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雪上でボルボ「EX30」に乗ったら往年の「240」「940」を思い出した…その理由は?

APR. 03, 2025 08:00
Text : 森口将之
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雪の上でEX30を走らせると、このクルマが北欧生まれであることがはっきりと実感できた。

  • ボルボ「EX30」

    ボルボ「EX30」で雪の妙高を走ってみた

後輪駆動で雪道を安全に走れるのか

ボルボは「EX30」の日本導入を2023年11月に発表し、2024年2月にデリバリーを開始した。つまり、昨年はフルイヤーで販売していたわけではないのだが、それでも販売台数は1,702台とステーションワゴンの「V60」に近い数字を記録した。

日本で昨年販売されたプレミアムブランドのEVを車種別に見ると、この数字はテスラの「モデルY」「モデル3」に続く第3位になる。まずは順調なスタートを切ったと判断して良いだろう。

コンパクトなSUVということもあって、都市部のユーザーをターゲットにしていることは明らかで、導入直後の報道関係者向け試乗会は東京都内で行われた。ところが、今回の試乗会は銀世界が舞台だった。

  • ボルボ「EX30」

    ボルボなら銀世界もお手のもの?

ボルボはご存知のとおり、北欧スウェーデンのブランドなので、雪道はお手のものと言えそうだが、現在は中国ジーリー(吉利)グループに属しており、EX30は中国で生産されているという現実もある。

さらに今回の試乗車は、後席背後にモーターを積み後輪を駆動する「後輪駆動車」だ。欧州では前後にモーターを積んだ4WDを発売済みで、アウトドアテイストを強調した「EX30クロスカントリー」ともども日本への導入を予定しているが、今のところ日本でEX30の4WDは選べない。

エンジン車のミッドシップやリアエンジンというと、加速時は駆動輪に重さが掛かるので雪道には強いほうだが、コーナーでスピードを出しすぎたと思ってアクセルを急に戻すと荷重が抜け、重いリアが一気に外に振り出されるという気難しい一面も持つ。

EVの緻密な力の出し方は雪道でも確実にプラスに働くと思うけれど、こうしたバックグラウンドを含めて考えると、北欧ブランドにふさわしい雪上性能を発揮してくれるのか、予想がつかないまま試乗に臨むことになった。

かつての後輪駆動ボルボを思わせる足さばき

試乗会の起点は新潟県の北陸新幹線上越妙高駅。筆者は上越高田IC(インターチェンジ)から高速道路に乗って妙高高原ICで降り、市街地やスキー場の周辺を含めた一般道を走ったあと、国道18号で戻るというプランを立て、走り始めた。

  • ボルボ「EX30」

    まずは上信越自動車道で妙高高原へ向かった

最初に感じたのは、穏やかな乗り味とおおらかな走り味だった。上信越道までの道路は除雪が行き届いていたものの、路面がチェーンで削られたりして、アスファルトに小さな穴が開いたりしているところもある。でもEX30はそこをやんわりと、しかも進路を乱すことなく通過していった。

このキャラクター、エンジン車のボルボでは、最近の横置きエンジン前輪駆動の車種よりも、1990年代に販売終了となった縦置きエンジン後輪駆動の「240」「940」などに似ている。それらとはボディサイズもパワーユニットも違うEX30が、その頃のボルボを思わせるテイストを備えていたことが嬉しかった。

高速道路では、標高が高くなるにつれて雪が降り続くようになり、路面はいつしか圧雪状態になった。しかしACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やレーンキープアシストをセットすると、問題なく作動した。

  • ボルボ「EX30」

    ステアリングスイッチはわかりやすかった

反応は穏やかで、こうした状況でも安心して使うことができた。さらに、除雪による雪壁で路肩が狭くなっているところなどでは、無理に走行位置をキープせず、柔軟に対処するという配慮までしてくれた。人に優しい安全思想がボルボらしい。

直進安定性については、多くの人が普段乗る前輪駆動車に比べると、ステアリングの座りや、切ったあとの直進への戻りなどが違うと感じるかもしれないが、筆者は普段乗っているリアエンジンのルノー「トゥインゴ」と似た感触だったので気にならず。直進性自体は、80km/hくらいまではまったく問題なかった。

今回は充電しなかったが、途中のサービスエリアには急速充電ステーションがあり、全国的に充電ネットワークが広がっていることも確認できた。

  • ボルボ「EX30」

    サービスエリアの急速充電設備

  • ボルボ「EX30」

    フロントの収納スペースは充電コード格納に便利

ボルボのEVならではの操縦安定性を実感

高速道路を降りて、まずは妙高高原駅周辺の市街地にクルマを進めた。こうした場所では、ボディがコンパクトであるうえに、見切りがしやすいスタイリングであることがありがたく、狭い道にも自信を持って入っていけた。

続いて西側にそびえる妙高山麓を目指す。筆者はスキーをしないのでゲレンデには詳しくないが、「赤倉」という特徴的な地名はスキー場と温泉地で有名だと見たことがあったので、そちらにノーズを向けた。

かなりの上り勾配が連続したが、停止しない限りでは走りに問題はなく、EVならではの緻密なトルク制御のおかげもあって、上り坂では荷重が駆動輪にかかるリアモーターは有利だと教えられた。

でも、スキー場の駐車場で一度停止したら、再発進は無理だった。4WDとの違いを実感したが、車体を勾配に対して水平にすることで、難なく脱出できた。こういうシーンでは、SUVならではの175mmという余裕のある最低地上高がありがたいとも思った。

  • ボルボ「EX30」

    十分な最低地上高もありがたい

空いている場所で、ステアリングを切ったままアクセルを大きめに開け閉めしてみた。昔のリアエンジン車であれば、制御不能になってしまう可能性もある。ところがEX30は、最初にヌルッという感触を伝えるだけで、その後はモーターにきめ細かい制御が入るのだろう、安定した姿勢のまま回っていった。これなら安心だ。

スキー場からの下り坂の連続では、「ワンペダルドライブ」のモードが重宝した。不意にフットブレーキを踏むとスピンする恐れもある中、急な下り坂もブレーキペダルを踏まず、唐突ではないのに強力な回生ブレーキに頼ってクリアすることができた。

帰りの国道は除雪が行き届いていたので、少しホッとしながらのドライブ。そこで気づいたのはデザインのすばらしさだった。

  • ボルボ「EX30」

    国道18号線は除雪が行き届いていた

エクステリアは前述したように見切りがしやすく、視界も不満がない。インテリアはシンプルなので、気持ちをわずらわせることがなく、運転に集中できる。インパネ中央の大きなタッチパネルが手袋をしたままでも扱えるのは、良き伝統どおりだった。

  • ボルボ「EX30」

    シンプルなデザインが安全につながる

それ以外にも、ステアリングのスイッチからセンターアームレストのカップホルダーまで、あらゆる部分がスマートに造形されていて、スマートに使いこなせる。こういう場面で大切なシートとステアリングのヒーターの扱いやすさも印象に残った。

  • ボルボ「EX30」

    シートとステアリングのヒーターの操作系

走りだけでなくデザインまで、雪道を想定していることがわかった。最新のEVにも、ボルボの安全思想はしっかり息づいていた。


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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