2024年のゼロ金利解除と利上げの後、2025年も1月に利上げが行われ、日本も金利のある世界に戻りました。金利のある世界に戻るとともに、定期的に金利収入が得られる国債への投資に興味を持つ個人投資家も増えているようです。しかし通常の国債市場はプロの機関投資家中心の市場であり、個人投資家にはハードルが高いと言えます。こちらの記事では個人投資家でも投資できる国債について解説します。
金利のある世界が復活
銀行にお金を預けておけば金利で増える、という話は教科書などでは目にする機会があるものの、実際に銀行預金でお金が増える実感を持っている方は日本にほとんどいません。失われた30年と言われた経済低迷により、日本は低金利政策そしてゼロ金利政策が行われました。その結果、銀行にお金を預けても貰える利息は雀の涙、という状態が長く続きました。
しかし2024年3月に日銀はマイナス金利を解除して、7月に利上げを行いました。これにより2024年に日本も金利のある世界が戻っています。また2025年1月にも更なる利上げが行われ政策金利は0.5%となり、長く意識されることのなかった金利が日本でも意識されるようになっています。
金利上昇で注目を集める国債とは?
金利のある世界が復活して、日本でも"国債"という言葉を耳にする機会が増えました。国債は国の借金です。ただし投資家は国債の保有により、銀行預金のように定期的な金利収入が得られます。金利のある世界が戻り、国債も投資家から注目を集めつつあります。ただし国債市場は機関投資家中心で、億円単位の巨額資金が動くプロ向けの市場です。
しかし個人でも簡単に投資できる国債もあります。それが(1)新窓販国債(新型窓口販売方式国債)と(2)個人向け国債です。
新型窓口販売方式国債について
新型窓口販売方式国債は以下の3種類があります。
- 10年固定利付国債(25年2月表面利率1.2%)
- 5年固定利付国債(同1.0%)
- 2年固定利付国債(同0.7%)
※金利はいずれも税引前
3種類いずれも毎月募集がなされており、月初から半ばに発行されます。5万円単位で購入でき、金利は市場実勢に基づき決定されます(利払いは年2回)。また市場価格でいつでも売却できるものの、売却損益が生じる可能性もあります。
新型窓口販売方式国債は全国の銀行や郵便局などの窓口で購入できます。しかし国債専用の口座を用意する必要があるなど、ネットで簡単に投資できる株式や投資信託に比べると投資にハードルのある金融商品です.
個人向け国債について
個人投資家が簡単に投資できる国債といえば個人向け国債が有名です。こちらも以下の3種類があります。
- 変動金利型10年満期(25年3月表面利率0.92%)
- 固定金利型5年満期(同1.03%)
- 固定金利型3年満期(同0.87%)
※金利はいずれも税引前
個人向け国債も毎月発行されています。個人向けの10年国債は変動金利となりますが、5年債と3年債は固定金利です。なお、1万円単位で購入可能です。
個人向け国債の大きな特徴は、発行後1年は売却できないものの1年経過後は投資簿価で国の買取により途中換金が可能な点です。そのため、価格変動リスクのある新型窓口販売方式国債に比べ、金利が若干下回っています。
個人向け国債はネット証券でも簡単に買える
債券は機関投資家中心の市場であり、今でも個人投資家が債券投資を行うための環境は株式などに比べると一歩遅れています。しかし個人向け国債なら、ネット証券経由で株式や投資信託と同様の手続きで簡単に購入可能です。実際にSBI証券、楽天証券などは通常の取引画面から3種類の個人向け国債を購入できます。
定期預金に加えて個人向け国債という選択肢も
新型窓口販売方式国債は専用口座を開設するなど投資のハードルがありますが、個人向け国債はネット証券に口座があれば簡単に投資できる金融商品です。
これまでの金利のない世界で、個人向け国債は金融商品として魅力が低く一部の知る人ぞ知る存在でした。しかし1年経過後は元本毀損リスクなく換金できるなど、元本保全かつ流動性に優れた商品となっています。
急いで使わないお金を置いておく、というと定期預金が預け先の代表的存在でしたが、個人向け国債も選択肢の1つとなります。リスクの低いお金の預け先は銀行預金だけではなく個人向け国債もある、ということをまずは知っておきましょう。