4Kゲームのベンチマークスコアは…!?

それでは実ゲームを使ったベンチに入ろう。まずは「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド」公式ベンチを使う。画質はDirectX11モードの"最高品質"、解像度はフルHD(1080p)と4Kの2通りに設定した。

「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド」公式ベンチのスコア

もともとGTX 960クラスのミドルレンジGPUでも"快適"判定を出すのはたやすい、描画が軽めのベンチマークだが、4Kで最上級の評価である"非常に快適"が出るのはSLIパワーがあってこそ。4Kでエオルゼアの風景を堪能したい人はぜひ本機に触れていただきたいものだ。

しかしスコアの大小だけではピンと来ない、という人のために、4Kでこのベンチを回したときのフレームレートを「Fraps」で計測したグラフも用意した。

「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド」4K設定時のフレームレート

グラフ中に数カ所ある大きな山は、シーン切り替え時に伴う読み込み待ち時のものなので無視するとして、おおむね50~60fpsは出ている。ただ多量のキャラが出現するようなシーンではfpsが落ちるが、それでも30fpsを割り込むことはない。4Kでも60fps張り付きを狙うなら少し画質を落とす必要はあるが、この性能があれば、どこへ遊びに行っても描画性能で困ることはないだろう。

それではもっと重い「ウィッチャー3 ワイルドハント」を試してみる。最近のバージョンアップで設定項目が細分化されたが、今回はHairWorks AAのみデフォルトの「x4」、ほかはすべて最も重くなるようにした"最高"設定でテストする。ただ4K設定時はプリセットの"最高"、オマカセの"高"設定も合わせて測定した。ちなみにVRAM使用量は最高設定時でもそれぞれ2.9GBずつ消費するため、VRAM容量オーバーの心配はない。

テストは「Fraps」を使い、フィールド上の一定のコースを移動したときのフレームレートを測定している。

「ウィッチャー3 ワイルドハント」のfps

フルHD設定時のフレームレートの高さは、さすがGTX 980のSLIといったところ。シングルGPU仕様だと平均40fps台がやっとだが、本機ではそれを大きく超える平均約79fps。データの読み込みのせいか一瞬だけ60fpsを割ったのが残念だが、あの重いHairWorksをフル活用しても、これだけのフレームレートが出るのは素晴らしい。

一方4Kになると負荷が半端でなくなるせいか、最高設定では平均約33fpsまで落ちる。しかし最低fpsがほぼ30fpsなのでプレイは十分可能だ。1段画質を落とした高設定にすれば、平均約40fpsまで上がる。このあたりは見た目とフレームレートのバランスで決めるといいだろう。

次も重量級の「GTAV」(Grand Theft Auto V)を使用する。画質オプションが非常に多いゲームだが、基本は画質関係すべて最大(ただしアンチエイリアスだけMSAA 4X)に設定している。"高度なグラフィックス"オプションもすべて最大だ。

ここでも解像度は2通りで試すが、今回の設定で4Kに設定すると「VRAM容量オーバーによる警告」が出る。「GTAV」の場合、VRAMは2枚のGTX 980の搭載メモリを合算した8GB以上になると警告が出るので、4K時のみVRAM使用量を抑える設定も用意した。

4K時に画質を最大値付近まで上げると、VRAM使用量(の予測値)は12GB近くまで増加する

具体的には、"超高"統一&MSAA 2X&高度なグラフィックスオプション全オフの設定。これで設定画面上のVRAM使用量は7.6GBまで減少する。グラフ内で4K(7.6GB)と表記されているのはこの設定時のデータだ。

ゲーム内のベンチマークモードではシーンごとにpass0~pass4までの結果が得られるが、今回は一番ゲームプレイ時に近いpass4の数値を比較する。

「GTAV」のフレームレート。4Kでも画質を下げるとかなりfpsが向上する

フルHD&4Kの描画性能の傾向はウィッチャー3とほぼ同じ。フルHDだと平均約80fps近くまで出るが、4Kになると30fps台まで低下する。画質を最大近くまで上げると最低fpsがひどく下がるが、これは反射や植物の表現などが重いことに加え、4KではVRAM不足も足かせになっているため。

ただ4Kでも画質を少々落とせば【4K(7.6GB)の数値】、平均約61fpsと満足できるフレームレートが出る。ときどきカクつくこともあるが、「GTAV」を4Kで遊びたいと考えているなら、本機は非常に良い選択といえるだろう。

ゲーム系の最後として、現在のPCゲームの中で特に描画の重い「アサシンクリード ユニティ」もチェックしてみる。このゲームで4K+最高画質設定にすると、VRAM使用量は7.8GB以上(TITAN X環境での数値)に達する。「GTAV」ではシステム全体のVRAMは8GBと計算されていたので大丈夫そうだが、現状のSLIではVRAMは基本的に合算されない。「アサシンクリード ユニティ」もVRAMはGPUごと個別に消費されるため、VRAM使用量が極度に増えると性能が極端に下がるのだ。

テストはフィールドの一定コースを移動する際のフレームレートを「Fraps」で計測している。4K設定時のみ画質を1段下げた"非常に高い"設定でも計測した。

「アサシンクリード ユニティ」のフレームレート

フルHDならば最高画質設定でもグイグイ遊べるが、4K+最高画質になると普通に動くこともままならない。ところが画質を1段下げると、途端に平均約30fpsまで出るようになる。この画質1段下げ時のVRAM使用量は各GPUとも4096MB中の4072MB。ほぼギリギリまで使っているが、超えてはいない状態。

ハイエンドマシンを持つと、つい画質を限界まで上げたくなってしまうが、4Kゲーミングの領域になると、VRAMの使用量がGPUの足かせになることもあるのだ。「GPU-Z」や「HWiNFO64」といったVRAMの使用量をチェックできるツールを導入し、ゲーム中にどの程度消費されているかまで気配りができれば、本機のスペックをさらに有効に活かせるようになるだろう。

「HWiNFO64」では「GPU Memory Allocated」の数値を見ると使用量がわかる。これは「アサシンクリード ユニティ」で4K+画質1段下げ設定時の使用量。各GPUが4GBギリギリまで消費している