こんにちは、阿久津です。各IT系メディアが報じているように、MIX10開催時のInternet Explorer(以下、IE)9発表を受け、IE9プラットフォームプレビューの公開が行なわれました。IE9では次世代HTML標準規格であるHTML5への準拠や、GPUのハードウェアアクセラレーション機能を用いたレンダリングをWeb上で実現するGPU-Powered HTML5の実装など、興味深い機能が盛りだくさん。詳しいレポートは本誌にも掲載されるでしょうから、筆者はこの辺で留めておきますが、IE9プラットフォームプレビューの動作対象は、Windows Vista Service Pack 2、Windows 7のみで、Windows XPは含まれていません。同OSユーザーはご注意ください。
かく言う筆者のメインWebブラウザはMozzila Firefox 3.6とGoogle Chrome開発版。前者はアドオンの入れすぎなのか、チューニングしすぎなのか皆目見当も尽きませんが不安定になってしまったため、後者も併用しています。しかし、気に入った環境を構築するまでの拡張機能が出そろわず、併用という煩雑な状況に落ち着きました。もちろんIE8も使っていますが、もっぱら金融系や行政系サービスを受けるときに限られるようになり、タスクバーにあるIEボタンを消そうか消すまいか思案中。
このように筆者程度でもWebブラウザの選択に悩み倦ねる日々ですが、本連載をご覧になっている読者の多くは、IE8をメインに使っている方も少なくないでしょう。IE8から搭載された各機能が利便性を高めているのは、改めて述べるまでもありませんが、個人的に気になるのが、アドレスバーに表示される互換表示ボタン。IE7を始めとする以前のバージョン用に最適化されたWebページを正しく表示できるように下位互換性を維持するための機能です(図01~02)。
これら互換表示機能を必要とするWebページは、「互換表示設定」ダイアログで管理可能。Webページのレイアウトが崩れてしまい、正しく表示されない場合は同ダイアログにWebサイト名を登録することで、互換表示機能が自動的有効になります。つまり、レイアウトが崩れてしまうWebサイトは、同ダイアログに登録しておけば済む話であり、<互換表示>ボタンを表示させる必要はない、と言えるのでは(図03~04)。
図03: [Alt]キーを押してメニューバーを表示させてから、<ツール>メニュー→<互換表示設定>とクリックします。なお、同操作は<ページ>メニューも行なえます |
図04: 「互換表示設定」ダイアログでは、互換表示機能を用いて表示するWebサイトの登録および削除が可能です |
そこで今週は、アドレスバーに表示される互換表示ボタンを消すチューニングを紹介しましょう。なお、IE8はあらかじめ終了した状態で操作を行なってください。
IE8のアドレスバーに表示される互換表示ボタンを消す
1.[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力してから<OK>ボタンをクリックします。
2.レジストリエディタが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Policies \ Microsoft \ Internet Explorer \ CommandBarキーをたどって開きます(ない場合は作成します)。
3.右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>と選択します。
4.ステップ03で作成したDWORD値の名前を「ShowCompatibilityViewButton」に変更してください。
5.[F5]キーを押して変更内容をシステムに反映させてから、レジストリエディタを終了させましょう。
これでチューニング終了です(図05~08)。
図06: レジストリエディタが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Policies \ Microsoftまでキーをたどって開き、<編集>メニュー→<新規>→<キー>とクリックします |
図08: 作成したキー名を「CommandBar」に変更し、右ペインの何もないところを右クリックします。メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックし、DWORD値名を「ShowCompatibilityViewButton」に変更しましょう。あとは[F5]キーを押してから、レジストリエディタを終了します |
IE8を起動し、互換表示チェックが入るWebサイトにアクセスしますと、<互換表示>ボタンがアドレスバーから取り除かれるようになります。なお、本チューニングは同ボタンを無効にしただけですので、<ページ>メニューから<互換表示>を選択しますと、互換表示機能が有効になりますのでご安心ください。もう一つのアプローチとして、互換表示機能自体を無効にするチューニングも紹介しましょう。こちらも一度IE8を終了させてから操作を行なってください(図09~10)。
IE8の互換表示機能を無効にする
1.[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力してから<OK>ボタンをクリックします。
2.レジストリエディタが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Policies \ Microsoft \ Internet Explorer \ BrowserEmulationキーをたどって開きます(ない場合は作成します)。
3.右ペインの何もないところを右クリックし、メニューから<新規>→<DWORD値>と選択します。
4.ステップ03で作成したDWORD値の名前を「DisableSiteListEditing」に変更してください。
5.DWORD値「DisableSiteListEditing」をダブルクリックで開き、値のデータを「1」に書き換えてから<OK>ボタンをクリックします。
6.[F5]キーを押して変更内容をシステムに反映させてから、レジストリエディタを終了させましょう。
これでチューニング終了です(図11~15)。
図12: レジストリエディタが起動したら、HKEYCURRENTUSER \ Software \ Policies \ Microsoft \ Internet Explorerまでキーをたどって開き、<編集>メニュー→<新規>→<キー>とクリックします |
図13: 作成したキー名を「BrowserEmulation」に変更し、右ペインの何もないところを右クリックします。メニューから<新規>→<DWORD値>とクリックし、DWORD値名を「DisableSiteListEditing」に変更しましょう |
改めてIE8を起動しますと、先ほどと同じようにIE8のアドレスバーから<互換表示>ボタンが取り除かれていることでしょう。もちろんDWORD値「ShowCompatibilityViewButton」によるチューニングと違いは、<ページ>メニュー(もしくは<ツール>メニュー)にある互換表機能の有効・無効を切り替える<互換表示>が使用できなくなる点。なお、チューニング結果を無効にしたい場合は、各DWORD値を削除し、IE8を再起動してください(図16~17)。
それでは、また次号でお会いしましょう。
阿久津良和(Cactus)