グローバル決済プラットフォームを提供するオランダのAdyen(アディエン)は5月19日、同社プラットフォームのアクワイアリング機能を日本市場でも展開することを発表した。

Adyenは、単一の決済プラットフォーム上でゲートウェイからリスクマネジメント、アクワイアリングといった決済フローを管理するというもの。すでにMicrosoft、Foodpanda、VanMoof、Breitling、G-Starが加盟企業に名を連ねており、日本では現在、Visa、Mastercard、JCB、American Express、Diners、Discover、UnionPayのアクワイアリングに対応する。

オンラインで行われた記者発表会には、Adyen アジア太平洋地域社長のウォーレン・ハヤシ(Warren Hayashi)氏、日本支社長のマーテン・ウェッセルズ(Maarten Wessels)氏が登壇。日本進出の背景や、日本市場に対する展望について語った。

広がるユニファイドコマースの世界

2006年にオランダで設立されたAdyenは、2012年に欧州のアクワイアリングライセンスを取得し、2016年にブラジル、2017年にシンガポール、香港、オーストラリア、ニュージーランド、2020年にマレーシアと範囲を拡大してきた。日本に関しては2019年に日本支社を開設して準備を進め、今回の発表に至る。

全世界に24のオフィスがあり、そのうち7つがアジア太平洋地域に位置する。2020年末、従業員数は全世界で1700名を超え、うちアジア太平洋地域には155名(東京には15名)が配属。サービスは全て自社開発で提供され、全世界で150の通貨、250を超える決済方法に対応する。

登壇したハヤシ氏は、「商業取引はグローバル化が進み、ユニファイドコマースの世界になっている。こうした状況のなかで、加盟店はAdyenを通じてシステムのデータをより詳しく知ることができ、そこから顧客に対する理解をさらに深めることが可能となる」と説明する。

ウォーレン・ハヤシ氏

Adyen アジア太平洋地域社長のウォーレン・ハヤシ(Warren Hayashi)氏

Eコマースが浸透した今、消費者は、いつ、どこでも好きなときに買い物できる便利さを求めており、その期待値は年々高まっている。これに応えるために、企業は常に自らを変革していかなければならない。

消費者は、ある日あるクレジットカードで支払い、別の日に違うカードで決済する可能性がある。また、オンラインで購入することもあれば、店頭で買うこともあるだろう。これは、消費者にとってはさまざまな選択肢がある喜ばしい状況だが、それらのデータが異なるプラットフォームに分散している場合、店舗(企業)には同一人物による取引であることを判別するのが難しい。だが、「Adyenは違う」とハヤシ氏は説く。

「単一のプラットフォームでゲートウェイ、リスクマネジメント、プロセッシングを備えており、全世界のスキームに接続しています。あらゆる市場のあらゆるチャネルのデータの可視性を持つため、その顧客がどういう人物なのかを知ることが可能です」(ハヤシ氏)

Adyen

既存のカード決済プロセス(上)とAdyenの決済プロセス(下)

同氏曰く、得られたデータを分析/活用することで、消費者にパーソナライズされた購買体験を提供でき、オムニチャネル、ユニファイドコマースを実現できるようになるという。