こんにちは、阿久津です。エクスプローラーの安定性は、体感的なWindows OSの安定化と連動します。Windows OSを構成するコンポーネントのなかでも前面にある存在だけに、ちょっとした不具合も気になることでしょう。Microsoftは、Windows 95時代からWindows 7に至るまで、数え切れないほどの改良を施しています(図01~02)。
改良に改良を重ねたエクスプローラーですが、なかには誰が見ても改善と言い難い箇所もあり、ユーザーはその都度、新しいUI(ユーザーインターフェース)に戸惑いつつも、変更された操作体系に慣れる必要がありました。Windows 7のエクスプローラーで加わった変更点でも気になるのが、コンテキストメニューに並ぶ<新規作成>のショートカットキーです。
Windows XPまでは[W]キーが割り当てられていましたが、Windows 7では[X]キーに変更されたため、最近はようやく慣れてきましたが、マウスを使わずに操作する場面で間違えることが多くありました(図03~04)。
図03: Windows XPのコンテキストメニュー。<新規作成>のショートカットキーは[W]キーでした |
図04: Windows 7のコンテキストメニューに並ぶ<新規作成>のショートカットキーが[X]に変更されています |
もうひとつのデグレードポイントが、アイコン(ファイル・フォルダー)の自動整列機能。これまでのWindows OSでは、自由にアイコンを配置できましたので、ユーザー自身のファイル整理方法として用いていた方も少なくないでしょう。Windows 7のエクスプローラーには<アイコンの自動整列>という項目が用意されていないため、必然的にアイコンは規則に従って並ぶことになりました。
この仕様はフォルダーに対してだけ適用され、デスクトップのコンテキストメニューには<アイコンの自動整列><アイコンを等間隔に整列>が用意されています。Windows XPからWindows 7へアップグレードしたユーザーは、この点に不満を覚える方が多いのではないでしょうか(図05~06)。
Microsoftはこの仕様変更に関して、公式に述べたことはありませんが、過去に発生していたエクスプローラーの予期せぬハングアップを避けるため、変更したのでしょう。しかし、デスクトップではOK、フォルダーではNGということは、単純に機能を抑制しているだけだと推測できます。そこで今回は、フォルダー内の自動整列機能を無効にするチューニングを紹介しましょう。
1.[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力してから<OK>ボタンをクリックします。
2.レジストリエディターが起動したら、HKEY_CLASSES_ROOT \ Local Settings \ Software \ Microsoft \ Windows \ Shellキーまでたどって開きます。
3.Bagsキーを右クリックし、メニューから<削除>を選択して削除を実行します。
4.Shellキーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>と選択して、キー名を「Bags」に変更します。
5.Bagsキーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>と選択して、キー名を「AllFolders」に変更します。
6.AllFoldersキーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>と選択して、キー名を「Shell」に変更します。
7.Shellキーを右クリックし、メニューから<新規>→<キー>と選択して、キー名を「{5C4F28B5-F869-4E84-8E60-F11DB97C5CC7}」に変更します。
8.{5C4F28B5-F869-4E84-8E60-F11DB97C5CC7}キーを開き、右ペインの何もないところを右クリック。メニューから<新規>→<DWORD値>と選択し、値名を「FFlags」に変更します。
9.DWORD値「FFlags」をダブルクリックで開き、値のデータを「43000000」に変更したら<OK>ボタンをクリックします。
10.同様の手順でDWORD値「Mode」を作成し、ダブルクリックで開きます。値のデータを「1」に変更して<OK>ボタンをクリックしてください。
11.ステップ07~10の操作を繰り返し、「{5fa96407-7e77-483c-ac93-691d05850de8}」「{7d49d726-3c21-4f05-99aa-fdc2c9474656}」「{94d6ddcc-4a68-4175-a374-bd584a510b78}」「{b3690e58-e961-423b-b687-386ebfd83239}」「{5fa96407-7e77-483c-ac93-691d05850de8}」キーを作成して各値の設定を行ないます。
12.設定を有効にするためレジストリエディターを終了し、Windows 7へ再ログオンしてください。
これでチューニングが終了しました(図07~20)。
図08: レジストリエディターが起動したら、HKEY_CURRENT_USER \ Software \ Classes \ Local Settings \ Software \ Microsoft \ Windows \ Shellキーまでたどって開き、Bagsキーを右クリックします。メニューにある<削除>をクリックしてください |
それでは結果を確認してみましょう。任意のフォルダーを作成し、適当なファイルをドラッグ&ドロップでコピーしてください。フォルダー内の何もないところを右クリックしてメニューにある<表示>を展開しますと、新たに<自動整列><等間隔に整列>が加わります。各項目のチェックが外れている場合は、従来のWindows OSと同じように、アイコンを自由にレイアウトできますので、お好みの配置をお試しください(図21~22)。
なお、うまく動作しない場合は、HKEY_CLASSES_ROOT \ Local Settings \ Software \ Microsoft \ Windows \ Shell \ Bags \ AllFoldersキーの内容を確認してみましょう。レジストリチューニング後はShellキーしか存在しないはずですが、エクスプローラーの動作により、数字名のキーが残されている場合があります。この場合は同キーを削除し、Windows 7へ再ログオンしてください(図23)。
図23: うまく動作しない場合はフォルダーの設定情報が残っていないか、HKEY_CLASSES_ROOT \ Local Settings \ Software \ Microsoft \ Windows \ Shell \ Bags \ AllFoldersキーの内容を確認します。画面の例では44キーが残っていましたので削除しました |
それでは、また次号でお会いしましょう。
阿久津良和(Cactus)