こんにちは、阿久津です。Windows 8から加わったクイックアクセスツールバーによって、エクスプローラー上の操作性が向上しました。リボン上のボタンを自由に追加できるなど、カスタマイズ性も備えています(図01~03)。

図01 一例として「レイアウト」をクイックアクセスツールバーに追加してみましょう。リボンを開いて<レイアウト>を右クリック。<クイックアクセスツールバーに追加>をクリックします

図02 これでクイックアクセスツールバーに<レイアウト>が加わりました。なお、ボタンを右クリック→<クイックアクセスツールバーから削除>をクリックすれば削除できます

図03 既存のクイックアクセスツールバーボタンのように、バルーンにはショートカットキーの説明はありませんが、[Ctrl]+[Shift]+[1~8]キーが使用できます

問題はカスタマイズ情報の格納場所でしょう。こちらはHKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Ribbonキーのバイナリ値「QatItems」に格納しています(図04)。

図04 クイックアクセスツールバーの内容を格納するバイナリ値「QatItems」

上図を目すると内容がテキスト形式であることが分かりますが、レジストリエディターの場合、そのまま表示することはできません。詳細手順は省きますが、レジストリファイルからバイナリ(HEX値)部分だけをテキスト加工し、「Certutil.exe」の「-decodehex」オプションを使うことで、可読できるテキストファイルに変換できます。もっともCygwinのターミナルからレジストリに直接アクセスした方が簡単でしょう(図05~06)。

図05 こちらがバイナリ値「QatItems」の内容をテキスト化したもの(インデントなどは加工済み)。XML形式で特定機能(コード)の表示/非表示を設定しています

図06 こちらはCygwinのターミナルから参照した状態(別環境のため設定値は異なります)。そのままレジストリ参照できるため、筆者はたまに使っています

これらのことから「レイアウト」のコントロールIDが「8225」となり、visible値が「true」のため、クイックアクセスツールバーのカスタマイズが可能であることを確認できます。

一般的なWindows 10の環境で、バイナリとテキストの相互変換が容易であれば、テキストファイルで定義ファイルを管理し、バイナリ変換後に値として設定する方法がベストでしょう。しかし、Linuxと違いWindowsで同様の仕組みを行うにはちょっとしたスクリプトを用意しなければなりません。

そこで今回はカスタマイズ済みのクイックアクセスツールバーをバックアップ/復元するチューニングをお送りします。

1. クイックアクセスツールバーを事前にカスタマイズします。
2. 管理者権限でレジストリエディターを起動します。
3. HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Ribbonキーを開きます。
4. 同キーの内容をエクスポートします。
5. レジストリエディターを終了します。

これで操作が完了しました(図07~11)。

図07 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図08 レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Ribbonキーを開きます

図09 Ribbonキーを右クリックし、<エクスポート>をクリックします

図10 テキストボックスに任意のファイル名を入力し、<保存>ボタンをクリックします

図11 <×>ボタンをクリックして、レジストリエディターを終了します

早速結果を確認してみましょう。まずは違いを分かりやすくするため、クイックアクセスツールバーを内容をすべて削除してから、エクスプローラーを閉じます。その後レジストリファイルをダブルクリックでインポートしてください。この際Explorer.exeの再起動は必要ありません(図12~14)。

図12 クイックアクセスツールバーの内容を適当に変更してから、<×>ボタンをクリックしてエクスプローラーを閉じます。終了させる必要はありません

図13 ステップ4で作成したレジストリファイルをダブルクリックし、<はい>ボタンをクリックします

図14 結果を示すメッセージが現れたら、<OK>ボタンをクリックします

[Win]+[E]キーを押すなどしてエクスプローラーを起動すると、チューニング前のクイックアクセスツールバーが復活しました。通常エクスプローラーを開く時に各種情報をレジストリから呼び出しますが、今回はレジストリファイルをインポートすることで値のデータが変更され、以前の状態に戻る仕組みです(図15)。

図15 この状態でエクスプローラーを起動しますと、レジストリファイルをエクスポートした時点の状態に戻ります

必要であればレジストリファイルを他のPCでインポートするなど、さまざまな場面に応用できますので、クイックアクセスツールバーを多用するユーザーは一度お試しください。

それでは、また次号でお目にかかりましょう。

阿久津良和(Cactus)