロダイナミクスを考慮した結果として生まれました。フロントからリアにかけての滑らかなラインは空気抵抗を軽減しつつ、スピード感を視覚的にも強調する狙いがあります。

  • ランボルギーニ「ミウラ」

さらに、彼はミウラに「物語性」を持たせることにも成功しました。たとえば、フロント部分の開口部やライトの配置は猛獣を思わせる迫力を持ち、見る人に強烈な印象を与えます。ミウラの名前の由来がスペインの闘牛牧場であることからも納得のデザインでしょう。

フロントで力強さを演出する一方、リアエンドの曲線はしなやかさを生み出し、クルマ全体に調和をもたらしています。また、アイラッシュを備えた大胆なヘッドライトやラグジュアリーな内装も含め、惚れ惚れするデザインはまるで彫刻作品のようです。

  • ランボルギーニ「ミウラ」
  • ランボルギーニ「ミウラ」

自動車を単なる移動手段から「走るアート」へと昇華させる彼の独創的なアプローチと卓越したセンスによって、ミウラは単なる高性能車ではなく、自動車業界を象徴する「アート」として評価されるようになりました。

オークションは右肩上がりに上昇中

ランボルギーニはミウラの改良を重ね、「P400S」「P400SV」とよりパワーアップしたモデルを発表していきましたが、自動車ファンのコレクション欲を最も強く駆り立てるのは、やはり初期型モデルのP400です。P400は業界に革命を起こした歴史も含めて、ファン垂涎の価値あるコレクターズアイテムなのです。

オークション市場における評価は車両の状態によって異なります。例えばオリジナルパーツが保たれているかどうか、あるいは工場出荷時と同等の状態までレストアされているかどうかといったコンディションが、落札価格を左右します。さらに、走行距離や来歴などいくつかの基準が存在するため、同じモデル内でも当然、価格の差が発生します。

  • ランボルギーニ「ミウラ」

過去10年の推移を見ると、ミウラの落札価格は緩やかな右肩上がりとなっています。意外なことに、ミウラが数百万ドル単位で売買されるようになったのは比較的最近です(P400に関しては2021年頃から。日本円で約1.2億円)。2024年8月の「ペブルビーチオークション」では、完璧なレストアが施されたP400が約3.4億円(オークション開催日のレートで計算)で落札されて話題を呼びました。

2024年10月には、長くガレージに入ったままだったボロボロのP400(砂だらけでボディにへこみあり)がジャンクとして売り出され、約2億円で落札された事例もあります(“ジャンク”のため上表からは除外)。それほどまでに「欲しい」と思わせる価値を持っているのがミウラなのです。

世界一のコンクールで受賞歴あり!

カリフォルニア州で開催される「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」は、各国から戦前・戦後のクルマが集まり、コンディションや歴史などを競い合うコンクールです。

コレクターたちは世界で最も権威があるとされる同コンクールへの参加を夢見て、多額の費用をかけて愛車をメンテナンスするほど。つまり、これに出ることが車両の経歴に箔をつけることにもなるのです。

2023年には、1968年式のP400が「チャールズ・A・シェイン・トロフィー」(1978年に創設された賞で、その時代で最も先進的なエンジニアリングを誇るクルマに贈られる)を受賞しました。また、2019年には特別に、「ランボルギーニ・ミウラ・クラス」が設けられたこともあります。登場から半世紀以上が経った今もなお、ミウラは高く評価されているのです。

コレクターたちはミウラをただの車ではなく、「後世に残すべき遺産」として捉えています。ミウラを所有することは、色褪せない歴史を所有することなのです。その歴史を所有することで生まれる喜びや満足感は、いつに時代になっても人々を魅了し、時代を超えた永遠の名車として、その地位を不動のものにしています。

& OWNERSで取扱中の「ミウラP400」はこちらからご覧ください。

監修: 株式会社AND OWNERS(https://and-owners.jp/)

株式会社AND OWNERS」は株式会社サイバーエージェント代表取締役 藤田晋氏が手掛ける「藤田ファンド」やGMOインターネットグループ株式会社らからの資金調達を経て、「テクノロジーで、アートと社会を結び、拓く。」をビジョンとして2018年に創業。2019年、アートの共同保有プラットフォームサービス「ANDART」の提供を開始し、2023年11月に東証プライム上場の株式会社FPGの80%子会社として参画。同サービス提供開始から5周年となる2024年7月16日付で共同保有の対象実物資産をアート作品以外に拡げるサービスリニューアルを実施し、社名を「AND ART(アンドアート)」から「AND OWNERS(アンドオーナーズ)」へ、同サービスの名称を「&OWNERS」へと変更。同時に総額約4億円のランボルギーニの取扱いを開始。また、アート作品と自動車の売買および仲介のアドバイザリー事業 「AND OWNERS CONCIERGE」(旧「ANDART CONCIERGE」)や最新のアート市場動向などを発信するWebメディアなど、複数のサービスを通して日本のアートリテラシーの向上とマーケットの活性化を目指す。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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