Cascadia Code version 1911.210登場

前回はWindows Terminal Preview version 0.7で導入された新機能について取り上げた。実はこのバージョンにはCascadia Codeフォントの新しいバージョンが同梱されている。1つ前のバージョンでは、次のようにCascadia Codeのバージョン1910.040が同梱されていた。

Windows Terminalプレビュー版をインストールするとCascadia Codeフォントが自動的にインストールされる

Windows Terminal Preview version 0.7よりも1つ前のバージョンにはCascadia Code version 1910.040が同梱されている

Windows Terminal Preview version 0.7にアップデートすると、次のようにCascadia Codeのバージョン1911.210がインストールされる。

Windows Terminal Preview version 0.7にはCascadia Code version 1911.210フォントが同梱されている

Cascadia Codeバージョン1911.210には次のような変更が施されている。

  • ギリシャ文字、キリル文字、ベトナム文字からいくつかの文字を追加
  • 点字フォントの改善
  • コードページ437およびコードページ850に必要となるフォントの追加
  • 幾何学的図形フォントの追加
  • 欧米で使われる水平単線の不等号フォントの導入
  • 「≡」フォントの追加
  • チェックマークフォントをサポート
  • BBEditで表示されないグリフの表示がおかしい問題を修正
  • LINE SEPARATOR(U + 2028)をサポート
  • 単一引用符と二重引用符の改善
  • ダッシュとハイフンの改善


Cascadia Codeフォントは導入されたばかりのフォントだ。多くのユーザーの利用によってさまざまな不具合が発見されており、そうした不具合報告や要望に随時対応している段階にある。

Cascadia Codeフォントに新しいバリエーション

Windows Terminal Preview version 0.7には同梱されていないが、Cascadia Codeバージョン1911.210にはCascadia Codeに3つのフォントファミリーが追加されている。MicrosoftがWindows TerminalをLinuxユーザーも満足できるターミナルアプリケーションにしようとしている配慮の表れではないかと思う。「これでやっと満足できる」というユーザーも少なくないはずだ。追加されたフォントファミリーは次の通りである。

  • Cascadia Code Mono
  • Cascadia Code Mono PL
  • Cascadia Code PL


Release Cascadia Code 1911.20 · microsoft/cascadia-codeからフォントファイルをダウンロードし、設定アプリケーション経由でインストールすれば、次のように使用できるようになる。

使用できるようになった新しいCascadia Codeフォントファミリー

「Mono」は合字が含まれていないフォント、「PL」はPowerlineフォントが含まれているフォントだ。Cascadia CodeはWindows Terminalと組み合わせて使われることが想定されていることを考えると、MonoとPLの導入はMicrosoftの本気度を示すものと言えそうだ。合字とPowerlineの有無を整理すると、次のようになる。

フォント 合字 Powerline
Cascadia Code ×
Cascadia Code Mono × ×
Cascadia Code Mono PL ×
Cascadia Code PL

合字、例えば「!=」と入力すると「≠」として表示されるといった機能だが、この機能は最近の統合開発環境や多機能エディタで流行っているとはいえ、好みの差が激しい機能でもある。ターミナルでVimのようなエディタを使うとなると、合字は逆に嫌われるかもしれない。また、VimのようなCUI指向のエディタを使うなら、パワーラインを表示するためのフォントが欲しくなることもあるだろう。

Cascadia Codeバージョン1911.210で導入されたMonoやMono PL、PLといったバリエーションを使うと、この部分を好みの挙動に合わせることができる。MicrosoftがWindows Terminalに本気で取り組んでいることを示す好例と言えそうだ。

Cascadia Code Mono

Cascadia Code Monoは結構需要の高いフォントではないかと思う。次のようにCascadia Codeでは合字が使われる。

Cascadia Codeでは合字が表示される

Cascadia Code Monoでは次のように合字は使われず、入力した文字がそのまま表示される。

Cascadia Code Monoでは合字は機能しない

合字になってほしくないユーザーもいるし、合字になると都合が悪いケースもある。そういった場合にはCascadia Code Monoを使えばよいということになる。

Cascadia Code PL

Cascadia Code PLはCascadia CodeにPowerlineフォント(アイコン文字)を追加したものだ。例えば、該当するコードはCascadia Codeには存在していないため、次のようにいわゆる”豆腐”が表示される。

Cascadia CodeにはPowerlineに相当するデータは用意されていない

Cascadia Code PLにはPowerlineフォントが追加されており、次のように表示される。

Cascadia Code PLにはPowerlineフォントデータが追加されている

Powerlineフォントはステータスラインやコマンドプロンプトなどをリッチに表示するために使われる。ターミナルを多用するユーザーのなかには、このフォントがないと仕事にならないケースも少なくない。

Cascadia Code Mono PL

Cascadia Code Mono PLはCascadia Code MonoにさらにPowerlineを追加したものだ。このフォントもかなり需要があるのではないかと思う。特にこれまでターミナルでPowerlineを使っていたような場合、実質的にこのフォントが選択肢になるだろう。これまで通り合字を使わずに入力したまま表示されるし、Powerlineも使用できる。MicrosoftがLinuxでターミナルアプリケーションを使ってきたユーザーに対して大きな配慮をしていることがわかる。