戸建ての売却にかかる税金の種類は?計算方法や節税方法を徹底解説

不動産売却

「戸建てに住んでいるけれど手放そうと考えている…。」
そのようなときに気になるのは、売却価格や買い手が見つかるかのほかに、税金のこともあげられるのではないでしょうか? 多くの方にとってマイホームを売却することは一生に一度のことなので、戸惑いや不安を感じてしまうのも無理はありません。しかし、そういった悩みは、知識を身に付けることで解消できることもあります。

そこで本記事では、戸建ての売却にかかる税金について解説します。税金の計算方法や節税のやり方などを紹介しますので、これから戸建ての売却を検討されている方はぜひ参考にしていただき、スムーズに売却できるようにしていきましょう。

戸建ての売却にかかる税金

fudousan5327

戸建ての売却には、大きく分けて以下の4種類の税金が関係してきます。

  • 所得税
  • 住民税
  • 印紙税
  • 登録免許税

税金の種類によって課税の参照元が異なったり、軽減税率の適用の有無などの差があるため、共通点や違いを把握していきましょう。

譲渡所得にかかる所得税と住民税(譲渡所得税)

戸建てを売却したときに得られる譲渡所得には、所得税と住民税(いわゆる譲渡所得税)が課せられます。譲渡所得税は、分離課税といって給与所得や事業所得など他の所得とは分けて計算されます。

所得税は利益に課せられる税金です。今回は戸建ての売買の利益に対するものとして扱われます。住民税は前年の所得に対して課税される税金で、売却した年の1月1日時点で住民票のある市区町村に納付します。

これらの税は、売却した年の1月1日時点の所有期間によって税率が変わります。具体的には5年以下の短期譲渡所得5年を超えた場合の長期譲渡所得に区分され、それぞれ下記の税率で計算されます。

  • 短期譲渡所得(5年以下):所得税30%、住民税9%
  • 長期譲渡所得(5年超) :所得税15%、住民税5%

長期譲渡所得の方が税率が低いため、節税をするには5年を過ぎてから売却した方が良いと言えます。

不動産の譲渡所得の分離課税に関しては、こちらの記事で詳しく解説しています。ご覧になってください。

不動産の譲渡所得の分離課税とは?計算方法や控除について解説
「マンションを売却して得た所得が、なぜ分離課税なのか知りたい」、「譲渡所得の計算方法も知りたい」と悩んでいませんか。不動産を売って出た利益である「譲渡所得」に分離課税が採用されているのは、税額が高額になることを防ぐためです。この記事では、こ...

復興特別所得税について

譲渡所得税は上記の所得税・住民税のほか、2037年までは復興特別所得税が加算されます。復興特別所得税は2011年に発生した東日本大震災による被害からの復興を目的とする税金です。

不動産売却においては、上記と同じく短期譲渡所得か長期譲渡所得かによって税率が異なります。

  • 短期譲渡所得(5年以下):復興特別所得税0.63%
  • 長期譲渡所得(5年超) :復興特別所得税0.315%

売買契約書に貼る印紙にかかる印紙税

印紙税は、売買契約書や領収書など一定の文書を作成した際に納める必要がある税金です。戸建ての売却金額など文書に記載された金額によって税額が変わります。売買契約書の場合は売主・買主で折半します。

2023年3月31日までは軽減税率が適用されており、期間限定ではあるものの負担が軽くなっています。記載金額ごとの印紙税額は以下の通りです。

文書に記載された金額(契約金額など) 本来の印紙税額 軽減後の印紙税額
5百万円から1千万円以下 1万円 5千円
1千万円から5千万円以下 2万円 1万円
5千万円から1億円以下 6万円 3万円
1億円から5億円以下 1万円 6万円

なお、印紙税を納めなかった場合は、本来払うべき金額の3倍の過怠税が課せられるので注意しましょう。

抵当権抹消登記に必要な登録免許税

登記にかかる税金が登録免許税で、登記の種類によって税額が異なります。

戸建ての売却関係ですと、戸建てを購入したときに住宅ローンを利用し、それを完済した場合は、抵当権抹消登記を行います。計算式は次の通りです。

抵当権抹消登記の登録免許税=1,000円×不動産の件数
この不動産の件数とは、土地は筆数建物は個数をいいます。例えば、土地1筆、建物1個の抵当権抹消登記を同時に行った場合は不動産の件数はあわせて2件になります。

所有権移転登記に必要な登録免許税は買主が負担

土地・建物の名義変更に伴う所有権移転登記の登録免許税は、次のように計算しますが、買主が負担するのが一般的です。

・所有権移転登記の登録免許税(本則税率)=固定資産税評価額×2%
・所有権移転登記の登録免許税(軽減税率)=固定資産税評価額×1.5% ※2023年3月31日まで

戸建て売却の手数料にかかる消費税

戸建ての売却にあたっては、次のような手数料などに対して10%の消費税の支払いが求められます。

  • 不動産会社に対する仲介手数料
  • 司法書士に対する手数料
  • 住宅ローンの手続きに対する手数料

消費税は戸建ての取引にかかると思われがちですが、消費税が発生するのは課税事業者(不動産会社など)が事業として売却する建物分のみで、土地分にはかかりません。また課税事業者ではなく個人として戸建ての売買をする場合は、原則として消費税はかかりません。

消費税についてより詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。

土地売却に消費税は課税される?かかる場合と不要な場合を徹底解説!
普段の生活で購入する食品や日用品に消費税がかかるのは、多くの人がご存知だと思います。ですが、金額の大きな土地を売却した際に消費税がかかるのか知っている人はあまりいません。実は、土地売却は非課税のため土地そのものに消費税がかかることはありませ...

戸建ての売却にかかる税金の計算方法

この項目では戸建ての売却にかかる税金の計算方法の解説を行っていきます。これまでに紹介を行ってきた税金に関する情報をまとめ、計算上でどのような役割を果たしているのかを把握していきましょう。

譲渡所得を算出する

税金は譲渡所得に対して課されるので、まずはそれを求めなくてはなりません。譲渡所得は以下の計算式によって求めます。

譲渡所得=譲渡価額-取得費+譲渡費用
計算で用いられる基本的な要素は、式に記載した通り次の3つがあります。
  • 譲渡価格:戸建てが売れたときの価格
  • 取得費:物件を取得する為に支払った費用
  • 譲渡費用:物件を売る為にかかった費用

取得費について

取得費は売却する戸建てを取得するときにかかった費用を合算した額です。主に物件の購入費と仲介手数料などの諸費用の2種類を足して求められますが、後者の諸費用は中古住宅では物件価格の6~8%が目安とされています。

戸建ての取得費を算出するときは、建物の経年劣化を減価償却計算で求めなくてはなりません。土地などの他種と比べ、戸建ては築年数による価値の変動が激しいためです。減価償却の計算は以下のように行われます。

減価償却費 = 「建物の」購入価格 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

「建物」の購入価格は、市区町村から毎年5月頃に送付される固定資産税の納税通知書を使い、価格における建物と土地の割合から調べます。

償却率は、木造や鉄骨造などの建材の違いによって次のように定められています。戸建ては木造に分類されることが多いですが、全部事項証明書(登記簿謄本)などで確認しましょう。

  • 木造:0.031
  • 木骨モルタル:0.034
  • 鉄骨コンクリートまたは鉄筋コンクリート:0.015
  • 金属造(1)(軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3mm以下の建物):0.036
  • 金属造(2)(軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3mm超4mm以下の建物):0.025

経過年数はそのままの数字を使いますが、6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満の端数は切り捨てます。

また、相続などで受け継いだ古い建築物である為に資料が残っておらず、購入価格が不明な場合は、譲渡価額の5%相当額を概算取得費として計上できます。

譲渡費用について

譲渡費用は、物件を売るために売主が支払った費用を指します。譲渡費用に含まれる費用は主に以下の3つです。

  • 土地や建物を売るために不動産会社に支払った仲介手数料
  • 印紙税で売主が負担したもの
  • 立退料(貸家で入居者に立ち退きをしてもらった場合)

譲渡費用の合計の目安は売却価格の5%くらいが相場であると言われています。

所有期間に応じた税率をかける

上記の通りに譲渡所得の計算ができたら、最後に所有期間に応じた税率をかけます。

前に「譲渡所得にかかる所得税と住民税(譲渡所得税)」で解説したように、5年以下の所有期間では短期譲渡所得5年を超える長期譲渡所得で税率が下表のように異なります。

期間 所得税 住民税
短期譲渡所得(5年以下) 30% 9%
長期譲渡所得(5年超) 15% 5%

譲渡所得に所有期間に応じた税率をかけて、譲渡所得税の税額を求めます。

戸建ての売却にかかる税金を抑える方法

ここまで売却に関連する税の解説をしてきましたが、できることならば出費を抑えたいという方がほとんどではないでしょうか? そこで、この章では、戸建ての売却に関連する節税方法について解説します。

3,000万円の特別控除を適用させる

3,000万円の特別控除は、自宅の住み替え目的で戸建てを売却を行った際に適用できる特例です。 投資用の物件の売却では使用できませんが、戸建ての売却が引っ越しの一環であるならば譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。

譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額3,000万円(最高)

譲渡所得が3,000万円以内であれば課税分を完全に消化でき、税額がゼロになるため、可能であれば適用をおすすめします。

不動産の売却で受けられる控除に関して、詳しく解説したこちらの記事もおすすめです。ぜひご覧ください。

不動産売却時に受けられる特別控除とは?適用条件や必要書類を解説!
不動産売却は大きな金額が動くだけにかかってくる税金も多くのケースで高額となります。せっかく高額で売却できたとしても、税金を払った後に手元に残った金額が想定より全然少なかったら今後の生活に支障がでてしまいますよね。特別控除という制度を利用すれ...

軽減税率の特例を適用させる

所有期間が10年を超えている居住用の物件を売却すると、所得税と住民税の税率が軽減されます。譲渡所得が6,000万円以下の部分が減税される仕組みとなっており、長期譲渡所得から更に税率を抑えられます。6,000万円を超える部分は減税されません。

譲渡所得 所得税 住民税
6,000万円以下の部分 10% 4%
6,000万円を超える部分 15% 5%

仮に譲渡所得が7,000万円であった際には、6,000万円までが所得税10%、住民税4%で計算され、残りの1,000万円が所得税15%、住民税5%で計算されることになります。

特定の居住用財産の買い換え特例を適用させる

2021年12月31日までに特定の条件を満たした戸建てを売却して買い換えると、譲渡所得税が課税を将来に繰り延べられます。条件は主に以下の3つです。

  • 売却年から過去3年以内に特例の適用(3,000万円特別控除など)を受けていない
  • 売却代金が1億円以下
  • 売却物件の居住および所有期間が10年以上

なお、これはあくまで課税を将来に繰り延べるのみであり、税額が軽減されるわけではありません

取得費加算の特例を利用する

相続から3年10ヶ月以内の売却で取得費加算の特例が利用できます。具体的には取得費に相続税額を加算できるため、税金を抑えられる仕組みです。

戸建ての相続を受けてまだ間もない方で売却を検討している方は、適用を視野に入れて検討すると良いでしょう。

戸建ての売却にかかる税金の確定申告について

戸建ての売却で利益を得た際には、確定申告は必ず行わなければいけません。確定申告は義務である上に、節税を行う為の申請なども確定申告を通して行う為、戸建ての売却にとっては切っても切り離せないものです。この項目では確定申告の必要性や行い方などに関して解説を行っていきます。

確定申告の必要性

確定申告はその年度における収入・支出を申告し、それを基に所得税・住民税を支払う手続きです。譲渡所得が発生した際には必ず確定申告を行わなければなりません。

これまで述べてきた節税方法としての控除や特例の適用も確定申告を通じて行われます。会社員に対して支払われる給与所得であれば会社が手続きをしてくれますが、戸建ての売却は給与所得とは別の譲渡所得となっているため、自ら手続きを行わなくてはなりません

戸建てを売却して赤字になった場合は、譲渡所得税も発生しませんし、確定申告を行う必要は必ずしもありません。ただ、申告したほうが節税できるケースもあるため、税理士に相談するのがおすすめです。

確定申告については、次の記事もご覧ください。

不動産の売却損は確定申告で節税が可能!?節税対策を徹底解説【FP監修】
不動産の売却で購入時の価格より下回ってしまったり、買い換えの際に売却する家より購入する家の価格が高かったりなど、不動産売買において売却損に陥るケースは少なくありません。 売却損が出た場合は、確定申告によって住民税や所得税の控除が受けら...

確定申告の期間と税金の支払い時期

確定申告をするには、確定申告書を作成し、所轄の税務署に提出しなくてはなりません。電子(e-tax)、郵送、税務署に直接提出など、提出方法はいくつかあります。

原則2月16日から3月15日までの1ヶ月の間に提出することになっていますが、2019年分と2020年分は新型コロナウイルスの影響により4月15日までに延長されるなど年によって期間が変わるので、売却翌年の1月になったら国税庁のホームページ国税庁)で確認しましょう。国税庁のホームページで申告書を作成することもできます

期間内に提出できなかった際には後述のペナルティが課されます。期限までに間に合うよう、早めに準備し、わからないことは税理士に相談しましょう。

確定申告に必要な書類については、次の記事もご覧ください。

不動産売却で必要になる書類とは?確定申告まで不備なく申請
不動産を売却するときにはさまざまな書類を準備する必要がありますが、その都度必要になった時点で準備すればいいと考えていませんか? 実は不動産売却が成功するかどうかは書類を準備する段階から決まってきます。 不動産売却の際に踏む手続き...

確定申告をしない場合のペナルティ

確定申告の提出期限を過ぎると期限後申告となり、無申告加算税の支払いを求められます。

また、故意に申告を行わないとさらに重加算税として、最大で納付すべき税額の40%が追加で課されてしまいます。確定申告においては期限の遵守がとても重要です。

戸建ての売却にかかる税金に関するQ&A

この章では戸建ての売却にかかる税金に関するQ&Aをご紹介いたします。これまでの解説ではカバーしきれなかった疑問点に関して補う内容となっているため、取りこぼしがないようにチェックしてください。

所有期間の計算方法は?

5年以下の短期譲渡所得か、それとも5年超の長期譲渡所得かを判断するには、購入してから売却するまでの間にお正月を何回迎えたかを数えるのが一番わかりやすいです。

  • お正月が5回以下:短期譲渡所得
  • お正月が6回以上:長期譲渡所得

例えば、2017年4月30日に購入した戸建てを2021年5月30日に売却したとします。迎えたお正月の回数は4回ですので、この場合は短期譲渡所得になります。

この条件を変えて、2017年4月30日に購入した戸建てを2022年1月30日に売却したとすると、今度は迎えたお正月の回数は5回ですので、この場合は長期譲渡所得になります。

5年を超えるか超えないかのタイミングで売却するのであれば、売却は購入時から5年以上が経過した年の1月1日以降にするのがおすすめです。

短期譲渡と長期譲渡に関して詳しく解説を行ったこちらの記事もぜひご覧ください。

短期譲渡と長期譲渡を比較!売却や税金で損をしないポイントを解説
持っている土地や住んでいる自宅、不動産投資のために所有しているマンションなど不動産を売却すると、その売却で得た収入に合わせて税金を納める義務が発生します。この不動産売却収入に対する税金は、売却した不動産をどの程度の期間所有していたかで税率が...

取得費が不明の場合は?

取得費を把握できない場合は、譲渡価額の5%相当額概算取得費として計上できます。

概算取得費=譲渡価額×5%

例えば、3,000万円で売った戸建ての取得費を明らかにができない場合は、売却金額の5%相当額である150万円を取得費として計上できます。

また、実際の取得費が売却金額の5%を下回る場合も、売却金額の5%を取得費にすることできます。

譲渡損失が出た場合は?

戸建ての売却で譲渡損失が出た際には、譲渡所得が発生しないため譲渡所得に対する税金が課されません

また、一定の要件を満たすと、給与所得や事業所得などと赤字分を相殺(損益通算)したり、翌年以降に納税を繰り延べすることができます。適用可能な特例には以下の2つがあります。

  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

これらの特例の適用には2021年12月31日までに譲渡を行った物件」「譲渡年の所得が3,000万円以下」「長期譲渡所得の条件を満たしている」「投資用ではない」などの条件を満たす必要があります。

確定申告時にこれらの特例を適用することで税制上の優遇措置が受けられます。条件を満たしているかどうかが分からない場合は、税理士に相談しましょう。

まとめ

ふどうさん6261511

本記事では戸建ての売却における税金に関して解説してきました。戸建ての売却においては多種多様な税金が課せられるため、それらを事前に把握することが重要です。税金の仕組みを理解することで、節税での出費を抑えるためには、例えば売却のタイミングはいつにするかなどの判断ができるようになります。

本記事を参考にして、戸建ての売却と税金のルールについて理解を深め、ぜひ売却活動をスムーズに進めてください。

タイトルとURLをコピーしました