前回に引き続き、ファイル/フォルダーの詳しい情報を知るために必要なプロパティダイアログの解説を行う。今回は「全般」タブに現れるゾーン情報について解説しよう。

「Windows 8.1ミニTips 第17回」より、2014年4月9日にリリースされたWindows 8.1 Updateを適用した環境を対象としています。

Internet Explorer 11はゾーン情報を保存しない?

Webブラウザーなどを用いてファイルをダウンロードして、そのファイルのプロパティダイアログを開くと、「全般」タブに「セキュリティの警告」が現れることがある。例えばInternet Explorer 11の場合、大手Webサイトからダウンロードすると警告は現れないが、Mozilla Firefox 29では、同じWebサイトでも警告が加わった。

ダウンロード時に現れるセキュリティの警告メッセージ。解除する場合は「ブロックの解除」ボタンをクリック/タップする

この機能における正式名称は「Webコンテンツゾーン情報」であり、セキュリティ強化を主な目的としたWindows XP Service Pack 2から導入されている。過去に見かけたことのある方も多いはずだ。

現在のWindows 8.1やInternet Explorer 11のセキュリティ対策は、Windows XP当時と異なるアプローチを用いている。よって本来、「Webコンテンツゾーン情報」は必要ない。だが、Windows 8.1でもダイアログに「セキュリティの警告」が現れることがあるため、戸惑う方もおられるだろう。そこで簡単に仕組みを紹介しておきたい。

ファイルシステムのNTFSには、「メインストリーム」と「サブストリーム」と呼ばれる情報領域が存在する。メインストリームにはファイルのプロパティを格納し、サブストリームはダウンロード時の状態やアイコンキャッシュファイルとの連動情報などに用いてきた。そのため、「NTFSのストリーム情報」と称する場合はサブストリームを指している。

さて、Windows XP時代に、ストリーム情報の1つとして加えたのがゾーン情報だ。ここにインターネットからダウンロードしたファイルを示す「Zone ID」を加えることで、以前のWindowsは「セキュリティの警告」ダイアログを呼び出している。

ダウンロードしたファイル名に「Zone.Identifier」を加えることで、ストリーム情報を確認できる

この仕組みがWindows 8.1で動作しないのは、Internet Explorer 11がSmartScreenフィルターによるセキュリティ対策を行うようになり、Zone IDの状態を参照しないからだ。なお、SmartScreenフィルターの詳細は割愛する。

加えて、マルウェア対策機能である「Windows Defender」を標準搭載したため、Zone IDは不要いう判断から仕様変更が行われたのだろう。つまり、Windows 8.1はZone IDの状態に限らず、ダウンロードしたファイルは実行可能である。

セキュリティ警告が残った状態でファイルを実行すると、そのままセットアッププログラムが起動した。このようにブロック機能は用いられていない

冒頭で「Internet Explorer 11はZone IDを保存していない」と述べたが、筆者が確認したところ、WebブラウザーのMozilla Firefox 29やGoogle Chrome 34は、今でもZone IDを保存している。このロジックを無効にするには、ローカルグループポリシーエディターで設定変更を行うとよい。

具体的には、左ペインにあるツリーから「ユーザーの構成」→「管理用テンプレート」→「Windowsコンポーネント」→「添付ファイルマネージャー」と展開し、右ペインにある「ゾーン情報を削除する方法を非表示にする」をダブルクリック/タップ。「有効」を選択する。

「ローカルグループポリシーエディター」を起動し、「ユーザーの構成」→「管理用テンプレート」→「Windowsコンポーネント」→「添付ファイルマネージャー」とクリック/タップ。「ゾーン情報を削除する方法を非表示にする」をダブルクリック/タップする

ダイアログが現れたら、「有効」→「OK」ボタンと順番にクリック/タップする

ローカルグループポリシーエディターが使えない場合、レジストリ「HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\Attachments」キーのDWORD値、「SaveZoneInformation」のデータを「1」に変更する必要がある。手順などは拙著記事の「Windowsスマートチューニング」をご覧頂きたい。

阿久津良和(Cactus)