日立ソリューションズは6月2日、同社の空間情報ビジネスを「GeoMation(ジオメーション)」ブランドに統合するとともに、そのラインナップの一つである地理情報システム「GeoMation」の新版を6月3日から販売開始すると発表した。新版では、GPS情報の分析結果をリアルタイムで地図上にヒートマップやグラフのかたちで表示できるようになったほか、APIの拡充により、各種CRM製品、ERP製品、BIツールなどとの連携を実現している。

IoT時代の到来を視野に入れたブランド統合

日立ソリューションズでは、かねてより地理情報システムのほか農業支援アプリケーション、船舶位置情報サービス、屋内位置把握システムなど空間情報を活用したさまざまなソリューションを提供してきた。

「しかし、IoTの利用が広がる今、企業の成長には空間情報のより高度な活用が不可欠です」と、日立ソリューションズ クロスインダストリー事業部 空間情報ソリューション本部 本部長 太田和孝氏は説明する。

そこで今回、ビッグデータの最適な活用プラットフォームを実現するために、これまで個別に展開していたソリューションを一つのブランドに統合。ワンストップでのサービス提供を実現するという。

GeoMationブランドの製品ラインナップ

このうち、地理情報システムGeoMationの新版では、APIの拡充により、企業が保有するデータと地図やオープンデータ、統計データなどとを連携したクラウド型サービスを展開する。その第一弾として「顧客・会員管理サービス/エリアマーケティング」「自治体向け台帳管理サービス」「不動産用仕入管理サービス」の3つのサービスを発表。発表会では、「顧客・会員管理サービス/エリアマーケティング」の利用例が2つのデモを交えて紹介された。

一つは、球場で開催されるイベントを想定した参加者の行動分析である。GPSの情報を元に参加者の動きをヒートマップで可視化し、イベント前後に人が集まるスポットを特定することで、近隣商業施設とのキャンペーン展開やクーポンの発行などを企画するといった利用方法が考えられる。

GPS情報を取得し、地図上に参加者の現在地を表示

ヒートマップにより、密集度を可視化

もう一つは、営業戦略を検討する際の活用方法として、企業が保有する顧客リストの住所情報を地図上に表示し、営業担当者の配置を最適化したり、未開拓のエリアを洗い出したりする例が示された。

顧客リストの情報を元に、営業先を地図上に表示

部署ごとの担当エリアと実際の営業状況などを可視化

これらのサービスの実現にあたっては、ゼンリンと協業しており、同グループが提供する地図や統計などのコンテンツを活用している。太田氏は、「顧客や各業種のノウハウを持ったパートナーとつながることで斬新なアイデア、新たなビジネスを生み出すエコシステムを作りたいと考えています」と意気込みを見せた。

日立ソリューションズの空間情報分野の売上規模は、2015年度実績で約80億円。同社は今後、GeoMationと関連ソリューションの提供により、2020年度には年間150億円規模に拡大することを目指すとしている。