移行アシスタント、iCal、アドレスブック、Safari

これまで紹介してきた以外にも、Lionには数多くの新機能が搭載されている。たとえば、環境引っ越しツールの「移行アシスタント」が強化され、MacだけでなくWindows PCからのデータ移行にも対応した。Windowsのホームフォルダの内容はもちろん、ブラウザのブックマークや連絡先、カレンダー、Eメールアカウントなども簡単に移行できるため、Macへの乗り換えが一段と容易になった。

環境引っ越しツールの「移行アシスタント」の画面。Macに加え、Windows PCにも対応した。ホームフォルダの内容やブラウザのブックマーク、連絡先、カレンダー、Eメールアカウントなどが簡単に移行できるようになった

OS標準アプリのiCalやアドレスブックは、UIが刷新されて革の手帳をモチーフにしたデザインになった。WebブラウザのSafariは、気になるWebページを一時的に保存して後からゆっくり読める「リーディングリスト」などの機能が追加され、使い勝手が大きく向上している。

iCalやアドレスブック、Safariなどの標準アプリも新機能の追加やUIの刷新で大きく変わっている

互換性の問題

このように随所に渡って改良や機能強化が図られているが、導入にあたってはいくつか注意しておきたいこともある。そのひとつが、サードパーティ製アプリの互換性の問題だ。前バージョンのMac OS X Snow Leopardまでは、Macが以前採用していたPowerPCプロセッサ用のアプリをインテルCPU上で実行できる「Rosetta」という仕組みが搭載されていた。しかし、LionはRosetta非対応のため、昔のPowerPC用アプリは動作しなくなっている。たとえば、アドビ システムズの「Adobe Creatibe Suite 2」以前のバージョンや、マイクロソフトの「Microsoft Office 2004 for Mac」以前のバージョンは、Lionでは動作しない。

また、インテルのCPUに対応したアプリであっても、動作しなかったり不具合が出たりすることがある。とくにシステムの根幹に関わるアプリは不具合が多いようだ。

今回は筆者が普段使っている環境に上書きする形でLionを導入してみたが、当初想定していたよりはOSアップグレードによる不具合は少なかった。大きな問題はアドビ製品の起動時に「○○を開くには、Javaランタイムをインストールする必要があります」というアラートが表示された程度で、それも画面の指示にしたがってランタイムをインストールすることで解決した。ちなみに、Adobe PhotoshopとIllustratorに関しては、CS3以降のバージョンは大きな問題もなく動作している。とくにPhotoshop CS3に関しては、Snow Leopardだとレイヤースタイルの適用時にレインボーカーソルが数十秒回り続けることも少なくなかったが、Lionだとサクサク処理が終わるなど逆にパフォーマンスが上がっている部分もある。

Adobe Photoshopを起動する際に出たダイアログ。画面の指示にしたがってJavaランタイムをインストールすると、無事起動することができた

このほか、Microsoft Office for Mac 2011とCorel Painter 11、Bento 4も基本動作に関してはとくに問題となる不具合はなかった。StuffIt Deluxe 2011やDropbox、Evernote、Echofonなどのオンラインソフトも最新版に関しては動作に支障がない。定番エディタのJedit Xは、開発元のWebページでLion対応のベータ版が公開されている。ATOK 2011 for MacもメーカーからLionに対応するアップデータがすでに提供されている。このほか、細かい対応状況については各メーカーのWebサイトなどを参照してほしい。