モバイル活用にあると便利な携帯やPCとのPIMデータの同期。筆者の山口氏のメインマシンはMacなので、記事上はMacとの同期を扱うが、Windowsマシンユーザーにも参考となる記事となっている。
type PをMacやスマートフォンと同期する
type Pユーザーの多くは、メインマシンを別に持っているはず。筆者の場合は仕事の関係もあり、Macをメインに使用している。最近は、出先でのメールチェックやスケジュール管理用にNTTドコモのスマートフォン、BlackBerry Boldも導入した。そこで問題になってきたのが、スケジュールや連絡先などのPIMデータの共有。どのデバイスでも使えて、きっちり同期できる方法がなかなか見つからなかったのだ。
最初は、マルチプラットフォームで展開しているGoogleのサービスを利用することも考えた。幸い、BlackBerryには「Google Sync」というアプリがあり、GoogleカレンダーやGoogleコンタクトを同期することが可能。Mac OS Xの場合は、標準アプリの「iCal」や「アドレスブック」で、直接、Googleのサービスとデータを共有できる。Windowsの場合は、Outlookなどと同期できるツールがGoogleから提供されている。
しかし、実際に運用しはじめてみると、いくつか問題が出てきた。たとえば、複数の日にまたがる予定の場合、Googleカレンダー上ではきちんと表示されていても、BlackBerryでは最初の日しかスケジュールに表示されない。また、Googleコンタクトがふりがなに対応していないのも難点だった。筆者の環境では同期エラーも頻発した。
MobileMeでデータを共有する
そこで次善の策として、アップルのクラウドサービス「MobileMe」を利用することにした。年間9,800円と有料だが、メールアドレスや20GBのオンラインストレージも提供される。Mac同士はもちろん、MacとWindows、Windows同士の同期も可能。スケジュールや連絡先だけでなく、Webブラウザのブックマークも同期することができる。ただし、MobileMeはBlackBerryには対応していない。そこで若干手間が増えるが、BlackBerryについては、製品に標準添付されているツールを使って、type Pとデータを同期することにした。
type PでMobileMeを使用するには、アップルのWebサイトで無償配布されている「MobileMeコントロールパネル」をインストールし、ちょっとした設定を行うだけでOK。同期方法を「自動」にしておけば、後は何も触らなくても全自動でデータを同期してくれる。同期エラーなどでデータに不具合が生じた場合は、type P上のデータをリセットして、MobileMe上のデータに置き換えることもできる。もちろん、その逆も可能だ。
Mac OS X Leopardの「MobileMe」設定画面。Mac同士ならば、カレンダーやアドレス、ブックマークのほかに、メールアカウントやアプリの環境設定、日本語IMのユーザ辞書などが共有できる |
type Pにインストールした「MobileMeコントロールパネル」の画面。アドレス、カレンダー、ブックマークを同期できる |
MobileMeに関しては、サービス開始直後はかなり不安定でトラブルも頻発したが、現在は安定しており、同期エラーなども少なくなっている。現在、type Pを含め数台で運用しているが、いずれも問題なく同期できている。
「MobileMeコントロールパネル」では、アドレスデータを「Googleコンタクト」、「Outlook」、「Yahoo! 連絡先」、「Windowsアドレスデータ」などと同期できる。また、カレンダーは「Outlook」と、ブックマークは「Safari」、「Internet Explorer」と同期可能 |
せっかくここまでデータ同期ができるようになったのだからと、少し欲を出してメールメッセージもMacとWindowsで共有することにした。方法は簡単。プロバイダメールをMobileMeやGmailなどのIMAP対応のメールサービスに転送するだけ。ついでにローカルに溜め込んでいた過去のメールメッセージも、すべてIMAPのメールサーバ上に移しておいた。これで、コンピュータ上のデータが飛んでしまっても、復旧はかなり楽になるはず。type PのOSも気軽に入れ替えられるというものである。
同期エラーなどでデータに不具合が生じた場合は、type P上のデータをリセットして、MobileMe上のデータに置き換えることもできる。もちろん、その逆も可能 |
同期データは個別にリセットすることができる。たとえば、カレンダーデータのみを選んでリセットすることも可能だ |
さて、type Pの初代モデルの発売からまだ半年も経っていないのに、早くも後継モデルが登場した。同時に従来モデルのユーザー向けにWindows XP用ドライバの無償配布もスタート。ちょうどよい機会でもあるので、次回より2回にわたって春モデルのXP化を取り上げ、本連載の締めくくりとしたい。