前回、ハナちゃんにハイパーコンバージドシステムの「ハイパー」は「ハイパーバイザー(仮想化基盤)」を表していることを教えてもらった星先輩とまさこさん。ハナちゃんによると、ハイパーコンバージドシステムは、ハイパーバイザーが「2階建て」になっているそうです。一体、どういうことなのでしょうか?

ハイパーバイザーが2階建てって?

簡単に描いてみまショうか。普通のシステム構成がこうだとすると、コンバージドシステムはこうで、ハイパーコンバージドシステムは、こんな感じデスねー、サ~ラサラッと。

一般的なシステム、コンバージドシステム、ハイパーコンバージドシステムのシステム構成比較


(ハナちゃん、すごいスピードで描き上げた……!)

ハイパーコンバージドに限らず、最近のシステム構成ではストレージが泣きどころなんでスね。ストレージの仮想化による共有化が進んで、たくさんのサーバとSANで接続するのが当たり前になっていマス。その構成を組むのにエンジニアが泣き、請求書を見てオーナーが泣いていまシタ。

そう! ハイパーコンバージドシステムどころかストレージ単体でも、うちみたいな会社の年間予算じゃ足りないくらいなのよね。

逆にストレージ以外は、通常のサーバがネットワーク接続されているだけ、とも言えますね。そこで出てきたのが「『仮想化ストレージ』で、複雑かつ高価なストレージをソフトウェアで実現してしまえ!」というアプローチなのデス。

出た~、仮想化! もう何が現実で何がバーチャルなのかわかんないよな。

個々のサーバは内蔵ディスクを持っていマスよね。複数のサーバの内蔵ディスクを使って仮想的に1台のストレージを作るんデス。いわゆるSDS(Software Defined Storage)って奴デスね。vSphereなんかのVMを提供するハイパーバイザーから見ると、あたかもストレージが接続されているように構成できるんデス。

1階部分が仮想ストレージを提供するハイパーバイザーで、2階部分がそれを使ったVMを提供するハイパーバイザー。それで2階建てかぁ、にゃるほど。

ありがとハナちゃん、よくわかったわ。確かにあの大がかりなストレージ機器一式が不要になるのは超魅力的。でも、仮想化ストレージって聞いて気になるのが性能よね。仮想化って、ソフトウェアで動かしているんでしょ?

良い質問デスね。メリットの裏には必ずデメリットがあるのがIT技術デス。ローカルのHDD/SSDを使うメリットと、分散したサーバをネットワーク接続するデメリットの両方の側面がありマスが、ひとことで言うと「超高速なストレージは提供できないが、普通に使う分には十分な性能は出る」と考えてくだサイ。

あ、確かに。トレードオフってことね。じゃあ、DWHみたいに大きな容量が欲しいときは、サーバの台数を増やすしかないのかしら。

またイイ質問デス! ハイパーコンバージドシステムは、サーバとネットワークだけで始められるので、そもそも台数が不要な中小規模の企業や、スモールスタートする環境にピッタリなんデスね。でも、大きなストレージ容量が欲しいときは、まさこさんの言うとおりノード(ハイパーコンバージドシステムのサーバ)の台数を増やすことになりマス。ただし、実際運用していると、CPUが無駄になることも多いと聞きマス。

安くなると思ってハイパーコンバージドシステムを選んだのに、逆に高くなるってか?

規模が小さいときはハイパーコンバージドシステムのほうが割安なんデスが、ハイパーコンバージドシステムのノード単価やソフトウェアライセンスがまだ高価なので、ノード数が多くなると逆転してコンバージドシステムが割安になってくるんデス。

ノード単価ね。侮れないよなあ。

なので、大規模なクラウド事業者は当然ながら汎用機器を組み合わせたコンバージド型で構成されていマスし、ある程度の規模のプライベートクラウド環境もまだしばらくはコンバージド型で構成されていくはずデス。もちろん、ノード単価だけじゃなく運用保守コストや信頼性、交換可能性など多方面から環境と戦略に合わせて選択する必要がありマスけどネ。

ちょっと待って。「しばらくは」ってことは、いつかハイパーコンバージドシステムが主流になるってこと?

それはわかりませんが、ハイパーコンバージドやSDSの世界は今、熱いデスよ。Nutanixをはじめ、VMWareのVSANやEMCのScaleIO、IBMのSpectrum、QuantumのStorNextなど各社が激戦を繰り広げている市場であることは間違いありまセン。OSSも含めて価格が低下して来ると、一気に主流になるかもしれまセンよ。

今まさに、盛り上がってる最中なのね!

業界の目指している「Scriptable(コードで制御可能)なインフラ」は、OpenStackのようなクラウドプラットフォームやDockerのようなコンテナ技術とともに、「SDx(Software Defined Anything:ソフトウェア定義)」が前提になって動いていマスからネ。

ほらみろ! やっぱりハイパーな未来が待ってるじゃないか! 何かオレ、SDxに超ワクワクしてきたーー!

ちょっとセンパイ、そんなダッシュでどこに行くんですかっ!? ……って、あーあ、行っちゃった。

ハイパーコンバージドシステムって、人をワクワクさせるっていう意味でも良いネーミングなのかもしれまセンね。