高性能で、静かなPCが欲しい!
その世代における処理の高速なCPUやグラフィックカードなどの半導体チップは、どうしても発熱量が大きくなってしまう。技術の進化により一昔前、Pentium4が全盛だったころに比べればずいぶんと発熱も減っているし、冷却構造の進化もあってPCの騒音はずいぶんと低減した。しかし、それでも静かな部屋にあるPCはうるさいものだ。「高性能かつ静かなPCを使いたい」、これは全PCユーザーの願いでもあるだろう。そんな要望に応える形で、ドスパラのゲーミングPCブランド「Galleria(ガレリア)」から「Prime Galleria ST -Silent-」が登場した。専門機関の無響室で測定した騒音値は、わずか25db。図書館の騒音が40db、深夜の郊外やささやき声が30db、木の葉のふれあう音や時計の秒針の音が20dbと言われているため、これは、相当静かなはずだ。部屋の温度が急上昇するこの夏まっさかりの時期に、ゲームも快適に遊べる静音マシンを発表するとは、よほど自信があるに違いない。さっそくその性能を探ってみよう。
水冷ユニットとファンレスGPU、HDDケース、静音電源
「Prime Galleria ST -Silent-」の騒音低減のポイントは、ファンを極力減らし、そしてファン自体も大型で回転速度の低い製品を採用していることにある。ケース内のファンの数はわずか2つ。そして騒音低減の工夫はCPU、グラフィックカード、HDD、電源の4つの箇所に施されている。順に見ていこう。
まずCPUの冷却には、前回レビューした「Prime Galleria HG 水冷モデル」に使用されているデンマーク・Asetek製の「LCLC」を採用。ポンプとCPUヘッドを1ユニット化し、クーラント液の補充を不要とした水冷ユニットだ。ラジエーターは低速で回るリアの12cmファンとケースの間に取り付けられており、ケース内の排熱と同時にCPUの熱を冷やす。
グラフィックカードはヒートパイプと多数のフィンが取り付けられたファンレスの「NVIDIA GeForce 9600GT」を採用している。ワットパフォーマンスが良く一通りのゲームを少ない発熱で快適に動かすことができる「GeForce 9600GT」は、多数のBTOマシンに採用されている定番の製品だ。とはいえファンなしでの動作は通常行われないのだが、本機に搭載されたカードは背面のPCIスロットからフィンが外に飛び出るという特殊な構造をしており、PCケース内部だけでなく外部も利用して熱を逃がすことでファンレスを実現している。ファンが存在しないため、騒音はゼロだ。
そして静音を突き詰めていくと気になるのがHDD。ゴリゴリ、カリカリと耳障りな書き込み音、スピンアップ時のキーンという高周波、こういった騒音は、自作ユーザーにはおなじみのHDD静音化ケース「SMART DRIVE」で低減されている。アルミ板でHDDを覆い、騒音を物理的にシャットアウトする製品だ。実際に音を比べてみると、Windowsが起動したのに気付かないほどの効果がある。
そして最後に、エヴァーグリーン製の静音電源「SILENT KING 4」を搭載。大型ファンを採用し、静かで価格もお手ごろで静音電源の代名詞ともなったSILENT KINGシリーズ。4では基盤の主要部分に日本製のコンデンサを採用し、効率と信頼性をアップさせている。容量も550Wと余裕のあるものだ。こういった工夫により、25dbという低騒音を実現しているのが「Prime Galleria ST -Silent-」だ。