前編に続き、本稿では「新経済サミット2017」で行われたパネルディスカッション「広がるドローン活用と空の安全管理」の模様をお伝えしよう。

ドローンの最新技術や活用の現状が語られたディスカッションの前半を受け、後半では、ドローンビジネスを取り巻く規制や今後の展望について語られた。引き続き、モデレーターを務めるのは科学技術ジャーナリストのティム・ホーンヤック氏だ。

[お知らせ] 4月下旬、ドローン特集スタート

IT Search+では今月下旬に、『ドローンのポテンシャル - メーカー、キャリア、ユーザー企業はこう見る』と題した特集を掲載予定です。管轄官庁の国土交通省や業界団体を含む9企業/団体にインタビュー。ドローンのビジネス活用について、それぞれの立場から近未来の展望を語っていただいております。そちらもお楽しみに。

ドローンビジネスの展望 - 日本は何をなすべきか

ディスカッションも後半に入り、話題はドローンビジネスの今後に移る。日本のドローンビジネスは農地の調査や検査など、B2B向けにフォーカスしている。今後の展開で、B2Cのユースケースが登場する余地はあるのだろうか。

この点について、Rapyuta Robotics共同創業者 兼 代表取締役社長 CEOのモーハナラージャ・ガジャン氏は「日本企業は必要な技術とノウハウは持っていますが、市場はB2Cのユースケースが登場するまでには成熟していません。ちょっと遅れているように思います」と苦言を呈する。

「利益率も低く、技術に強い企業がビジネスにできていない状態です。これを採算ベースに乗せるには、UTMを含めたシステム作りにフォーカスするべきだと思います」(ガジャン氏)

中国企業であるYUNEEC technology 創業者 兼 CEO 田瑜氏の意見はさらに厳しい。中国はB2C向けドローンビジネスで世界をリードしている自負がある。田氏は「日本の会社はスピード感のあるビジネスができません。これからのキャッチアップは不可能なので、手がける必要がないと思います」とコメントし、今後の展望について次のように語った。

「B2C市場は、消費者がドローンを気にかけなくなった時に初めて、本当の意味で成立すると言えるでしょう。ピザの宅配でドローンが配達してくれたり、子供がスポーツをしている写真を空中から撮ってメールボックスに配信してくれたりと、さまざまなアイディアを考えています」(田氏)