実用化が進むAIの「今」- 深層学習はインダストリアルIoTに何をもたらすか?

[2017/03/03 08:00]齋藤公二 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

去る2月10日、DeNAが主催する技術カンファレンス「DeNA TechCon 2017」が渋谷ヒカリエで開催された。AI(人工知能)を中心に、DeNAが展開する幅広いサービスと技術について、5トラック・30超のセッションが繰り広げられた。ここでは、Preferred Networks(PFN)の岡野原大輔氏による基調講演「実世界の人工知能」の模様をレポートする。

IoT×AIの現在位置 - 進む自動運転の研究開発

PFNは、「IoT時代に合わせた分散知能を備える新しいコンピュータを創造すること」を目的に、2014年3月に設立された。ファナックやトヨタ自動車、NTTらが出資し、実業ベースでの先端ITを共同研究しており、東京とシリコンバレーに構えたオフィスでは60人のエンジニアが働く。

岡野原氏は、このPFNの創業者・取締役副社長であり、DeNAとのジョイントベンチャーであるPFDeNAの取締役も務める。同時にIPA(情報処理推進機構)が実施する未踏ソフト創造事業において2005年度スーパークリエータに選出された経歴を持ち、情報理工学の博士でもある。そんな氏が創業したPFNが行うAI研究開発は、デバイス寄り・産業寄りのものだ。産業用ロボットや自動運転、スマートシティといった、いわゆる「インダストリアルIoT」の分野で、ディープラーニング(深層学習)やAIをいかに活用するかという研究に取り組んでいる。

「AIの技術はまだまだ未成熟。そのなかでも『これは実用化できそう』というものを企業と共同研究しています。世の中に無いものを作れば世界で戦える。そんな気持ちで進めています」

Preferred Networks 創業者・取締役副社長であり、PFDeNA取締役も務める岡野原大輔氏

岡野原氏は「IoT×AI」の取り組み分野を、大きく「自動車」「ロボット」「バイオ・ヘルスケア」「クリエーター」「コミュニケーション」の5つに分け、具体的な事例とともに解説していった。

まず、自動車分野での取り組みとして挙げられたのは、自動運転における画像認識だ。自動運転では、車載カメラで対向車や自転車、歩行者の動きを読み取るのだが、機械は光や影の認識が苦手なため、移動するたびに変わる景色をうまく認識できなかった。また、人間は、物陰から半身だけ見える人を人だと認識できるが、機械はこうした「Occulusion」と呼ばれる遮蔽物の認識が苦手だ。だが今は、AIを使って、車載カメラからリアルタイムに人や自転車、対向車を認識できるようになったという。

「機械は人と違って、一度に200人を認識することもできます。200人のうち1人が急にこちらに向きを変えて進んできても、漏れなく把握することが可能です。また、『セグメンテーション』と言って、環境のなかにある空間を見分け、どのセグメントがフリースペースかを判断してそこに安全に車を進行させるといったこともできます。つまり、常にフリースペースに移動するようプログラムすることで、絶対にぶつからない車も実現できるのです」(岡野原氏)

FPNでは、イベントでクルマのロボットが機械学習技術を通してお互いにぶつからないように自動で運転を学んでいくデモを行ったという。

「各クルマには200方向の距離とぶつかった時の角度が入力され、それを元にどう方向転換すればぶつからないかを毎秒10回の頻度で判断しています。クルマがまっすぐ走ったら『褒める』、ぶつかったり、スピードが遅くなったりしたら『罰を与える』という学習を行っています。クルマは罰を受けながら、将来的に褒めてもらうような行動を学習していく仕組みです」(岡野原氏)

試行錯誤のなかでアクセルやブレーキをいつ踏んだらよいのかを学習し、それを共有していく。人間でも難しいアウトインアウト走行も、自律的に学習したという。小さなロポットから始まったこの試みは、実際にトヨタの自動車を使ったデモ「ぶつからないクルマ」にまで発展し、「CES 2016」での発表につながった。

人間がコントロールする赤いクルマがわざと危険運転を行っても、他のクルマは自動的に避けて走行を続ける


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