大塚商会の大塚裕司社長

大塚商会は、2010年度(2010年1月 - 12月)の連結業績を発表した。売上高は前年比7.8%増の4,634億円、営業利益は18.1%増の190億円、経常利益は18.8%増の195億円、当期純利益は21.1%増の106億円となった。

大塚裕司社長は、「3年ぶりに増収増益となり、売上高および経常利益は、全四半期ともに前年実績を上回った。景気は緩やかに持ち直しつつあり、更新需要を中心にIT投資も回復傾向にある。また、1日あたりのコピー用紙の出荷量は、2009年6月を底に、直近では2桁の成長となっている。売上高は2年前の水準に近づいてきたといえる。だが、収益はそこまで戻っていない」などと総括した。

コスト削減効果、生産性向上および競争力強化につながるシステムや、顧客接点の強化、地域密着型の対応によるフロントライン強化などにより、新規顧客を10万6,000件増やしたほか、ストックビジネスの強化や「たのめーる」への注力、新規ビジネスへの取り組みなどで成果が出たとしている。

1人あたりの売上高は前年比5,624万円となり、「最高益を出した2007年の5,872万円に近づいており、社員を増やさない効率的な営業体制を維持している。まだまだ営業の効率性は追求できる」とした。

2010年12月期の決算概要

売上高および利益の状況

セグメント別では、システムインテグレーション事業の売上高が11.8%増の2,535億円。サービス&サポート事業の売上高が3.5%増の2,080億円、その他事業の売上高が15.5%減の19億円となった。

単体ベースでは、システムインテグレーション事業の売上高が11.6%増の2,282億円。そのうち、SI関連製品の売上高が13.6%増の2,001億円、受託ソフトなどの売上高が0.9%減の280億円。サービス&サポート事業の売上高は3.7%増の2,047億円。そのうち、サプライの売上高が7.5%増の980億円、保守などの売上高は0.4%増の1,066億円となった。「一昨年から、SPR(営業管理システム)に頼った取り組みから、原点に戻った活動を開始し、その成果があがっている。中小企業に支えられたビジネスが展開できている」とした。

重点戦略事業に関しては、たのめーる事業が売上高が8.6%増の1,009億円、SMILE事業が6.0%増の67億円、ODS21事業の売上高が17.2%増の387億円、OSM事業の売上高が7.5%増の438億円となったほか、複写機の販売台数は、11.4%増の2万7,003台、そのうちカラー複写機が19.6%増の2万1,703台。サーバの販売台数は12.4%増の3万6,405台。パソコンの販売台数は33.2%増の66万6,332台となった。

「ハードウェアが順調であり、パッケージソフトも好調。とくにPCは、JEITAによる国内PC市場の成長が13.2%増であることに比べると、大きな成長となっている。だが、2000年問題を機に導入されたPCリプレースの2巡目や、Windows 7の導入本格化は、これからが本番。さらに生産性を高めるためのIT導入、IPv6に向けたインフラの刷新などの動きもみられ、その点でも今年はIT産業にとって重要な年になる。一方で、受託案件はやや遅れがみられている」とした。

また、「たのめーる事業は初めて1,000億円を突破した。たのめーるの口座数は77万3,882件となり、前年から10.1%増となる7万4,883件を増加した」としたほか、「ASP事業として展開しているWebサービスでは103万人が利用している。当社ではクラウドという言い方はしていないが、クラウド事業は着実に増加している」とした。

重点戦略事業

たのめーるは1,000億円超えを果たす

2011年の業績見通しについては、売上高が前年比4.9%増の4,860億円、営業利益は10.4%増の210億円、経常利益は10.2%増の215億円、当期純利益は0.8%増の107億円とした。

セグメント別では、システムインテグレーション事業の売上高が5.7%増の2,681億円。サービス&サポート事業の売上高が4.1%増の2,165億円、その他事業の売上高が27.9%減の14億円とした。

売上および利益の見通し

セグメント別売上高計画

2011年度のスローガンとして、「お客様の信頼に応え、ITでオフィスを元気にする」を掲げ、ワンストップソリューションおよびワンストップサポートに強化、顧客深耕と新規開拓の並行した取り組み、総合提案や複合提案の推進、ストックビジネスの強化などを進めるという。

iPadなどの新たな製品群については、「新たな使い方を提案するものになるが、まだ緒についたばかりであり、どんな形で普及していくのかを見極めながら、お客様とともに新たな需要を創出していきたい」とした。

また、「大塚商会は、これまでと同様に、電気ガス、水道のような形でITを提供するとともに、困った時にすぐに相談できる『街の電気屋』のような存在になりたい」としたほか、「大塚商会は、地域密着型でやるのが一番強い。これは、新聞販売店が3,000 - 4,000円で毎日、新聞を配布できるのと同じである。これと同じ効率性を実現することが大塚商会には可能であり、これが他社の参入障壁にもつながっている。一時期、ミドル層を対象にした展開を開始したことがあったが、点の展開となってしまい、効率性が落ちたという反省がある。改めて、創業時と同じように、中小企業を対象に、徹底した取り組みを行う。原点回帰に取り組む」などと語った。

なお、現在、同社には83万社の登録会社数があるという。