Rogan: なんでかと言うと、例えばテレコン。テレコン関係ですと元々台数が少ないですから、FPGAが結構強いのですが、家電用の放送機器とかもう少し数が大きいところでも、(開発の)サイクルが短いじゃないですか。ですから、エンジニアは頑張って短期間でASICを開発しなければいけないじゃないですか。そうなると日本の大手メーカーのASICエンジニアの方は皆さん、もう皆夜中まで仕事をしてて。で、もし間違いがあったとか、何か失敗したりすると、もうプリスケジュールからずれるとかいう話になって、そうなるともうパワーで押し切るじゃないですか。これがFPGAを使えば、ぎりぎり最後まで調整できるわけです。
ただここでは、コストの話が必ず出るんですよ。つまり、Lookup Tableに対する純粋なロジックゲートを考えると、大きいじゃないですか、と。確かにおっしゃる通り、大きいです。大きいです「が」、その開発費ですね。プロセステクノロジの開発をやる必要があるから、それを(製品)1個当たりに振り分けると、丁度100万個、200万個程度がクロスポイントになる。であれば、それ以下ならばもう我々の製品が入るんじゃないですか? と。家電とかそういう所向けに(FPGAがもっと入れられる)と思っているんですよ。ですので今僕は、非常にエキサイティングだと思うんですよね。
Q: すばらしい。で、話を戻しますが、ザイリンクスに入社されて、いきなり社長になって……
白: いきなりではないですね、半年ぐらい……
Rogan: ご存知だと思うんですけど、吉澤さんはNECでがんばってこられました。で、ザイリンクスはFPGAの会社で、やはり技術が中心なので、そういう概念を使える(人である)必要あって、非常に助かったんですよ。で、吉澤さんはマネージャーとしてもエンジニアとしても優秀でしたし。ただ、まあ定年ですよ(笑)。
Q: でも、いきなり変わりましたよね。今吉澤氏は、相談役でもなく、完全に引退と言うポジションにおられると思うんですが。普通、これは日本に限らずワールドワイドでもそうですが、前CEOがそのまま取締役会の会長であるとか、顧問あるいは相談役という形となって、ある程度クロスオーバーしてゆくっというパターンが多いと思うんですが、今回に関してはばっさりと。
白: まあケースバイケースじゃないかと思いますけどもね。以前のときもそういうケースがあったかと思います。前にも何代か社長変わっているんですけれども、ある時はバサッと変わっているし(笑)、ある時は前の人が残って会長職という形でやったりとかいうことはありましたけど。
Rogan: 今、我々は根本から作り直そうとしているところ。で、作り直すのが正しいことと、僕は思うんです。
Q: それは会社を?
Rogan: えーと、事務所。Xilinx Japan。今までは、スタビリティがちょっと足りなかったんじゃないかと思うんですよね。で、今までの10年くらいで社長の回転が、公式な社長なんか6人いて、擬似社長なんかも3人いて。だから平均在任期間が1年(笑)。で、代理店に関しても同じ期間で15社位とお付き合いしていましたから。で、"I hope"ですけど、もうすこし落ち着いて、もうすこし(市場に)フォーカスして行きたい。
何でこんなにしょっちゅう変わったかというと、USとか別の地域はそもそも伸びが弱かった。ところが日本は伸びた時があったんですけれども、それ以来やっぱり色々(伸びが)落ちたためだと僕は思うんですよ。では何で落ちたのかと言うと、たぶん通信バブルが崩壊した時だと思うんですが、その時に本当に必要のあるアプリケーションに入らなければいけなかったんですが、それができなかったんですよ。
今は非常にシスティマティックで、2つの分析をやっているんです。一つは、FPGAの世界には当然他社さんもいらっしゃるじゃないですか。では他社(のFPGA)はどんなメーカーのどのアプリケーションで、何をやっているのか。それと、その(アプリケーションの)デザインを決定しているのは誰なのか、と。要するにカスタマーの組織ですね。で、そこから、では次(の製品のデザイン)を決める時期はいつなのかという事も分析して。我々は今はもうプランができて、このアプリケーションに、いつこんなパーツとして貢献できますよという提案がやっとできるようになったんですよ。4~5カ月位かかりましたけど。
ただ、FPGAのマーケットは日本で600億円弱。ASICは幾らくらいでしたっけ?
白: えーっと、4千億円。
(続く)