日本も2024年に金利のある世界に戻りました。2025年1月には追加で利上げも行われた結果、定期預金の人気が回復しているようです。ただし、定期預金同様の商品性を持ち、金利も高い個人向け国債という選択肢もあります。
こちらの記事では定期預金と個人向け国債を比較してみました。
金利のある世界に戻り日本も金利でお金が増える世界に
失われた30年間の日本は低金利及びマイナス金利政策が採用され、銀行預金などの金利収入でお金が増える時代ではありませでした。しかし2024年にゼロ金利政策の解除と利上げ、2025年1月には追加利上げが行われ、日本も金利でお金が増える世界に戻ったと言えるでしょう。
改めて定期預金に注目が集まる
日本人は銀行預金が好き、という話を以前よく耳にしました。ただし低金利の時代が長く続き、使わないお金を自宅に置くよりは銀行に預けたほうが安全、と言う程度の認識となっていました。
しかし日本も金利のある世界に戻り、改めて定期預金が注目を集めています。日本人が持つ1,000兆円を超える個人資産の多くは、投資信託などのリスク性のある金融商品に向かわず、定期預金に向かう可能性も。
実際に、キャンペーンで特別金利を提示する銀行の定期預金には顧客が殺到している、と報じられています。日本人の銀行預金好きは、長い低金利時代を経ても変化していない可能性もあります。
現在は金利が高い個人向け国債という選択肢もある
失われた30年で様々な金融商品が誕生しました。その中で2003年には、個人でも簡単に国債へ投資できる個人向け国債の販売がスタートしています(当初は変動10年債のみ)。
個人が購入可能な国債としては新窓販国債もありますが、新窓販国債は専用の口座を用意する必要があるなど、投資に若干ハードルがあります。一方、個人向け国債はネット証券で株式や投資信託と同様の手続きで購入できるため、個人投資家の購入ハードルが非常に低い金融商品です。
定期預金と個人向け国債の比較
定期預金と個人向け国債について以下で比較を行いました。
銀行の個人定期預金は1,000万円までは預金保険の対象であり、ノーリスクで利息が得られます。ただし個人向け国債も日本政府が財政破綻しない限りはリスクがありません。
日本政府の財政状況は厳しいものの、3年や5年で財政破綻するとは考えられないので、リスクは非常に低いと言ってよいでしょう。また1年経過後は、原則いつでも投資元本に換金可能です。
個人向け国債は1年経過するまで換金できない、期間が3年・5年・10年の3種類しかない、という面があります。
ただし定期預金に比べ、決定的にリスクが高い・使い勝手が悪い、という部分はありません。金融商品の内容としては、銀行の定期預金と個人向け国債は似ていると言ってよいでしょう。
銀行の定期預金と個人向け国債の金利を比較
銀行の定期預金と個人向け国債の金利を比較してみましょう(金利はいずれも税引前)。
- 個人向け国債(2025年3月募集)
・10年変動金利 0.92%
・5年固定金利 1.03%
・3年固定金利 0.87%
- 定期預金(メガバンク3行、2025年3月上旬時点)
・10年 0.500%
・5年 0.400%
・3年 0.350%
個人向け国債は10年ものが変動金利ながら、0.92%(2025年3月の募集)と定期預金の0.500%に比べ2倍近くで設定されています。3年、5年債なら2倍以上です。個人向け国債は購入後1年換金できませんが、1年以上使う予定のない余剰資金であれば、個人向け国債は元本割れのリスクもほぼなく定期預金の約2倍の金利収入を得られます。
1年定期で1%前後の定期預金を提供する銀行も
銀行の中には、定期預金獲得のキャンペーンを行う銀行もあります。それらの銀行は1年定期で1%前後の金利としている銀行も少なくありません。例えば、ネット銀行のauじぶん銀行は新規口座開設者向けに1%のキャンペーン金利(1年もの)で預金集めをしています。
このためキャンペーン金利を提供する銀行を利用すれば、通常の銀行の定期預金はもとより、個人向け国債よりも高い金利収入が得られます。ただしキャンペーン金利であり、いずれキャンペーンは終わります。その際はメガバンク並みの預金金利になるのが通常です。
個人向け国債という選択肢を知ろう
個人向け国債の金利は毎月決定されますが、銀行預金に比べると、高い金利で設定されることがほとんどです。低金利時代の個人向け国債は、それほど注目される存在ではありませんでした。しかし定期預金と商品性に大きな差がなく定期預金より高い金利収入が得られる個人向け国債は、お金の預け先として定期預金と同等の選択肢となり得ます。
個人向け国債は、ネット証券で株式や投資信託と同様に簡単な手続きで購入可能です。キャンペーン金利で高い金利が設定されている定期預金が人気を集めていますが、個人向け国債も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。