企業が契約書を発行する時、それが遠隔地の相手先とのやり取りの場合、どれだけの工数・日数がかかるだろうか。契約書の送付からはんこの押印、場合によっては収入印紙の購入・貼付、万が一不備があれば郵便の再送……。簡単な事務処理のはずが、数週間かかるということも稀ではないはずだ。

この問題を解決する手立てとして期待されているのが、Web上の契約サービス。米Docusignが最も著名だと思われるが、一方で国内にもプレイヤーは存在する。それが、あの「弁護士ドットコム」が提供する「クラウドサイン」だ。

弁護士ドットコムと言えば、Yahoo!ニュースへの配信で見かけるといった人も多いだろう。「この問題って、法律上どこに問題があるの?」といった疑問を、弁護士の視点で解説するニュース記事は読み応えがある。ネットメディアを中心にサービスを提供している中で、ある意味で異色のサービスがクラウドサインだろう。

サービスの性質上、ユーザーがクラウドサインを利用する上で、弁護士と直接やり取りすることはないが、「弁護士ドットコムが運営している」さらに「クラウドサインの事業マネージャーが弁護士である」という信頼性を背景に、3月9日には導入企業が6000社を突破した。もちろん、スタートアップ企業の導入が多いのも事実だが、その中で異色の存在が「クレディセゾン」だ。

クレディセゾンが導入した理由

クレディセゾン カード事業部 営業企画部 営業戦略グループ 吉村 真由香さん

「2015年10月に弁護士ドットコムさんのプレスリリースを見て、すぐに問い合わせをしました」

こう語るのは、クレディセゾン カード事業部 営業企画部 営業戦略グループの吉村 真由香さん。2015年春にスタートしたクレジットカード加盟店向け資金調達サービス「ビジネスファンディング」での活用を目指してクラウドサインを導入した。

「ビジネスファンディングのセールスポイントは、申し込みから書類提出までWebで完結し、入金までの期間が最短3営業日という顧客利便性とスピードです。そのサービス性を実現するためには、電子契約がベストであり、初期は紙の契約書でスタートしていたものの、クラウドサインのようなサービスを探していたんです。導入にあたっては、法務などを管轄する部門の承認をスムーズに得られたこともあり、あまり時間はかかりませんでした」(吉村さん)

「いわゆる「電子署名(契約)」自体は2000年より認められているが、どちらかと言えば問題は「係争時」の想定であり、世間一般に浸透していないWeb契約サービスが果たして「信頼に足るのか」という疑念が湧くのは当然と言えよう。

「その点で言えば、クラウドサインは『弁護士が監修しているシステム』という点で何か問題が発生した時に相談できる安心感もあり採用を決めました。そもそも契約上のリスクがある点は紙の契約書でも同じと言えます。

Web契約では、申込時に取得した代表者のメールアドレス宛に契約書を送信しています。これが紙ベースの場合、記載された住所に契約書を発送していることと同じで、サイト上でサインすることと、郵送書類に印鑑を押すことに差異はありません。リスク差がないのであれば、お客さまの手間を可能な限り減らし、サービス価値を最大化できるWebの方がメリットがあると思っています」(吉村さん)

進捗管理の効率化も

クラウド契約のメリットは、単なる「作業日数の短縮」だけでなく、進捗管理にも繋がっているという。