シマンテックは11月16日、「ノートン サイバーセキュリティ インサイト レポート2016」を発表した。これは世界21地域の消費者のうち、モバイル機器を保有する1000名ずつにアンケートを実施したもので、昨年に続き2回目の調査となる。
これによると、世界のネット犯罪被害者は6億8900万人に達し、昨年比で約1億人増加した。また、オンラインのセキュリティを維持することは、現実世界よりも難しいと考えている人が世界の51%、日本でも47%となっており、一般消費者のオンラインセキュリティの意識が高まっていることが伺える。さらに「主体的に個人情報の保護を考えなければならない」と理解している日本人も、74%に達していた。
世界の「ネット人口」がおよそ35億人と考えると、8人に一人は被害者という事になる。調査対象だけで考えればもう少し大きい可能性がある |
被害金額はやや減少。ランサムウェアのターゲットが個人から法人にシフトしてるためとみられる |
現実世界よりもオンラインのセキュリティ維持が難しいと考える人がほぼ半数に |
消費者目線でも「ネットでの個人情報を自分で守らなければ」と考える人が多い |
オンラインセキュリティ維持の具体的行動は微妙。フィッシング詐欺メールか「勘で判断」する特徴も
一方で、日本人の33%は「セキュリティ対策を施していない機器を持っている」と回答していた。
すべてのデバイスでセキュリティ対策を行わない理由のTOP4は「費用が掛かりすぎる」「オンラインで『危険を伴う』事はしないので安全対策は必要ない」「デバイスごとに別々のパスワードを用意するのが大変」「自分が持っているデバイスに安全対策は不要」だった。
パスワード関連では、すべてのアカウントに安全なパスワードを設定している日本人は26%にとどまり、世界平均比でかなり低い数値となっていた。なお、ノートンが想定する安全なパスワードは「10文字以上で大文字、小文字、数字、記号を組み合わせたもの」とかなり厳しい設定。世界の数値が高い要因は「パスワードジェネレーターを含むパスワード管理ソフトを使用していると推定している」(古谷氏)とのことだった。パスワード関連では、「他の人とパスワードを共有している」という回答が世界で24%、日本では15%だった。
日本人の3人に1人は「ノーガード戦法」の機器を持っていると回答 |
安全なパスワード保護も率が低い。ただ、ノートンの考える安全なパスワードがかなり厳しめで、パスワード管理ソフトを使わなければハンドリングできないだろう |
フィッシングメールに関する質問では、「フィッシング詐欺を経験したことがある」と回答した日本人が52%、世界平均では80%だった。フィッシングメールの判断基準では、日本人の26%が「勘でフィッシングメールか判断する」と回答しており、諸外国に比べ高い数字となっていた。
一方で「要求された行為で判断(世界51%/日本37%)」「要求された情報で判断(世界42%/日本21%)」という回答も多く見られた。この場合、フィッシングサイトに到達してからフィッシングメールの判断を行っていることから、いわゆる水飲み場攻撃などのケースではドライブバイダウンロードの被害に遭う可能性もあるだろう。