所有している土地をどう活用しようか考えている最中、トランクルーム経営という選択肢に思い至った、という人は数多く存在しています。トランクルームの需要は年々増加傾向にあり、家具家財の整理や、一時的な荷物の保管先、事務所の倉庫などの様々な利用目的の元でユーザーの注目を集めています。
しかしながら、経営というものには難しい印象がついてしまいがちなもので、トランクルーム経営が「流行っている」なら、うまい話には裏がある……と不安を招く事もおかしい話ではありません。成功の裏には失敗があります。経営で失敗したくない、失敗しなかったとしてどれくらい儲かるのか?と、躊躇する心理は当然のことです。
重要な事は経営の知識を身に付け、メリットとデメリットを踏まえた上で判断する事です。この土地はトランクルームの経営に向いているのか?他の選択肢は無いのか?成功する為にはどのような知識が必要か?疑問を解消して土地活用の成功につなげる為に、トランクルーム経営の知識を身に付けましょう。
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トランクルーム経営の基礎知識
トランクルームの経営には2つの形態と4つの運営方法が存在しています。これらを知っておく事で、自分の資産やニーズに合った経営方法を探し出す事ができるようになります。
また、オーナーのニーズに加え、顧客のニーズともマッチしなければ経営は成り立ちません。トランクルーム経営の需要が年々増加傾向にある事についても解説していきます。
経営の形態と運営の方法、需要の把握の3つの基礎知識を身に付けましょう。
トランクルーム経営の2つの形態
トランクルームの経営形態には、大きく分けて屋外型と屋内型の2つがあります。保有している土地や資産に合っている経営形態を選びましょう。
土地にコンテナを設置する屋外型
屋外型は郊外などの広い土地に向いている経営形態です。別名ではコンテナ型とも言われますが、いずれにせよその名前通りに、整地された屋外の土地にコンテナを並べて設置することで経営を開始することができます。利用者とは契約を取り交わすだけなので、トランクルームの現地に常駐して管理を行う必要はありません。
屋外型最大のメリットは、低コストかつ手間をかけず経営ができる点だと言われています。比較的安価な郊外など、適した土地を持っていれば、整地してコンテナを並べるだけで経営を開始できる手軽さは魅力的と言えるでしょう。
一方で、自然災害等の影響を受けやすい点は大きなデメリットです。また多数のコンテナを並べて利益を得るデザインから、狭い土地には向かない経営形態です。
屋外型の経営の検討にあたっては、土地の広さに着目するといいでしょう。
空き部屋でも活用できる屋内型
屋内型は室内でおこなう経営形態で、ルーム型とも言われています。主にビルの1室やフロア、店舗として売り出されている不動産物件を使って、ロッカーやパーテーションで区切って収納スペースを貸し出しています。
こn経営形態は居住用としての需要がなかったマンションやビルといった物件を活用でき、管理や修繕にコストのかかる居住用物件よりも低コストで経営できるので、そういった物件を保有している人にとっては魅力的な経営形態と言えるでしょう。また、屋外型ほど広い収納スペースを必要としない人にも需要があるため、短期的な利用や少量の利用も見込むことが出来ます。
デメリットとしては、屋外型のトランクルームと比べると比較的コストがかかる事が挙げられます。収納された物品を守る為に室内の温度・室温管理が必要であったり、トランクルーム全体を管理する管理人の常駐が求められる事から、ランニングコスト(経営を維持する為に必要なコスト)が屋外型以上にかかってしまいます。
トランクルーム経営の4種類の運営方法
トランクルーム経営の運営方法は、主に以下の4つに分けることができます。
- フランチャイズ運営
- 事業用定期借地方式
- リースバック
- 自営
それぞれの特徴やメリットとデメリットを把握し、適した運営方法を選びましょう。
管理が楽なフランチャイズ
トランクルームの需要増大は専門業者の出現を呼びました。経営は難しそうで、自分で管理や集客活動をおこなうのは不安だと思っている場合には、フランチャイズ運営がおすすめです。
フランチャイズ運営は、料金設定など経営初心者には難しい設定をトランクルーム業者に決めてもらうことができるため、土地活用の経験がない人でも簡単に始めることができます。大手の専門業者のネームバリューを借りて運営できるため、ユーザーの信頼と注目を集めやすいのも利点の一つです。早期集客が期待されるでしょう。経営のノウハウを身に付けるまではフランチャイズ運営を行い、十分資金が集まってから独立して自営を目指すというのも選択肢のひとつです。
しかし、所有者はフランチャイズ本部に対し毎月ロイヤリティ(使用料)の支払いが発生します。ロイヤリティは決して安いとは言えないことが多く、注意が必要です。ネームバリューを後ろ盾に経営失敗のリスクを回避できるものの、土地の所有者に設備の設置やメンテナンス費用などの負担が求められることも多くなる傾向にあります。
安定した収入の事業用定期借地方式
自分で経営を行うのではなく、専門業者に土地を貸し出すことで定期的に賃料を得るという方法もあります。所有者は土地の貸出を行い、固定資産税等の維持コストを支払うのみです。運営に関する費用や手間は一切かかりません。経営に充てる時間のない人や、所有する遠方の土地をトランクルームで経営しようという人にもおすすめです。
トランクルームが挙げた利益に関わらず業者から決まった賃料が支払われるため、安定した収入を得ることができます。自分で土地を整地したり、設備を整えたりする必要もありません。
しかし利益に関わらないという事は、仮にそのトランクルームが繁盛したとしてもその金額が上乗せされることはないという事です。この事から自分で経営したほうが収益を得られる可能性も否めない運営方式となっています。
土地の貸し出しについては借地料の計算が関連してきます。こちらの記事で詳細に解説しておりますので、興味のある方はぜひお読みください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/8264
トランクルームごとに借り上げてもらうリースバック
リースバック方式は、上記の定期借地方式のように企業に貸し出すことで定期的な賃料を得る運営方式です。一括借り上げ方式とも呼ばれています。定期借地方式とは、土地の所有者が土地の整備やビルの建築、コンテナの設置などの費用を負担する点が異なります。
土地を借りる側のトランクルーム業者は、初期投資が安く高い収益が見込める場所を借り入れたいというニーズを持って土地の貸主を探しています。そういった企業側のニーズとマッチしているサービスなので、借り手に困る事は少ない運営方法と言えるでしょう。また、フランチャイズと同じく自分で経営するのが不安という人にもおすすめできます。
ただし、定期借地方式よりも初期費用がかかることや、定期借地方式と同じく仮に繁盛したとしても賃料の上乗せは無く、自分で経営したほうが収益を得られる可能性も否めない運営方法である事に留意しておきましょう。
利益が大きいトランクルームの自営
4つの運営方式のなかで最も利益が大きいのが自営です。設備投資、経営管理、料金設定、メンテナンス……といった経営にまつわるあらゆる事を全て自分で行わなければならない方式です。収入が賃料に関与しない借地方式やリースバック方式と異なり、フランチャイズのようにロイヤリティを支払う必要もないため、発生した利益がすべて自分の収益と直結します。つまり、繫盛すれば他の運営方法よりも大きな利益を得ることができるのです。
それは同時に、発生した不利益もすべて自分のものになるということを意味しています。集客に失敗し、利益が発生しなくとも、経営を続ける限りは管理のコストによる出費が発生します。自然災害などで損失を出してしまった場合にも補償するのは経営者自身です。
ハイリスク・ハイリターンのため、自営は経営初心者がおこなうには負担が大きいと運営方法である言えるでしょう。土地活用の経験や事業の経験が豊富な人におすすめの運営方法です。管理や広告など業務委託も可能な分野は存在している為、1人では手が足りない場合はそれらも利用すると良いでしょう。
トランクルームを含めた貸倉庫経営の始め方や手順についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧になってください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/11053
年々増加するトランクルーム需要
トランクルームの需要は、2010年代前後から現在にかけて右肩上がりの上昇を続け、2020年にはファミリーレストランの店舗数よりもトランクルームの方が多いと言えるほどまで市場規模が拡大しました。2025年には1,000億円規模の市場にもなると見込まれており、今後の需要拡大は見逃せないものとなっています。
これらの背景には都市部への人口集中や、2020年以降は特に新型コロナウイルスの蔓延によるテレワークやオンライン授業の増加があると言われています。これらの問題に共通するのはスペースの変化です。
都市部への人口集中によって新築マンションの1部屋あたりのスペースは減少し、足りない収納スペースをトランクルームに求めるようになりました。また、コロナ禍による在宅時間の増加は、住居においては生活スペースをより快適にする為の整理整頓でトランクルームを求め、オフィスにおいては滞在人数や時間の減少からダウンサイジングが進み、不要品をトランクルームに送るようになりました。
トランクルームの経営にあたってはこうした市場動向を確認する事も重要です。保有している土地の周辺が、全国的な市場の動向と合致しているかどうかも含めて確認し、トランクルームの需要が見込めるかどうかを判断していきましょう。
トランクルーム経営にかかる初期費用や利益
トランクルームの経営方針や運営方法を選ぶ際、そのコストや利回りの程度ついても知っておく必要があります。初期費用・ランニングコスト・利回りの3つの観点ごとに把握しましょう。
トランクルーム経営の初期費用と内訳
屋外型と屋内型の2つごとに、初期費用の相場を把握しましょう。
以下は屋外型にかかる費用一覧です。
種類 | 相場 |
整地費用 | 10,000円/坪 |
コンテナ代 | 100~150万円/基 |
水道・電気工事費 | 30万円 |
看板設置料 | 20万円 |
監視カメラ設置費 | 20~30万円 |
以下は屋内型にかかる費用一覧です。
種類 | 相場 |
パーテーション代・設置費 | 10万円/坪 |
看板設置料 | 20万円 |
監視カメラ設置費 | 20~30万円 |
これらはあくまで目安です。この他にも建物があれば取り壊しに費用がかかり、室内であれば必要に応じて空調設備の設置費用が発生、フランチャイズであれば加入料といったコストがかかる場合もあります。場合に応じて注意しましょう。
トランクルームの経営前に整地が必要であるなら、その費用も加えなければなりません。整地費用に関しては以下の記事を参考にしてみてください。
トランクルーム経営のランニングコスト
初期費用に加え、毎月のランニングコストについても正確な把握が必要です。どのような費用が発生するのかを理解する事は思わぬ出費を避ける事にも繋がります。
運営方法によってもかかるコストが異なる為、場合に応じて把握しておきましょう。表にまとめると以下の通りとなります。
必要コスト | フランチャイズ | 事業用定期借地方式 | リースバック方式 | 自営 |
光熱費 | 〇 | × | × | 〇 |
使用料 | 〇 | × | × | × |
業務委託費 | 〇 | × | × | 状況により〇 |
リスク対策費 | × | × | × | 〇 |
人件費 | 〇 | × | × | 状況により〇 |
固定資産税 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
メンテナンス費用 | 〇 | × | 〇 | 〇 |
屋外トランクルームであれば人件費はかからず、また光熱費も比較的安価で済みます。その他の諸費用については、委託業者やフランチャイズ先によっても異なりますので、各業者のホームページ等で確認しておきましょう。
トランクルーム経営利回りの期待値
どのような事業であれ、経営にあたっては実質利回りを見据えた経営計画を練る必要があります。実質利回りとは収益からコストを差し引いて求められた利益率のことです。主に1年間単位での利益を指します。
トランクルーム経営の利回りの平均は、およそ15~35%程度とされています。マンションやアパートの経営が3~8%程度だと言われていることを考えると、比較的にはかなり利回りが高い運用方法であることがわかります。
利回りの計算方法は以下の通りです。
では次のような条件で経営する場合、利回りは以下の表のようになります。
トランクルーム種類 | 初期費用 | 月額賃料 | 部屋数 | 必要コスト | 経営方法 |
屋内型 | 500万円 | 2万円/部屋 | 15部屋 | 20万/月 | 自営(委託なし) |
利回りを計算にあたっては、まず年間の単純利益を計算し、それから実質利回りを算出していきます。上記の条件を元に、単純利益と実質利回りの計算式を見ていきましょう。
実質利回り=(360万円-240万円)÷500万円×100=24%
月20万円のコストを1年分に換算すると240万円になります。その分を単純利益から差し引くと利回りは、24%程と考えることができるでしょう。
以下の記事では、不動産投資の利回りについての基礎知識をより詳しく解説しています。是非ご覧ください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/6833
トランクルーム経営を始める流れ
何事も、始めるにあたっては適切な手順を踏む必要があります。トランクルームの経営を開始する為には以下のような流れで作業を行っていく必要があります。
- 経営形態と運営方法を決める
- 市場調査
- 経営プランを決める
- 工事請負契約の締結
- 工事の着工
- 完成、集客開始
経営形態と運営方法を決める
トランクルーム経営を始めようと決めたならば、これまでに紹介した2つの経営形態(屋外型、屋内型)から1つ、4つの運営方法(フランチャイズ運営、事業用定期借地方式、リースバック、自営)から1つを選んでどのようなトランクルームにするかを決めましょう。土地の性質にあったものを選ぶ事が重要です。
業者の関与する運営方法(フランチャイズ運営、事業用定期借地方式、リースバック)を選ぶ場合は業者選びが重要になります。知名度の高い業者なら安心だろう、というのは早合点です。以下の点にも注目して複数の業者を比較しましょう。
- サポート体制が充実しているか
- 使用料はいくらくらいか
- 基本的な月々の賃料はいくらなのか
初めての経営であれば不安や疑問に付き纏われたとしてもおかしくはありませんが、専門業者のサポートはそれらの解消にも繋がります。企業の中には法令を無視して営業する悪徳な業者も存在しているため、トラブルに巻き込まれないためにも、しっかりと事前の情報収集を欠かさないようにしましょう。
もちろん、知名度も重要な要素です。フランチャイズ方式は知名度がなければ集客は見込まれないので、自分が知っている、または見たことがある業者に絞って選ぶことをおすすめします。
自営で行う場合においても、管理業務や広告業務を委託する場合には、複数社で見積もりを取ってサービスを比較することが大切です。以下の記事で土地活用をしたい時に有効な相談先について詳しく解説しています。是非ご覧ください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/10607
市場調査
トランクルーム経営を行う土地の需要に加え、競合相手の存在にも意識を向けなければうまく収益を挙げる事はできません。業者が関与する運営方法であれば市場調査はほとんど業者が行ってくれますが、自営でなくともある程度までは自分で市場調査を行っておく事でより詳細に後の経営プランを練る事ができるようになるでしょう。
市場調査にあたっては以下の点に注目して行いましょう。
- 競合相手の数や稼働率
- 周辺のユーザ数見込み
- 周辺の人口比率や居住形態
- アクセスの良さ
- 気温・湿度や災害に関係する自然環境
市場調査の段階でトランクルーム経営に不向きだと分かれば、別の経営方法を選ぶ事もできます。今後の土地活用を占う重要な工程ですので、市場調査は欠かさず行いましょう。
経営プランを決める
自営であれば自分で検討したプラン、業者が関わる運営方法であれば業界の提案したプランの中から最適なものを選択します。ここで決める建築にかかる費用やトランクルームの個数や設備内容などは工事の行程にも影響してきますので、後から考え直す必要に迫られる事の無いよう慎重に決定しましょう。
トランクルームの工事
経営プランに基づき、工事業者と契約、トランクルームの設置に取り掛かります。建築確認申請なども含め、だいたい2,3か月を目途に工期を見積もって行動しましょう。
完成、集客開始
トランクルームが完成したならば、いよいよ経営の本番が始まります。フランチャイズ方式か自営であれば、集客に努めなければなりません。経営の中で最も難しいのは集客と言っても過言ではありません。チラシやビラ配り、インターネットを利用するなどして集客活動を行いましょう。
フランチャイズはサポートを本部から受けられるので負担は比較的軽いと言えるでしょう。一方、自営の場合は集客方法の詳細やコツなどは自力で集める必要があります。負担が重過ぎると予測できる場合には、広告業務の委託も視野に入れましょう。
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トランクルーム経営を始める3つのメリット
トランクルーム経営には主に3つのメリットがあると言われています。
- 初期費用が安く回収しやすい
- 管理の手間が比較的少ない
- 屋外型なら転用が簡単
それぞれのメリットがどのように良い影響を与えるのか、以下で詳しく解説していきます。
始めやすく初期費用を短期間で回収できる
トランクルーム経営の大きなメリットの1つは、他の土地活用と比べて初期費用が少なくて済むという点です。
アパートやマンションなどの居住用不動産を経営する場合、建物を建てたり、内装のリノベーションを施すなどで多大な初期費用を要求される事になる場合があります。一方、トランクルームの場合では整地がおこなわれていればコンテナを購入により屋外で開業でき、マンションやビルがあれば設備を整えるだけで開業を目指すことができるのです。
また、利回りが高く、初期投資額を回収しやすいこともトランクルームの強みと言えます。
管理の手間をかけずに経営ができる
管理の手間が比較的少ないことも魅力的なポイントです。特に、事業用定期借地方式やリースバック方式を利用すれば、負担をプロに任せる一方で安定した収入を得ることができます。
住居の管理には定期的に設備のメンテナンスが必要であることを考えると、フランチャイズや自営であったとしても管理の手間は少ないほうだと言えるでしょう。
屋外型のトランクルーム経営なら転用が簡単
一度建物を建ててしまった土地や駐車場としてコンクリート舗装をおこなってしまった土地は、更地に戻すことが難しいというデメリットがあります。しかし、屋外型のトランクルームであればそのような不安がほとんどありません。コンテナを撤去するだけですぐに更地に戻し、別の事業や活用に土地を使用する事ができます。
トランクルーム経営を始める3つのデメリット
メリットがあればデメリットもまた同時に存在し得るものです。トランクルーム経営がデメリットとなりうる以下3つの点について考えてみましょう。
- 高額な利益が期待できない
- 経営を軌道に乗せるのが難しい
- トランクルーム経営ができない土地がある
3つのデメリットの詳細や理由を見ていきましょう。
高額な利益は期待できない
利回りが高い=高額な利益ではありません。利回りは初期投資額から割り出すため、その金額が低ければおのずと利回りも高くなります。トランクルーム経営は他の土地経営に比べて高い利回りが期待できる投資ですが、高額な利益は期待できません。利用者は、安価に荷物を預けられることを前提にトランクルームを利用する為、高額な賃料設定を行っては本末転倒となってしまうのです。
より大きな利益を出すことを目的としている投資なら、初期投資額が高くなってしまったとしても、マンションやアパートの経営をおこなった方が良いでしょう。住居の経営に適さない土地の運用方法についても後に解説致します。
また、トランクルームは住宅用地用の控除制度が適用されない為、土地活用のなかでも節税効果が薄い部類に入ります。特に屋外型の扱いは更地と何ら変わりのないものになるため注意しましょう。
経営を軌道に乗せるのが難しい
トランクルーム事業は右肩上がりの成長を続けている分野ですが、それは言い換えれば、市場が成熟しておらず人々に根付いていない……つまり広告を出したり、宣伝をするというような集客活動が難しい事業だと言えるのです。
住居の場合には、不動産ポータルサイトに掲載するといった宣伝方法を取ることができますが、トランクルームにのポータルサイトは少なく、存在していても今はまだ知名度が低いのが現状です。
地域初のトランクルームであればある程度の利用が期待できますが、周囲に競合するトランクルームが現れた場合には、サービスによる付加価値をつける事が難しい性質の事業のため、安易に値段を下げるなどの差別化をはかることが行いにくいというデメリットもあります。
地域よってはトランクルーム経営ができない
トランクルームは主に都市部やその近隣地域で需要が見込まれますが、地域ごとの取り決めによってはトランクルームを経営することができない可能性があります。
仮に都市計画法に定められた用途地域のうち、第一種低層住居専用地域・第二種住居専用地域・第一種中高層住居専用地域に指定されている地域では、コンテナを置いたトランクルームが経営できません。トランクルーム経営ができる土地かどうか、事前に所轄の自治体役所で確認しておきましょう。
トランクルーム経営と他の土地活用の比較
住居やトランクルームに不向きな土地であっても、他の方法によって活用することはできます。駐車場や太陽光発電、自動販売機やコインランドリーなどの他の経営方法を把握し、自分の持っている土地はどのような活用に相応しいかを考えましょう。
駐車場の経営
駐車場経営はトランクルームと同じく、少額の初期費用で始めることが可能な土地活用方法です。月極駐車場とコインパーキングの2種類が存在しています。
月極駐車場
月極駐車場は、1ヶ月単位で契約が結ばれる賃貸駐車場です。複雑な設備の導入がなく、ランニングコストも抑えられるため極めて低コストな土地活用方法です。一方、後述するコインパーキングに比べて収入が少ない事や、空室リスクの大きい事はデメリットと言えます。
コインパーキング
コインパーキングは時間あたりの料金支払いで収益を挙げる駐車場です。立地が良ければ多くの利用者が見込め、出入りを繰り返すことから空室リスクも比較的低いと言えますが、精算機やゲートなどの設備費用が多くかかってしまうデメリットがあります。
駐車場経営についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。興味のある方は是非ご覧ください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/21145
太陽光発電の経営
土地や住居の屋根に太陽光発電パネルを敷き詰める事で太陽光発電の経営が可能になります。顧客相手の事業でないため人気のない場所でも利益を得ようとする事はできますが、高い初期費用やランニングコスト、売電価格の低下、自然災害関係のトラブルなど様々なデメリットが存在しています。
太陽光発電の経営についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。興味のある方は是非ご覧ください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/16283#toc25
他の狭小な土地の活用法
トランクルームや駐車場、太陽光発電以外にも土地の活用法は存在しています。
自動販売機の経営
業者への委託、または自弁で自動販売機を買い取る事で自動販売機の経営に土地を使用する事ができます。トランクルーム経営と同じように、委託と自営には安定性・収入のトレードオフの関係があります。
他の土地活用と同時に始められる事や狭い土地でも運用できるメリットがありますが、高収益は見込めない事やゴミやいたずらなどの被害リスクがデメリットとなります。
自動販売機の経営についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。興味のある方は是非ご覧ください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/17433
看板用地として使用
人通りの多い土地であれば、広告用地(野立て看板用地)として使用する選択肢もおすすめです。看板さえ立てることができれば始められるため、狭い土地に向いている上に、他のサービス業ほどの管理や経営の手間が必要ありません。
広告を出す事業者と契約を結ぶ事で看板用地としての使用が可能になります。看板が出されると、業者から月ごとに看板提出料を得られ、安定した収入を得る事ができます。
「看板を置けるというだけ」の土地では事業者は契約を結んでくれないことでしょう。人通りが少ない土地である場合はもちろん、看板を置いたところで視認性が悪く人の目につきにくい土地では、看板用地としての活用は難しいと言えます。大勢が行き交う大通りに面している土地や、駅から商業施設やオフィスなどへの道のりに位置している土地であれば宣伝効果が高いため、事業者からのオファーが期待できるでしょう。
コインランドリーの経営
コインランドリーはトランクルームと同じように近年注目されている土地活用です。屋内に洗濯機や乾燥機、精算機などの設備を用意できるだけの土地と、需要が見込めれば経営を行えます。基本的に無人のサービスのため、人件費や管理の手間も抑える事ができますが、それなりの初期費用がかかる事はデメリットと言えるでしょう。
他の狭い土地の活用法についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。興味のある方は是非ご覧ください。
https://news.mynavi.jp/fudosan-satei/15402
トランクルーム経営のQ&A
この項目では、トランクルーム経営に多い疑問や不安をQ&A方式で紹介します。事業には失敗の恐れがつきものですが、その解消の参考になり得る情報となっていますので、是非ご覧ください。
経営を始める前に考える事は?
まずは需要がある立地がどうかを考えましょう。屋外型であれば郊外の広い土地や道路沿いであるかどうかが重要で、屋内型であれば都市部やオフィスの近くであるかどうかが重要です。どちらの経営方式でも、近くに大型マンションなどそれなりの人口が見込める立地であれば、需要はあると言えるでしょう。
屋外型と屋内型で、それぞれに適した土地が異なります。既に成功しているトランクルームを見学し、利用客の動向を調べてみるのも良いでしょう。
トランクルーム経営のリスクは?
盗難や災害のリスクが比較的高いです。荷物が盗難に遭ってしまったり、自然災害や温度や湿度の管理不足で破損してしまうといったことが起きる可能性は否めません。そうなると被害を補償しなければならない上に、信頼の低下から借り手がつかなくなる恐れも考えられます。
特に屋外型は管理人が常駐することも少ないため、盗難や自然災害の被害を受けやすいと言われています。利用客との契約の際にトラブル発生時には誰が責任を負うのかを明確にしておくことや、監視カメラの設置、強固なコンテナを設置するなどの工夫を凝らしてリスクを低減させましょう。
自営と委託はどちらが良い?
利益に目が眩んで自営にこだわるのは賢明とは言えないでしょう。自営は利益が最も大きくなる運営方法ですが、その分リスクや負担も大きくなる傾向にあります。カバーしきれないと感じる場合にはフランチャイズや他の運営形態も選択肢に入れて考えましょう。
トランクルーム経営の困難はこれまで述べた通りですが、フランチャイズであれば比較的安定した集客を見込むことができ、定期借地方式やリースバック方式であれば毎月安定した収入を得ることもできます。
「多少利益が少なくともリスクのない方が良い」ならば、自営にこだわらない方が良いでしょう。しかし「多少リスクがあれど大きな収益を得たい」と考えるならば、しっかりと事前の準備や情報を集めた上での自営を検討しても良いでしょう。重要な事は、自分がどのような形で収入を得たいのかによって運営方法を選ぶことです。
まとめ
トランクルームの経営は、住居の不動産経営には向かないような土地であっても活用を行える上、これからの需要拡大による可能性を秘めた経営方法です。しかしながら流行っているから成功できるといった事はなく、従来の土地活用と同じように確かな知識と状況判断を身に付けなければなりません。
土地の向き不向きやメリットとデメリットを踏まえ、トランクルームの経営が土地の活用に適しているかどうかを判断しましょう。
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