クラウドサービスがビジネスやプライベートに浸透した現在、インターネットの遅延問題が多くの企業を悩ませている。業務を効率化するために導入したWebアプリが、通信速度不足で業務効率を下げるという本末転倒の結果に陥ったり、拠点間を結ぶVPNが不安定であらゆる作業にストレスを感じるようになったり、円滑なビジネスを阻害する問題が発生。改善を図ろうにも、どこに問題があるのかわからず、インターネットサービスプロバイダ(ISP)や回線業者に要望を出すことしかできない企業が増えているのが現状だ。
インターネットの遅延が急増している要因とは
ITを活用して企業の「存続」と「成長」を支援するソリューションを展開しているスターティアでは、ネットワークの構築・保守サービスも手掛けている。同社のプロダクトマーケティング部 プロダクトマネージャーである弘田 孝輔氏は、昨今のネットワークにおける課題についてこう語る。
「5年ほど前から、インターネットの遅延が問題化してきており、私たちのお客様からも『ネットワークが重くてストレスを感じる』といった声が増えてきました。YouTubeをはじめとした動画配信サービスやOffice 365などクラウドを利用したサービスが普及し、インターネットのトラフィックが急増したことが大きな要因といえます」(弘田 氏)
実際のところ、一般的な通信方式となるPPPoE接続において、VPNやインターネットに遅延が発生するポイントはわかっているという。ボトルネックになるのは、NTT東日本/NTT西日本のNGN網とインターネットに出入りするISP網の間に設置された「網終端装置」。インターネットにアクセスする際はもちろん、VPNで拠点間通信を行う際にも網終端装置を経由するため、膨大な通信が集中する輻輳地点になっている。網終端装置はNTT東日本/NTT西日本が管理しており、ISPやネットワーク構築ベンダーでは根本的な解決は難しく、顧客からの声にどう応えればよいのか試行錯誤を続けてきたと話す。
こうしたPPPoE接続の通信方式における課題を解決したのが、同社が2018年から提供を開始した次世代ネットワーク接続サービス「マネージドゲート2」だ。
IIJのOEM向けサービス「SACM」を採用することで、回線品質が劇的に向上
従来のPPPoE接続における遅延を解消しようとする際には、大きく2つの方法が考えられたと弘田氏は語る。1つは専用型回線を利用する方法で、輻輳地点となる網終端装置を通ることがないため安定した通信が実現する。ただし、月額利用料金などコストが高くなるのに加え、提供エリアが限られるといった課題を抱えており、すべての企業が利用できるものとはいえなかった。
そこで同社が注目したのが、もう1つの「接続方式を変える」という方法だ。IPv6を利用したIPoE接続に切り替えることで、NTT東日本/NTT西日本の網終端装置を通さず、フレッツ回線の経路だけを利用することでボトルネックの解消を図るという。
「通信混雑をおこしている輻輳地点を通過し、プロバイダを経由してインターネットに一度出てから拠点へVPN接続するのではなく、NGN網内の中継局を最短距離で通信させることで高速かつ安定したネットワーク環境を構築できます。もちろん、NTT東日本/西日本の間で設備が異なる通信でも、IPoE方式を用いてVNEを利用し通信するため、国内であればほとんどの場所で利用可能です。これを実現するために採用したのが、インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)が提供するネットワークマネージメントサービス『SACM』になります」(弘田 氏)
IIJがOEM向けに提供している「SACM」は、IPv6/IPoE方式を使って従来のIPv4/PPPoE方式のボトルネックを解消することができ、拠点間VPNの遅延をなくして安定した品質を実現する。弘田氏は、SACMを採用した経緯をこう語る。
「ボトルネックがあると判明しているPPPoE接続を使わないサービスとして注目し、実際に検証してみたところ、明確な検証結果が出ました。ネットワーク構築を手掛ける私たちにとっても驚くほどの安定性があって、高額な専用型回線と遜色のない品質を実現できることがわかりました。安価なフレッツ回線をそのまま使えるということもあり、すぐに採用を決めました」(弘田 氏)
さまざまな通信業者からサービスや技術の提案がきているが、実際に検証してみると提示された理論値に達していないというケースも多かったという。そのような状況のなか、SACMの品質は飛び抜けており、さらに専用型回線が抱えていたコスト面や国内の提供エリア面での課題も解決できる理想のサービスだったと弘田氏は語る。検証から採用、開発までを短期間で行ったと当時を振り返る。実際、SACMを採用した「マネージドゲート2」は2018年9月より提供が開始されているが、SACMの検証を行ったのはその半年前。実質3カ月ほどでサービスを構築しており、かなりのスピード感を持って進められたことがわかる。
「これまでは、いくらコストをかけても遅延を解消できないケースが多く、お客様の要望に応えることができないことに忸怩たる思いがありました。SACMの検証結果を見たときには『これでお客様に満足してもらえる』と強く感じました。検証した瞬間にGoサインが出た感じですね(笑)」(弘田 氏)
ネットワークの高速・安定化に加え、運用・保守までをトータルにサポート
こうして提供が開始された「マネージドゲート2」は、同社が18年にわたって培ってきたネットワーク構築・運用のノウハウをつぎ込んだトータルソリューションに仕上がっている。IPoE接続を利用することで、低遅延で安定したVPN接続を可能にしただけでなく、インターネット接続の高速化にも対応。さらに、トラブル時の対応も手厚く、24時間365日のサポート体制、機器の故障対応や交換費用なども含んだフルマネージドで提供されている。このように充実したサービスを提供しながら、1拠点トータルで17,000円/月(フレッツ回線料含む)からという低価格で利用することが可能。業種や規模を問わず幅広い環境に適用でき、実際に従業員1人の個人事業主から、数千名の従業員を抱える企業にまで採用されているという。
IIJが提供するSACMは先進技術が詰め込まれた高度なネットワークサービスであり、企業が独自に導入・運用することは難しいものといえる。そこに同社のネットワーク構築・運用ノウハウが加わることで、業種や規模を問わず、あらゆる企業の課題を解決する「マネージドゲート2」が生まれたのだ。同社はIIJのサービスを使って優れたIT環境を提供した企業を表彰する「IIJ Partner of the Year 2019」において、ビジネスイノベーションアワードを受賞しており、IIJの技術とスターティアのノウハウが融合した「マネージドゲード2」が完成度の高いソリューションであることは証明されている。弘田氏はアワードの受賞を喜び「IIJの提供するソリューションの長所を理解し、多くのユーザー企業に届けられたことを評価していただけたのではないかと思います」とコメントする。
今後の展開として「マネージドゲート2」を拠点間やインターネット接続に留まらず、有線・無線LANのトラブルまでに対応できるソリューションに進化させることを検討中で「すでに別ブランドで有線・無線LANの保守サービスを提供しており、それを利用することで時間をかけずに実現できると考えています」と弘田氏は語る。
「マネージドゲート2」の今後の進化や、同社が展開する先進的なソリューション、そこで活用されるIIJの技術・サービスには、今後も注視していく必要があるだろう。
次世代ネットワーク接続サービス「マネージドゲート2」
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