ソフトバンクは29日、室内に設置する小型携帯電話基地局「フェムトセル」を使用した実証実験のため、無線実験局免許を28日に取得したと発表した。最大6局の基地局、最大12台の携帯電話を使用し、29日より同社内などで実験を行う。期間は最長で12月まで。

フェムトセルは、大規模なアンテナや通信設備を有し半径数百m~数kmをカバーする通常の基地局とは異なり、無線LANのアクセスポイントのように家庭やオフィスの室内でも設置可能な小型の基地局。同社では、このフェムトセルをADSLなどの公衆IP網に接続し、屋内における通話やデータ通信の品質を高めることを将来的なねらいとしており、今回の実験で性能評価など技術的な検証を行う。

実証実験のシステムイメージ。携帯電話からフェムトセルまではW-CDMA方式で接続し、その先はIP接続となる。通常のセルに比べ半径が小さくなるので、弱い電波で済むというメリットもある

実験では、免許は実験局だが通常のSoftBank 3Gシリーズの携帯電話が使用され、携帯電話-フェムトセル間の通信は同社の通常の携帯電話サービスと同じ2GHz帯・W-CDMA方式で行われる。インフラのIP網として使用するブロードバンド回線はYahoo! BBのサービス(ADSL/光)で、ソフトバンクBBが提供する。音声通話、HSDPA方式のデータ通信、テレビ電話、マルチコール(通話中のデータ通信)などを行い、携帯電話ネットワークへの接続方法、インフラとして利用するブロードバンド回線の安定性、フェムトセルの電波伝搬特性、既存基地局との干渉の調整方法などを検証する。

機器やシステムの提供などで、ip.access、モトローラ、Ubiquisys、日本アルカテル・ルーセント、日本エリクソン、サムスン電子、日本ソナス・ネットワークス、NECの8社が実験協力会社として挙げられている。

ソフトバンクでは、今回の実験はあくまで技術的な評価を目的としたもので、フェムトセルを利用した通信システムをどのようなサービスとして提供するかについては、現時点では具体的な予定や計画は何もないとしている。