1カ月ほど前、米AppleのApp Storeの登録アプリ数が10万件を突破したことが伝えられたが、こうした盛り上がりがある一方で、急拡大がひずみを生む様子も散見される。米Wall Street Journalによれば、あるアプリ開発メーカーが大量の偽のレビューをApp Storeの自社製品上に掲載することで、製品の評価(Rate)を不正に高めていたことを受け、米Appleは同社の登録していた1,000本以上のアプリをApp Storeから削除したと発表した。

今回問題になったのは中国のMolinkerというベンダー。TG Dailyによれば、安価な旅行ガイドアプリを中心にApp Storeへの登録を行っていたという。同件を最初に報じたのはiPhoneographyで、同サイトの11月28日の書き込みによれば、Molinkerという会社名でApp Storeに登録されたアプリ群のレビューが特定の人物またはグループの書き込みで占められていたことに気付き、不正の可能性があるとして米AppleシニアバイスプレジデントのPhil Schiller氏に宛ててメールを送付したことを報告している。TG Dailyによれば、同社アプリのレビューは、"良い"の評価をつけていた90%が50人かそこらの(同一)人物で占められており、しかもそれらは押しなべてつたない英語での記述で、Molinker以外のアプリのレビューは行っていない特徴があったという。同件を受けて米Appleは調査を開始し、今回の一斉削除となったのが一連の経緯だ。

多くの人が集まり、登録アプリ数も多いゆえにできた行為ともいえるが、発覚していないだけで大なり小なりMolinkerのケースに近い不正は潜在的に行われている可能性はある。