改善にフォーカスした人材・組織の育成で"強い現場"を実現 - ダイキン工業

[2018/07/06 06:00]エースラッシュ ブックマーク ブックマーク

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6月20日~22日にかけて、東京ビッグサイトで「設計・製造ソリューション展」「機械要素技術展」「ヘルスケア・医療機器 開発展」「3D&バーチャル リアリティ展」の4展から成る「日本ものづくりワールド 2018」が開催された。

本稿では現場改善の取組みとしてダイキン工業 滋賀製作所 空調生産本部 滋賀製造部 滋賀製造部長 小倉博敏氏が登壇した『強い現場を作る「知恵と経験の交わり』~需要変動に即応できる”ものつくり・ひとつくり”~」についてレポートする。

強い現場作りに必要なのは、常に「改善」するという意識

まず小倉氏は、強い現場を作るためには「現状に満足しないこと」を挙げ、常に改善を行うことだと指摘。時間がない、人がいないと「大変さ」ばかりに目を向けるのではなく、変えることによる「面白さ」「楽しさ」に気付いていくべきだと提唱する。

同社は空調・冷凍機の事業が売上の90%を占める企業だが、2008年~2009年はリーマンショックの影響で大きく売上が減った。しかし、2010年度以降は中国など新興国への拡販により、2016年は過去最高の実績を実現した。

小倉氏は、こうした「最高」の時こそ「再考」すべきだと考え、マニュアルを守るだけでなく常にチャレンジしていく姿勢が大切だと語る。

続いて、ルームエアコンの実半台数の変化をもとに、年間の物量差が激しいピークとボトムをどのように乗り越えるかという取り組みについて紹介。

同社では「PDS(Production of DAIKIN System)」という「売れるものを”売れる時に売れるだけ”作る・届ける」という思想を採用。ロット生産から始まり、多品種混合生産から市場の販売状況に合わせて変種変量生産へと生産方式を進化させてきた。

ピーク時には予測をもとにした戦略的な先行生産を実践するほか、ラインごとに規制をもたない柔軟な生産体制を整え、ボトム時は効率的なラインの運用やシーズンに合わせた変形労働時間制で人員変動を極小化している。

サプライヤーとの協業改善や海外支援なども行っているが、平準化にはなかなか近づけないのが現実だと小倉氏は語る。しかし、こうした厳しい環境下でこそ対応する仕組み作りが進むのだという。

工場の改善に向けたさまざまな取り組み事例

工場内では「初めて」「久しぶり」「変化」「変だな」という、4Hチェック活動を推進。さまざまなタイミングで何らかのトラブルが発生するのが実情だが、しかしながら大きなトラブルは減ったという手応えがあったそうだ。

今後さらに、市場の需要変動に即応した生産ラインを目指すため、リードタイムをいかに短縮するかを目指しているという小倉氏。大きくは流れの効率化、運搬の無人化まで考えた柔軟なライン・人口編成、経費へのこだわりといった3つの観点でこだわった取り組みを進めている。

出荷時間の短縮にも貢献。2003年の68時間からスタートし、徹底した無駄の排除で2015年には当日出荷も可能な4時間を実現した。

これはオペレーターの作業姿勢にもこだわり、部品の取り出しなどコンマ以下の微細なボトルネックを改善していく愚直に積み重ねの結果で、やっと1秒というわずかな時間でも全体でみれば3%の生産性向上に匹敵すると語る。

上司・部下間の報告書では、担当者によってボールペンのカラーを変え、誰がどのようなキャッチボールをしているのか一目で把握できるように、やるべき仕事ができているのかヘルメットのカラーですぐに分かるようにするなど「見える化」を行ってきた。しかし、言葉を履き違えて「見せる化」に走っては失敗すると小倉氏は述べる。

現場をしっかり見ているのか、現場の声を聞いているのか、許せているか、寄り添えているのか。これらを実行できていなければ「見える化」を行っても本来の力が発揮できないと指摘する。

高い志や自立性のある「強いチーム」を目指して

もちろん、組織作りの上では人材育成も欠かせない。同社では個々の能力を向上させる取り組みを実施しているが、その中から小倉氏はボトムの時期に合わせて行う「改善・保全留学制度」について解説。

改善を素早く形にし、設備の予知・予防保全を実行するという実践的な教育を行い、多少のトラブルであれば即時に解決できるようなスキルを4カ月ほどで身に付けさせるというのだ。この留学の経験をもとに、工場内には手作業で行っていた工程を自動化するなど、使う立場で考えられた多彩な装置が製作されている。

また、各部署のリーダーが集合し、報告・相談・連絡をしっかりと回していく朝会ミーティングも実施。

とくにリーダーは「期待する姿を直接伝える」「キャリアパスを明示する」「機会を与える」「結果を公平に分かち合う」を軸とし、率先垂範するよう心掛けているという。各種アンケートもただ行うだけでなく、職場活性化への一助となるような評価を返すのがポイントだと説明した。

小倉氏は、強いチームとは知恵やアイデアがぶつかり合い、現状を常に把握し、チームプレイを発揮するものだと強調。高速道路に例え、先の見通しがよいからこそスピードが出せるよう、職場にとって霧となる無視・無関心・無知を取り除くことが大切だと訴える。

最後に小倉氏ならではの出張への姿勢や異業種交流のやりかたを交えつつ、目的意識を持った行動の重要性について語り講演を終了した。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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