韓国のヒョンデ(Hyundai)が日本に新型電気自動車(EV)「インスター」(INSTER)を導入する。2025年1月10日に先行予約の受け付けを開始した。グレードは3種類で価格は284.9万円から。全長3.83m、全幅1.61mと小型で扱いやすそうなインスターは日本で乗るのに最適? 気になる航続可能距離は? 実車を確認してきた。
200万円台から買えるEVの新たな選択肢
インスターのボディサイズは全長3,830mm、全幅1,610mm、全高1,615mm。長さと幅で言えばトヨタ自動車「ヤリス」よりも小さい新型EVだ。グレードは「Casual」(284.9万円)、「Voyage」(335.5万円)、「Lounge」(357.5万円)の3種類となる。
バッテリーの容量はCasualが42kWh、残り2グレードは49kWh。フル充電での航続可能距離はLoungeで370km(欧州仕様車、WLTPモード)とのことだが、Hyundai Mobility Japan担当者に聞いたところによると、日本仕様はWLTCモードで400kmを超えるのでは、との話だった。車内外で電気機器を使用できる(クルマから電力を供給できる)「V2L」(Vehicle to Load)機能は全グレードで標準装備となる。
動力性能はCasualが最高出力97PS、あとの2グレードは115PS。最大トルクは全グレード共通の147Nmだ。回生ブレーキの強さは4段階で調節可能で、自動モードを選ぶこともできる。日本仕様については乗り心地と走行安定性を高めるべく、道路環境に合わせてサスペンションのチューニングを最適化するという。
日本にはインスターのライバル不在?
小さいながら室内はゆったりしているというのがインスターに関するヒョンデの説明だ。前後席ともにフルフォールディングが可能(ぱたりと折りたためる)で、後席にはリクライニング機能とスライド調整機能を採用している。乗車定員は4人。
日本にインスターのライバルとなりうるEVは少なく、この分野はほとんど「空席」の状態にあるというのがHyundai Mobility Japan担当者の見立て。「5ナンバーサイズで扱いやすく、室内の使い勝手がいいインスターは、日本に丁度いいEVなのでは」というのが同氏のコメントだ。
日本には軽EVの日産自動車「サクラ」、三菱自動車工業「eKクロス EV」があるものの、航続距離や車内の広さなどではインスターに軍配が上がる。小さなEVという意味ではボルボ「EX30」が思い浮かぶが、こちらはインスターよりも大きくて価格も高い。値段と航続距離で近しいEVはBYD「ドルフィン」だが、こちらもインスターよりふたまわりくらい大きなクルマとなる。
5ナンバーサイズのクルマに乗り慣れている人や軽自動車のユーザーがEVに乗り換えたいと考えた場合、インスターは有力な選択肢になるのではないかと思った。