MM総研は7月14日、MM総研大賞2010の表彰式を、東京・白金台のシェラトン都ホテル東京で開催した。会場では、大賞となった「日本経済新聞 電子版」を発行する日本経済新聞社をはじめとする各賞の受賞者に、表彰盾が授与された。

表彰楯を安田審査委員長から受け取る日本経済新聞社の岡田直敏常務取締役

MM総研大賞2010表彰式に参加した受賞各社

MM総研大賞は、優れたIT技術で、積極的に新商品/新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するもので、2004年にスタートして以来、今年で7回目。次世代のブロードバンド&ユビキタス社会の核となる製品・サービスを3分野に分けし、分野ごとに「最優秀賞」を選出。そのほか、IT産業に大きなインパクトを与えた製品・サービスを「話題賞」に、日本が世界に誇るモノづくり分野での代表的な商品を「ものづくり優秀賞」に選定。さらに、省エネなどの環境配慮に優れた製品・サービスを「グリーンIT賞」として選出。これらのなかから最もIT産業の発展に寄与した製品・サービスを、MM総研大賞として表彰する。

次世代ネットワーク製品・サービス部門では、デジタルマスメディア分野の最優秀賞に日本経済新聞社の「日本経済新聞 電子版」が、デジタルサイネージ(システム)分野の最優秀賞には、ソニーの「デジタルサイネージASPサービス」、クラウドサービス分野の最優秀賞には、グーグルの「Google Apps Marketplace」が選ばれた。

日本経済新聞 電子版

また、グリーンIT賞は、NECの「オフィスまるごとエコ」が、ものづくり優秀賞には、パナソニックの「3D VIERA VT2シリーズ」、富士通の「ノートPCの紛失・盗難対策ソリューション『CLEARSURE』対応PC」がそれぞれ受賞した。

話題賞としては、NTTドコモ/ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの「Xperia」、アップルの「iPad」、Twitter,inc.の「Twitter」、東芝の「CELLレグザ」、イー・モバイルの「Pocket WiFi」、日本IBMの「IBM CloudBurst」、キングジムの「ポメラ」、コナミデジタルエンタテインメントの「ラブプラス」がそれぞれ選ばれた。

ソニー・エリクソンの「Xperia」

アップルの「iPad」

コナミデジタルエンタテインメントの「ラブプラス」

イー・モバイルの「Pocket WiFi」

キングジムの「ポメラ」

最終選考は、審査委員会の厳正な審査のもと行われ、大賞となった日本経済新聞 電子版については、「既存メディアが、デジタルメディアへと移行する流れが加速しているなかで、無料のネットサービスとは一線を画し、信頼性とネットの便利さを両立させた有料サービスとして発展していく大きな一歩となり得る点で高い評価を集めた。Webアンケートでも、法人・個人の両方で2010年度の話題性、将来的影響力で圧倒的な支持を集めた。以上の理由などから審査委員会でも全14商品のなかで最高の評価に値すると判断したため、満場一致でMM総研大賞2010の大賞に決定した」としている。

MM総研の中島洋所長

MM総研の中島洋所長は、「私自身、20数年間に渡り、日本経済新聞社で記者を務め、長期経営計画の策定にも関わった。当時はインターネットがない時代だったこともあり、2015年には衛星やCATVを通じて新聞を配信するといったことを想定していた。2010年に電子化のスタートを切り、審査の過程では打ち震えるような感動を得た。今年は優秀な製品が豊富であり、その点で審査は大変だった。大賞となった日本経済新聞 電子版以外にも、この優れた製品、サービスが出荷されたのは2010年だった、と思うものが数多いだろう」と語った。

また、審査委員長を務めた東京大学名誉教授の安田浩氏は、「日本経済新聞社は保守的な会社だが、デジタル情報は無料であるというのが一般化するなかで、情報を有償で提供し、価値があるものとした点を評価した。今年は優秀な製品が数多いのは確かだが、残念なのは、地域振興につながるような製品が今回は見当たらなかったこと。来年はそうした製品、サービスにも期待したい」と講評した。

大賞を受賞した日本経済新聞社の岡田直敏常務取締役は、「先日、有料読者が7万人に達した。まだ伸ばしていきたい。新聞は文明史に残る一大転換点にある。紙のメディアがインターネットの進化にどう対応するかが世界中のテーマとなっている。紙の部数が減ると、新聞の経営基盤を揺らすことになり、質の高いジャーナリズムが維持できないという問題もある。4年前に、日経金融新聞(現日経ベリタス)を電子化するということで準備をしたが、驚きがないサービス内容であったためにお蔵入りになった経緯がある。日本経済新聞 電子版では、紙にはない付加価値を提供することに力を注いだ。読者の好みや関心のあるニュースを配信するMy日経の機能は、世界中を見渡しても日本経済新聞 電子版だけのサービスである。今回の大賞受賞は、ネットで情報を発信するという我々の挑戦に対して、声援を贈ってもらったものと考えている」とした。

審査委員長を務めた東京大学名誉教授の安田浩氏

大賞を受賞した日本経済新聞社の岡田直敏常務取締役

なお、審査委員会は、安田審査委員長のほか、審査委員として、前川徹氏(社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事、国際大学グローバルコミュニケーションセンター主幹研究員)、藤沢久美氏(シンクタンク・ソフィアバンク副代表、法政大学大学院客員教授)、北村森氏(商品ジャーナリスト、サイバー大学客員教授)、横田英明氏(MM総研取締役研究部長)で構成している。