ここまでのハナちゃんの説明で、Gitについて理解した2人。いよいよ、話は本題のGitHubに入ります。

GitHubばかりが注目されるのはなぜ?

GitHub(ギットハブ)は、2007年にサービスを開始した、インターネット上のGit共有サービスなんデス。今では世界で1,000万人以上が利用しているサービスになっているんデスよ。

でも、ソースコードの共有サービスって昔からあったわよね。後発サービスなのに、なんでそんなに普及したのかしら。GitHubは、インターネット上でGitリポジトリを共有できるってことだから……、Git総本山のLinuxカーネルの開発に使われてるから、とか?

さすがまさこさん、いい線ついてきマスね~。Linuxカーネルの開発は自前のGitホストで行われているんデスが、2011年に攻撃を受けた際に一時的にGitHubに移したんデス。復旧と同時に元に戻したんデスが、それ以来、GitHubにもMirrorされ続けていマス。このコトで信頼感が高まったのは間違いナイですね。

GitHubの人も、リーナスさんが使ってくれて嬉しかっただろうな!

GitHubが人気なのは、リポジトリの内容や変更の差分、コミット履歴などがGUIで見やすいところも大きな特徴なんデス。この見やすさから、リーナスさんには「LinuxカーネルのメインリポジトリをGitHubにしてほしい」というリクエストがしょっちゅう届くようデスよ。

良いところはわかったけど、それでも無料のソースコード共有サービスはほかにもたくさんあるじゃない? なのに注目を浴びるのはGitHubばっかりって不思議だわ。

それは、「Markdown」の使い方が秀逸だった、ということでしょうネ。

マークダウン?

まさこさんや星先輩は、ブログを書いたりしマスか?

書いたことないわ。

3~4年前に半年くらい書いて、それっきり更新してないや。

星先輩、ブログでは「見出し文字」とか「太字」、「個条書き」みたいな文字の装飾は、ツールバーからアイコンを選んで指定してましたよネ。

うん、もちろん。Wordで慣れてるから、斜体も太字も自由自在だった。

そうデショ。ブログコンテンツは、GUIもしくはHTMLで書けるのが今でも主流デスね。ブログのエンジンであるCMS(Content Management System)は、利用者の使い勝手を考えて、普段使っているワープロソフトと近い操作感で文章を装飾できるように進化してきまシタ。

確かに何の前提知識が無くても、普通に使えるよな。

じゃあまさこさん、Wikiは書いたことありマスか?

Wiki? Wikipediaを見ることはあるけど……うーん、書いたことはないわ。

まさこさん、使ってるじゃない! あのRedmineのドキュメントとか!

えっ、あれもWikiなの!? 個条書きにするときは「*」を付けるとか、見出しには「#」を付けるとか、ちょっとクセのある書き方しなきゃいけないのよね。

Redmineを使っているなら話が早いデス。あのシンプルで独特の記法を総称して「軽量マークアップ言語」と言いマス。HTMLやXMLのこってりとしたタグだらけの「重量マークアップ言語」に比べて「ライトに書ける表記法」という意味デス。

まあ、クセはあるけどHTMLのタグを使うよりは確かにシンプルよね。

ちなみに、Redmineの軽量マークアップ言語は「Textile」と言いマス。軽量マークアップ言語にはほかにもたくさんの方言があるんですが、最近は2004年に発表された「Markdown」という形式が主流になりつつありマス。そのMarkdownの火付け役が、GitHubなんデスね。

へー、GitHubが?

昔から、インターネット上にコンテンツを掲載するための方法はいろいろ生み出されてきまシタ。初期はHTMLを書いてFTPでアップロードしていましたが、そのうちブログという仕組みが生まれて、手軽に情報発信できるようになりましたよネ。その後、mixiやFacebook、TwitterなどのSNSが出てきて、発信とともにコミュニケーションまでできるようになりまシタ。

うんうん、昔より断然簡単になったよな。

でも、どんな仕組みを使っても、使うサービスに合わせてサービス上でコンテンツを加工するので、手元にコンテンツそのものが残りまセン。凝れば凝るほど、結局そのサービスの手のひらの上で踊らされている感が強くなってきマス。

なるなる! 手間かけてブログを書いてたのに、ネットの調子が悪くて消えたときのあの悔しさ! だから、手元のエディタで元原稿作って、コピペで貼ってから装飾してた。

その「元原稿のまま、多少の装飾が付いたコンテンツにしたい」という動機から生まれたのがMarkdownを含む軽量マークアップ言語であり、その配信プラットフォームとしてのGitHubが、いわば個人用Wikiサイトとしてコンテンツ配信に「意外にしっくりきた」というのが本当のところだと思ってマス。

歴史から見るGitHub

なるほど、GitHubは「コンテンツをロックインされない公開プラットフォーム」ってことなのね。確かにブログやFacebookにしっかりした情報を書いたとしても、ダウンロードできるわけでもないし、書けば書くほど依存度が高まってる感じがしてて。星先輩みたいに元原稿を作っても、手元に残っている元原稿と、手を離れたコンテンツのギャップに違和感があったの。

そう、手元のMarkdownで書かれた元原稿をそのまま「Git Push」すると、装飾されたコンテンツとしてGitHubで公開されマス。この「自分のコンテンツが自分のコントロール下にある」という、ある意味当たり前だけど、これまで紙を含めて既存のメディアができなかったコト。それが出来るようにナッタ。これがGitHub最大の功績であり、大げさかもしれませんがインターネットの歴史の新たな一歩だと思いマス。

なんか感動した。オレ、やってみるよ。その新たな一歩を感じてみたい。

コンテンツをロックインして利用促進させるんじゃなく、コンテンツを扱いやすくすることで皆に「もっと利用したい」と思ってもらいたい。まるで北風と太陽ね。少なくともインターネット上の個人配信プラットフォームは、今後この方向に進むような気がするわ。

さて、追求したいITワードはまだまだたくさんあるのですが、調査はひとまずここまでデス。これからも気になる言葉、新しい用語が出てきたら、曖昧に流さずに調べてみてくださいネ。

はい!

読者の皆さん、また、いつかどこかでお会いしまショウ!

まったね~!!