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外国人にとって日本の不動産は"世界一魅力的"、価格の安さだけじゃないその理由

MAR. 05, 2025 07:00
Text : 石井僚一
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東京を中心に価格が上昇するなか、外国人にとって日本の不動産の割安感は解消されつつあるようです。今後のトレンドはどうなっていくのか、主にアジア圏の富裕層を対象に国内不動産の仲介などを行っているProperty Access株式会社・風戸裕樹社長にうかがいました。

  • ※画像はイメージ

割安感なくとも、日本の不動産には"うまみ"がいっぱい

――海外富裕層が日本の不動産を購入する傾向は今後も続くと思われますか?

為替が大きく円高に振れないことが前提ですが、現状の円安水準が続くなら、この先数年は海外富裕層が日本の不動産を購入する傾向は続くと考えています。

以前は日本の不動産価格は割安と言われていました。しかし近年の不動産価格の上昇により、特に東京では割安感は解消されつつあります。東京でローンを組んで採算が取れる利回り4.5%以上の物件は、現在ほとんどありません。

ただし割安感とは別の観点で日本の不動産の人気は続くと考えています。

――どのような観点でしょうか?

大きく分けると2つあります。1つ目は外国人でも自由に不動産を購入できるという点です。海外、特にアジア地域では外国人に不動産の所有を認めている国が少ないため、このこと自体が海外富裕層にとって日本の大きな魅力です。

2つ目は、価格、土地所有の規制、税制、為替、空室率など、不動産にまつわる様々な指標を総合的に見て、日本が圧倒的に魅力のある国だということです。

例えばシンガポールでは、外国人の住宅購入に60%の追加印紙税がかかりますが、日本では不動産を所有しても住民税を払う必要がないため、税制面では日本人よりも優遇されていると言えるでしょう。

このような点を踏まえると、日本の不動産が世界一魅力的であることは間違いありません。 海外富裕層はグローバルな視点で投資先を考えますから、価格が上昇しても当面は、日本の不動産を投資対象として有力視するのではないでしょうか。

購入しても空き家のまま、「借りたい人が借りられない」デメリットも

――海外富裕層の不動産の購買行動は国内不動産価格に影響を与えているとお考えでしょうか?

与えていると考えています。外国人が買うエリアは山手線の内側の更にコアなエリア、例えば恵比寿などです。それら地域のマンションは、国内の通常の購入者層には手が届かない価格となってしまいました。外国人に人気の都心3区の不動産価格への影響は強く、価格上昇の約50%分は海外要因ではないでしょうか。特に銀座は海外勢からの人気が高いため、影響は大きいと思います。

――海外富裕層は購入した不動産をどのように活用しているのでしょうか?

リノベーションをしたり、家具の搬入をしたりと、生活ができる状況には整えます。しかし、そのまま住まないケースが多いです。

――せっかく不動産を購入したのに、もったいないのではないでしょうか?

海外富裕層は、不動産=価格が上昇するもの、と考えています。このため不動産購入は投資として考えており、住まずとも将来的に時価で売却して利益になればいい、という考えです。

――最後にまとめとして、海外富裕層が日本の不動産に投資を行っている現状について、日本にとってのメリットはどんなところにありますか?

メリットは、日本人が海外富裕層に不動産を売却することで、数千万円単位の資金を手にできるチャンスがあるという点です。

老後資金を一気に確保できたり、投資家層に仲間入りできる可能性もあります。不動産により個人が大きな資産を形成するチャンスが到来している点は、メリットとしてあげられます。

――デメリットはいかがでしょうか?

外国人が何の規制もなく不動産を購入でき、税制面では日本人よりも優遇される――この状況は、日本にとってデメリットであると言えるのではないでしょうか。

先ほど、海外富裕層は物件の購入後、居住せず空き家にするケースが多い、というお話をしましたが、その結果、空き部屋があるのに本来借りたい人が借りられず、物件価格だけが上昇して物件の管理が杜撰になる可能性も否定できません。

海外富裕層は税制に敏感であり、税制が変われば、海外富裕層による国内不動産投資の流れは変わる可能性もあると私は考えています。

風戸裕樹 / Property Access株式会社 代表取締役 創業者

不動産投資ファンド等の経験を経て2010年不動産仲介透明化フォーラム(FCT社)設立。米国型エージェントサービス「売却のミカタ」を開始し全国展開。2014年不動産テック企業であるソニー不動産(現SREホールディングス/東証プライム)を共同創業しFCT社を売却。ソニー不動産執行役員として不動産部門の責任者を務めながら、ヤフーとの業務資本提携や個人間売買プラットフォーム「おうちダイレクト」の開発を行った。退任後はクロスボーダー不動産ビジネスに興味を持ちシンガポールに移住し当社をシーラ・ベイロンと創業。不動産ビジネス分野(投資、取引、テクノロジー)に幅広い経験と実績を持つ。個人のミッションは「次世代のために不動産取引を透明化してクリーンでクールな業界にする」。早稲田大学商学部卒。
著書
「なぜ富裕層は海外不動産に投資するのか 本気で資産を増やしたい人の最終手段」
「失敗しない海外不動産投資 富裕層がフィリピンに注目する理由」
「不動産売却の教科書」ほか


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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください。

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