中国・深センには巨大なスマートフォンケースの問屋街が広がっています。ここに来ればどんなスマートフォンが売れていてどんなケースが人気なのかが一目でわかるほど。数年前はiPhone用ケースばかりが売られていましたが、今ではOPPO、Vivo、ファーウェイそしてシャオミなど中国メーカーのケースも数多く販売されています。では最近はどんなケースが売れ筋なのでしょうか? 2018年末に深センを訪れて卸売業者街を回ってみると、ある流行の存在に気が付きました。

  • 2019年のスマホケースの流行はこれだ

日本に2018年から参入したOPPOのスマートフォン、その一部のモデルは背面が光沢仕上げで2つの色をグラデーションをかけ、混ぜ合わせた色合いとなっています。この仕上げは中国メーカー各社の流行になっており、どのメーカーも色や混ぜ合わせのパターンを変えて異なる表情の背面デザインにしています。この仕上げのモデルはスマートフォンケースを付けて背面を見えなくしてしまうのはもったいないと思えるほどで、各メーカーは付属品として背面がそのまま透ける透明ケースを同梱しています。

  • グラデーションカラーは2018年の中国メーカーの流行

深センのスマートフォンケース卸売業者ビルは5階建てのビル内に小さな店が数百以上も入っています。しかもそれが横に3つ4つと並んでおり、すべてを見て回るのは1日では不可能なほど。もちろん似たような商品や同じ製品が異なる店に置かれていることもあります。薄利多売ですからどの店も「売れる商品」を競って置いているのです。つまりここに来ると売れているケースのトレンドがわかるわけです。

  • 深センにあるケース卸売業者ビル

機種数が少ないiPhoneは一つのケースが大量に売れるためどの店も必ず対応製品を置いています。気になった店に立ち寄ってみると、ケースの仕上げが単色ではないものがいくつか置かれていました。

  • iPhoneは古いモデル向けのケースもまだ売られている

よく見てみると、グラデーションをかけた仕上げになっています。つまりOPPOやファーウェイのスマートフォンと似たイメージになっているわけです。すなわち「iPhoneをOPPOやファーウェイっぽく」してしまうという大胆なデザイン。しかしこれが売れるということは、やはり流行のデザインとなっているということなのでしょう。

  • iPhoneの背面をグラデーション仕上げにしてしまう

別の店では透明のケースがありましたが、これも元のイメージは中国メーカーのグラデーション仕上げでしょう。しかもiPhone XS Max向けのものもあります。出てきたばかりの最新iPhoneをこの色にしたいと考える消費者が多いということなのでしょうか。

  • 透明タイプも発見

薄い色のボディーにこのケースを組み合わせれば美しいルックスになりそう。透明なので元のiPhoneのイメージも少し残っているのがいい感じです。

  • このケースが似合うようにiPhone本体の色を決めたくなる

「FASHION」と余計な文字が無ければいい仕上げなのに、と思えるこれらのケースもグラデーションタイプですね。ファーウェイP20と同じように、本体を横向きにすると背面の印刷も正しい向きとなります。これらの仕上げが本当に流行なのかどうかはもうしばらく様子を見る必要があります。とはいえ売れるものに敏感な深センのケース卸売業者で売られているということは、ここから世界中に輸出されたケースが逆に流行を生み出していくこともありうります。

  • ファーウェイP20そのままなデザイン

こちらはサムスン用でしょうか。メタリック仕上げですがやはりグラデーション。ありとあらゆる表面仕上げをこのカラーリングにしているわけです。

  • メタリック&グラデーションのケース

さてここまでの写真は2018年11月に訪問時に撮影したものです。それから1か月後、12月に再び深センに行くと、もっとすごいことになっていました。なんとiPad用のケースにもグラデーションカラーのものが登場。1か月前には見かけておらず、スマートフォンの流行がタブレットにもやってきているようです。

  • iPad用にもこの色のケースが出てきた

さらにはiPhoneケースの背面にマグネットで装着できるモバイルバッテリーも、ケース、バッテリーそれぞれの表面がグラデーションカラーになっているものが出ていました。

  • モバイルバッテリーとケースのセットもグラデーション仕上げ

もはやモバイルバッテリーは誰もが持っているスマートフォンの必需品。あえて、今から買い替えや買い増しを促すためにはこうして流行を取り入れていく必要もあるのでしょう。モバイルバッテリーだけがこの色ならまだしも、セットにするケースも同じ仕上げにしてしまうなんて、バッテリーメーカーの動きの速さに脱帽してしまいます。この速さが深センのモノづくりの強みでもあるわけです。

  • モバイルバッテリー単体でも欲しくなる