3月に入り欧州地域の約2億人のWindowsユーザーに「Webブラウザ選択」ツールが提供され始めた。主要なWebブラウザを、ユーザーが先入観なくWindows PCに導入できるようにする試みだ。ところが同ツールを試したITニュースサイトや専門家から、選択画面でのWebブラウザの並び順に偏りがあるという指摘が出ている。例えば、スロバキアのDSL.skのテストでは、Internet Explorer (以下IE)が50%以上の確率で右端に表示されたという。公平かつランダムでなければ意味のない同ツールの提供で、なぜこのようなことが起こっているのだろうか? Microsoftによる操作も疑われる中、IBMのODFアーキテクトのRob Weir氏が、この偏りのナゾを解き明かした。原因は、なんと「未熟なプログラマの失敗」だという……。

ブラウザ選択ツールはメイン画面に、IE、Firefox、Opera、Chrome、Safariの5つのブラウザが表示され、ユーザーは各ブラウザの説明を確認した上で、ワンクリックでデフォルトブラウザを変更できる。欧州委員会はMicrosoftに対して、ブラウザが公平に取り扱われるようにメイン画面のおいて並び順がランダムに入れ替わるように求めていた。

欧州のWindows XP/ Vista/ 7ユーザーに提供されているWebブラウザ選択ツール

DSL.skの指摘に興味を持ったWeir氏が独自にブラウザ選択ツールをテストしたところ、1万回ループの結果はDSL.skとほぼ同じだった。IEが右端に表示される確率が約50%。ほかには、Safariが右から2番目となる確率が約40%、Chromeが真ん中に表示される確率が約37%と高かった。

Weir氏の1万回ループ結果の3Dバーチャート。IE、Safari、Chromeの偏りが目立つ

DSL.skのテスト、Weir氏の最初のテストともにInternet Explorerを使用していたため、同氏はFirefoxでも1万回ループを試した。すると最初のテスト同様に偏りが見られたが、前回とは全く異なる偏りになった。IEが右端に現れる確率が6%と逆に少なすぎるほどになり、代わりにSafariが約53%の確率で右端に表示された。

左がIE、右はFirefoxでの1万回ループ結果