モノづくりの現場で活用されるIoTの今 - トヨタ自動車、ISIDの取り組み

[2018/01/17 08:30]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

PTCは2017年12月12日、都内にて開催したイベント「PTC Forum Japan 2017」を開催した。「フィジカルとデジタル融合の追求」をテーマに掲げた同イベントの基調講演には、トヨタ自動車と電通国際情報サービス(ISID)が登壇し、ユーザー企業・ビジネスパートナーの立場から、それぞれの取り組みを紹介した。

トヨタ自動車のエンジニアリングIT「3つの取組み」

トヨタ自動車の講演「エンジニアリングチェーンにおけるIoT活用の取り組み」では、 エンジニアリングIT部長の細川昌宏氏が登壇。同社のエンジニアリングIT部門がIoTをどう活用しているかを紹介した。

世界28カ国・地域に生産拠点を持ち、グループで年間1,000万台超の車両を生産するトヨタ自動車。同社では、経営から自動車の品質管理、車内IT、安全管理、テレマティクス、顧客サービスなど、あらゆる領域でITを活用している。これを支えるIT関連部署は、ITマネジメント部、コーポレートIT部、エンジニアリング情報管理部、情報セキュリティ推進室、IT革新推進室で構成される。

このうち細川氏が担当しているのが、エンジニアリングITだ。エンジニアリングITは、車両開発や生産技術(生技)系の業務改革支援、システム企画開発の中枢であり、システム数828のうち約500システムがエンジニアリングIT関連となる。IT革新推進室の室長も兼務する細川氏は、クルマ開発の根幹と将来のITを担う存在だと言えるだろう。

トヨタ自動車 エンジニアリングIT部長の細川昌宏氏

細川氏はまず「システム運用やオフィスIT、セキュリティなど従来の延長線上にある活動に加え、自動運転や工場IoE、デジタルマーケティング、ビッグデータ、AIといった将来に向けた活動の両方への取り組みが重要になってきました」とエンジニアリングITを取り巻く環境を解説。

こうしたなかで、エンジニアリングITの取り組み範囲は大きく3つに分けることができるという。

1つは、従来からの「メカ中心のクルマ開発」だ。新しいPDM(プロダクトデータ管理)の活用を通じた業務改革が大きなテーマとなる。設計から生技、工場、実験などでデジタルデータを共有し、人材育成と生産性向上を図っている。

具体的には、1台分の車両情報について車種や仕様、部品構成、形状、製造プロセス、設備などを共有する基盤「品番.com」を構築し、設計・生技で協業したり、サプライヤーが直接情報に接続したりできるようにしている。

「サイロ化による情報の連携不足を解消すると共に、情報を整流化し、全社の働き方を変革して付加価値業務にシフトできるようにしています」(細川氏)

2つ目は、「将来に向けたソフト(モデル・制御)を用いたクルマ開発」だ。取り組みの1つには、データ解析やシミュレーションによって車両開発全体の業務を支え高度化する「高度制御支援(制御・システム・エンジニアリング)」がある。

これは、モデルベース開発を取り入れ、企画から車両全体のシミュレーション、メカ・制御連携のシミュレーション、実車の走行データなどからビッグデータ解析を行っていくものだ。

「将来的には、メカ・ソフト・実車・ヒトが連携し、クルマの知能化、クルマの価値向上にITが寄与していくことを想定しています。ソフトウェアをチューニングすることで、お客様一人一人の嗜好に合わせた『個性』を個々の車に持たせることもできると考えています」(細川氏)

ここで言う「個性」とは、同じ車種でも、燃費優先型、難路走破性能アップ型、安全性優先型といったタイプをセッティングし、いつでも変更できるようにするなど、もっと楽しめるクルマに進化していくことをイメージしている。「こうした世界に向けて、技術部はさらにコンピューティングリソースを消費するようになり、自動運転に向けた技術開発を支える環境整備も加速している状況です」と細川氏は説明した。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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