スマートフォンの充電速度は年々高速化が進んでいます。日本ではシャオミが120Wのハイパーチャージに対応する「Xiaomi 12T Pro」を発売し、19分で満充電できることを大々的にアピールしています。また海外ではvivoの「iQOO 10 Pro」が200W充電で満充電時間は10分、シャオミの「Redmi Note 12 Explorer Edition」は210W充電で満充電は9分と、ついに1桁分数で満充電できるスマートフォンも登場しています。
ここまで充電時間が短くなるともはやスマートフォンのバッテリー切れを心配する必要もなくなります。これらのモデルは数分充電すれば数時間は十分使えるだけのバッテリー容量を回復できますから、時間が無い時は5分程度の充電でも、ある程度使い続けることができます。
ところが海外ではさらに高速な充電に対応したスマートフォンが登場しました。realmeが発売した「realme GT Neo5」の急速充電は240W。満充電時間はRedmiと同等の9分半ですが、30秒の充電で2時間の通話が可能とのこと。スマートフォンの充電時間に「秒」の単位を出した製品は恐らくこのrealme GT Neo5が世界で最初でしょう。
realme GT Neo5を30秒充電すると、通話2時間だけではなく動画視聴は1時間、音楽再生は3時間できます。寝坊してしまった朝にスマートフォンのバッテリーが切れていても、30秒なんてあっという間ですからすぐに充電できます。あるいは玄関を出ようとしたときスマートフォンのバッテリーが無くなっていることに気が付いても、その場で30秒充電すれば通勤や通学の片道分くらいのバッテリー充電ができるわけです。
スマートフォンの急速充電は実は中国メーカーが率先して開発を進めてきました。日本でもスマートフォンを展開しているOPPOは、2015年に「5分の充電、2時間通話」をウリにした「R7」を発表。当時はこのキャッチコピーが大いに受け、OPPOのスマートフォンは人気を博しました。realme GT Neo5が30秒で2時間通話を謳うのも、「30秒」というキャッチーな時間だけではなく、OPPOのヒットコピーにインスパイアされたに違いありません。
急速充電のメリットは専用の充電器が必要ではあるものの、モバイルバッテリーを充電して持ち運ばなくて済むことです。モバイルバッテリーは数年もすれば劣化して廃棄物になってしまうため地球環境にもやさしくありません。そしてなによりもスマートフォンの充電切れの心配が減るという安心感もあります。最近はカフェなど出先でも電源のある場所が増えていますから、充電器を持ち運ぶ必要があるとはいえ、わずかな時間の充電に困ることも少ないでしょう。
さてralme GT Neo5の魅力は急速充電だけではありません。このスマートフォンは背面が光り、しかも一部が透明で透けているのです。それぞれの機能を持つスマートフォンは個別にありましたが、この2つをまとめて搭載するスマートフォンはrealme GT Neo5が初めてでしょう。
背面が光るのはカメラの横の部分で、四角い枠のライトの点滅パターンをカスタマイズ可能。またこの部分は透明になっており、その下にチップセット「Snapdragon 8 Gen 1」が入っているのが見えます。ただし恐らくこれは「見せチップセット」、つまり本当のチップではなくデザインとしてあえて見えるダミーが搭載されていると思われます。とはいえ車のエンジンを見せるように、スマートフォンの心臓であるチップセットを見せるというのはちょっとマニア心をくすぐります。
なお背面が光るスマートフォンとしては「Nothing Phone (1)」がありますが、realme GT Neo5は光の色を25色から選べます。白一色に光るNothing Phone (1)のほうが上品かもしれませんが、自分好みの色を光らせることのできるrealme GT Neo5も楽しいでしょう。
realmeは元々OPPOの格安スマートフォンブランドとして登場し、その後メーカーとして独立、若い世代向けのスマートフォンを次々と送り出しています。低価格モデルが主力製品でありながらも、日本のデザイナー深澤直人氏とのコラボモデルや、日本のアニメキャラを使ったモデルなども展開しています。日本では残念ながらスマートフォンは出していませんが、realme GT Neo5のように超急速充電という実用性が高いだけではなく、背面を自慢したくなる「魅せるスマホ」として日本でも発売してほしいものです。