セルフレジを超えた自動レジも! ローソンが展開するAI/ロボット施策
今後数年の対応必須技術として挙がることの多いAI、ビッグデータ。多くの企業は未だ活用シーンを模索する段階にあるが、すでに積極的に活用し、将来象までを明確に描いているのがコンビ二チェーンのローソンである。
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ローソンの執行役員、ローソンデジタルイノベーション代表取締役社長の白石 卓也 氏 |
3月7~10日に東京ビッグサイトで開催された「リテールテックJAPAN」(主催 : 日経新聞社)では、ローソンの執行役員でローソンのシステム会社ローソンデジタルイノベーション代表取締役社長の白石 卓也 氏が登壇。「ローソン次世代コンビニを実現するテクノロジー活用」と題して、ローソンのAI、ロボティクス、カメラセンサー、RFIDなどの取り組みを紹介したので、その模様をお伝えしよう。
コンビ二をオープンプラットフォームに
「からあげクン」「プレミアムロールケーキ」「ブランパン」など数々の人気商品を持ち、国内1万3000店舗、来店客数年間約36万人を誇るローソン。全国津々浦々に店舗を構え、生活に欠かせないさまざまな商品を提供するコンビニは今や社会インフラに近い存在になっている。ただ、人口減少や他業種の競争の激化、働き手の不足など、コンビニの事業環境は、一様ではなく、むしろ絶えず変化していると言っていい。
白石氏は、コンビニをそうした環境変化に対応していくための「社会変化対応業」だと位置づけ、ローソンでは、大きく2つの取り組みを推進していると説明した。
1つは「小商圏製造小売業」としての取り組みだ。これは、従来のような街や都市といった広い商圏を対象にNB(National Brand)商品を販売するだけのモデルから、店舗を単位とした狭い商圏を対象に自社開発したPB(Private Brand)商品を展開するモデルへの転換である。
もう1つは「オープンプラットフォーム」の取り組みだ。こちらは、ローソンの店舗をオープンにし、他社がインフラとして活用できるようにするもの。すでに、端末「Loppi」を使ってAmazonの商品を注文・取り寄せできるサービスや、店舗を拠点とした宅配サービスなどを実施している。
こうした取り組みで重要になるのがITだ。白石氏はローソンにおけるIT活用の方針について「データ活用・分析のアプローチを使って、変化することを前提とした業務・システム基盤の構築を進めています。次世代の業務・システム改革でのポイントは可視化と生産性の向上です。これらを通して、お客様にとってなくてはならない存在になることを目指します」とした。
3つの先進IT施策
続いて、具体的なITの取り組み事例を3つ紹介した。
1. カメラとセンサーで動線と行動を可視化
1つ目は、カメラやセンサーを活用したインストア分析による生産性の向上だ。インストア分析というのは、顧客が店舗内で商品を購入するまでの一連の行動を分析して、効果的な施策につなげる取り組みになる。
顧客の行動としては、店前通行から入店、棚前通過、棚立ち寄り、手づかみ、購入などがある。それぞれについて、入店率、棚前通過率、手づかみ率、手づかみ購入率を割り出し、そのデータをもとに、来店施策、棚誘引施策、足止め施策、手づかみ施策、購入施策などを打っていく。
ここで重要になるのが、入店してから退店するまでにどのような動線を描くか、店内のどこに滞留しているかを可視化することだ。
ローソンでは店舗内のカメラやセンサーで割り出した顧客の動線を一筆書きで表示したり、カテゴリごとの棚前滞留時間とコンバージョン率をヒートマップで表示したりする取り組みを進めている。「データは1時間単位で表示でき、客数の多さや商品を手に取った率などを細かく把握しながら、データに基づいた施策を実施し、PDCAサイクルを回していく」(白石氏)という。
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一筆書きとヒートマップで利用客の行動を把握 |
2. RFIDとレジロボットで、会計と袋詰めを自動化
2つ目の事例は、ロボットとRFIDを活用したサプライチェーンの最適化だ。
2016年12月には、バナソニックと協力して、大阪府守口市の「ローソンパナソニック前店」で、無人セルフレジ「レジロボ」の実験を行った。このセルフレジでは、商品1つ1つにRFIDを貼付し、顧客がバスケットごと専用レジを通すと無人で精算ができる。
バーコードと電子マネーを利用したセルフレジは駅の売店などで少しずつ導入が進んでいる。だが、コンビニでは初の事例であり、しかもRFIDを使ったセルフレジは米国の小売業でも例を見ない。
最大の特徴は、バーコードのような読み取り作業が不要な点だ。バスケットを精算台に載せると、ロボットのように台が動き出し、専用の通路をとおってバスケット内のすべての商品を一度に読み取る。読み取った金額を現金やポイント、クレジットカードで決済すれば、そのままレジ袋に商品が入った状態で渡してくれるという仕組みだ。
白石氏は「読み取り精度やタグのコスト、メーカーや小売の巻き込み、標準化の調整など、クリアすべき課題は少なくありません。しかし、日本のサプライチェーンの生産性改革のためには、この課題を乗り越える必要があります。世界初の個品管理プラットフォーム社会インフラとして構築していきたい」と述べた。
※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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