社会の課題解決をドローンで、KDDIとハウステンボスがアイデアソン

[2017/02/24 11:56]徳原大 ブックマーク ブックマーク

ソリューション

KDDIとハウステンボスは2月18日と19日の2日間、「スマートドローン」のアイデアソンを長崎・ハウステンボスで開催した。

スマートドローンは、現在「可視飛行(目に届く範囲で操作)」が前提とされているドローンを、セルラー通信によって見えない場所でも操作・飛行できるようにするもので、KDDIが2016年12月に発表した(関連記事 : 3キャリア随一の本気度? KDDIがセルラードローンの商用化を目指す)。

アイデアソンでは、可視飛行が解禁される前提で「どのようなサービスを提供できるのか」を議論した。学生から一般企業、スタートアップ社員まで、20代~50代の16人が、4チームに分かれて参加した。4チームが考案したアイデアは以下の通り。

  • チーム「英雄」

「盗難防止」がテーマで、自転車にトラッキングデバイスを取り付け、盗難された際にドローンが追尾する。

  • チーム「トライコプター」

「観光」がテーマで、空から人の動態を認識し、その人物へ最適な観光地のプロモーションを発信する。

  • チーム「ホットビートルズ」

「ビッグデータ」がテーマ。機能が異なる親ドローンと子ドローンを用いて、上空から地上のようすを把握し、課題解決を目指す。

  • チーム「迷子」

「迷子の防犯」がテーマ。子供がスマートタグを所有し、迷子になったときは発見、追尾をドローンで行う。

審査員は、ハウステンボスの取締役 CTO 富田直美氏らで、最終的にチーム「英雄」が最優秀賞に選出された(関連記事 : ハウステンボス 富田CTOが「ドローンで配達サービスはあり得ない」と考える理由)。

チーム英雄は、「自転車盗難」という「社会に無数に存在する問題だが、警察などが動きにくく対処が難しい」課題解決を目指したことが評価された。スマートドローンとの相性も良く、広域監視に向くほか、自転車の位置情報もLoRaWANで取得するといった最新のトレンドもアイデアに盛り込まれていた。

現状のドローンは長くて20~30分程度しか飛行できないバッテリーの問題を抱えているが、ビルの屋上に自動充電スポットを配置するなどの工夫でこれを解決するとした。また、KDDIはグループに保険会社を抱えていることから、これを組み合わせた盗難対策というアイデアも盛り込んでいた。

ドローンは5Gで真価を発揮する?

KDDI 商品・CS統括本部 商品企画部長の松田浩路氏はアイデアソンについて「ドローンについて通信事業者が考えるだけでは限界がある」と話す。ハウステンボスとの提携もまた、そうした「アイデアの限界」を打ち破るために進めた話だという。

ハウステンボスは「変わり続けること」をコンセプトとした「変なホテル」や「変なレストラン」を提供しており、先進的な取り組みを行っている。例えば「日本一」を謳うVRのテーマパークを3月にオープンするほか、インキュベーションプログラム「KDDI ∞ Labo」出身の「ウェアラブル+AR」を提案するHADOのソリューションをアトラクションに採用している。また、生体認証決済サービス「Liquid Pay」のテスト導入により、指紋だけで園内における決済も実現しており「実験的な取り組みを積極的に推進されている。ハウステンボスのビジネスを実行する力は、大変リスペクトしている」と松田氏は話す。

KDDI 商品・CS統括本部 商品企画部長 松田 浩路氏

ハウステンボスは3月にVRテーマパークをオープンする

KDDIはスマートドローン構想を掲げる

ハウステンボスが採用したLuquidの生体認証プラットフォーム

そんな中で、アイデアソン以外に2つのドローン施策がハウステンボスでは進められている。それが「ドローンレース」と「ドローン撮影サービス」だ。

ドローンを用いたレースの全国大会「ジャパンドローンチャンピオンシップ」をハウステンボスが2月18日、19日に開催、KDDIはこれに協賛した。

「ハウステンボスの富田さんも強調していたが、『わくわく感』や『お客さまの嬉しさ』を提供することがコンシューマと向き合う私たちの使命と考えており、ドローンレースへの協賛もその一環。もちろん将来的には、5Gを搭載したドローンで、高画質な映像を配信し、ドローンレースの楽しさをより魅力的に伝えるといったことも検討している」(松田氏)

ただ、5Gは現状で巨大な受信機を必要とするため、レースで使われるサイズのドローンに搭載することは難しい。「まずは4Gで実証することが先」と松田氏は語るものの、12月のスマートドローン発表会で4G経由で操作を行った際、900msの応答速度がかかっており、ドローンの操縦が満足に行えなかった現実がある。5Gでは1msレベルの低遅延が実現できるとも言われており、やはり5Gとの親和性が高いデバイスと言えるだろう。(関連記事 : KDDIが2020年に始める「5G」、ビジネスIoT飛躍のきっかけに?)

また松田氏も、5G世代は低遅延だけでなく大容量通信が可能になる点に触れ、「クラウドプラットフォームに、センサー情報や画像情報を集め、リアルタイムにマップ上にデータを落とすといったドローンの活用手法が5Gでは考えられる」と、「ドローン×5G」に期待を寄せていた。

将来的には5G網によるドローンレースの開催も目指す

現在もドローンカメラによる撮影・映像配信は行われているが、アナログ伝送によるものだ

レース中にタブレットでドローン映像が見られる

FPV(First Person View)によるドローン操作でレースを行っている出場者

ドローンが途中で墜落したため、映像伝送が途絶えていた

レースに利用されたドローン

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