顧客の「脳」を満足に導くために - AIと脳科学で変わるビジネス戦略

[2018/02/28 08:00]山田井ユウキ ブックマーク ブックマーク

ソリューション

ビジネスにおけるAI(人工知能)活用が注目を集める昨今だが、一方で対極の存在である”人間の脳”に着目する経営者が増えているという。脳の働きから人の思考・行動を分析し、マーケティングや働き方改革などの領域に生かそうという試みが始まっているのだ。

1月25日に開催された「NTT DATA Innovation Conference 2018」では、NTTデータ経営研究所から情報未来研究センター研究理事・センター長の萩原一平氏が登壇。最新の脳科学とAIでビジネスがどう変わるのかについて語った。

脳の「意思決定」、そのメカニズムは?

脳科学とビジネスの関係について、萩原氏は「この2、3年で流れが変わってきた」と語る。「最近は、経営者から脳科学について聞かれることが増えた」というのだ。その背景には、AIが注目され始めたことによって逆説的な観点から「人」にも注目が集まっているということがある。

例えば、「働き方改革」や「マインドフルネス」、「マーケティング4.0」といったトレンドワードは全て「人」を中心にとらえた考え方であり、それはすなわち人の意思決定や情動といった「脳」の働きに注目するということにほかならない。

NTTデータ経営研究所 情報未来研究センター研究理事・センター長 萩原一平氏

萩原氏によると、人を動かすのは「情動」であり、情動には「快」と「不快」の2種類があるという。例えば「夢中」「喜び」「慈しみ」「満足」といった情動が「快情動」であり、「悲しみ」「敵意」「恐れ」「心配」といった情動が「不快情動」である。

客観的に意思決定していると思われていることにも、実はこの情動が大きく関わっている。例えば、部下から提案された案をリジェクトする場合、それは客観的判断ではなく、「リジェクトすることが『快』だからそうしている」のだという。

脳の意思決定には外部環境の変化などによる「外的刺激」と、自らの身体内環境の変化による「内的刺激」の2つが絡んでいる。この2つが脳で処理され、意思決定を経て「行動」へと移ることになる。そして行動したことによるフィードバックが環境に反映され、繰り返されることで「習慣化」していく。これが意思決定から行動、習慣化までのメカニズムだ。

さらに、そこに「認知バイアス」が絡む。同じ1,000円でも、100万円を持っているときと無一文のときでは感覚的に価値が変わってくる。脳は必ずしも理性的な行動を選択するとは限らず、情動とバイアスによってコントロールされているのだ。

世界のトップクラスのビジネススクールではこうした脳科学を学ぶことができ、ビジネスに取り入れることも当たり前のものになっている。日本はこの点でまだまだ遅れている状態だという。

脳科学の視点で見る「日本の課題」

脳科学の視点で見ることはさまざまな分野で有用だ。例えば日本で問題になることが多い男女の賃金格差や、正規と非正規の格差。さらに育休を取得した社員とそうでない社員の間に生じる不公平感なども、脳科学で検証することが重要だという。

萩原氏は「不公平感による損失は会社が考えているよりも大きい」と述べ、「一人一人の脳に合わせた”仕組み”が必要になってくる」と主張する。

男女の脳の違いに関する研究も進んでいる。米国で行われたグループインテリジェンスに関する実験では、「女性は男性よりもコミュニケーションのために脳を動かす」という結果が出ており、チームに女性が入ることの価値は大きいのだという。

女性に限らず、高齢者や障がい者、外国人など、異なる文化や生活環境を持っている人にとって働きやすい職場づくりを行うことが今後のビジネスに求められる「ダイバーシティ」だが、萩原氏はさらにそこから一歩進んで、「インクルージョン」という言葉を提唱する。

インクルージョンとは、「多様性のなかで生じる個人差や、そこから無意識に生まれる軋轢、排他的仲間意識を取り除いて、それぞれの持つ能力を最大限発揮できるような環境づくりを行う」こと。

そして、そのためには「一人一人の脳の中にある”無意識のバイアス”をどのように意識化して取り除くか」という脳科学の視点が重要になるのだ。

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