スキマバイトサービスで、約20億円の利益が出るまでに急成長したタイミーが7月26日にIPOしました。時価総額1,000億円超えでのIPOを果たし、日本を代表する成長銘柄に仲間入りしています。

スキマバイトサービスへの行政による規制の懸念もある中で、同社の成長は今後も続き更なる株価上昇がなされるか注目されます。

  • 7月26日、東京証券取引所グロース市場に新規上場した

スキマバイトのタイミーが7月26日にIPO

テレビCMでも知られるようになった、スキマ時間のアルバイトサービスを提供するタイミー<215A>が7月26日にIPO(株式上場)を行いました。アルバイトのマッチングシステムを開発し、更に多数の営業マンを配備することで事業者の利用ハードルを下げ、アルバイトのマッチングサービスをビジネスとして成功させてIPOに至っています。

急成長により今期は経常利益40億円の予想

タイミーは急成長しIPOを果たしました。下記が過去の業績推移です。

2020年10月期 売上高4.6億円、経常利益▲11億円、当期純利益▲12億円
2021年10月期 売上高12億円、経常利益▲13億円、当期純利益▲13億円
2022年10月期 売上高62億円、経常利益1.1億円、当期純利益2.5億円
2023年10月期 売上高161億円、経常利益19億円、当期純利益18億円

スキマバイトサービス「タイミー」のサービス開始は2018年8月です。その後、2021年10月期より売上高は加速度的に拡大し、2022年10月期には黒字化。2023年10月期には売上高100億円、経常利益10億円の大台を突破し、2024年を代表する急成長企業のIPOとなりました。

また、2024年10月期も売上高275億円、経常利益36億円の予想であり、IPO後も大きな成長が予想される状態です。

株価は今後の当面の成長を織り込む高い水準

タイミーは1,450円の公開価格に対し、初値は1,850円となり公開価格を27%上回る初値が付きました。ただし初値時価総額は1,760億円で(公開時点は1,379億円)、また初値時点の予想PER(※)は78倍(公開価格時点は61倍)です。

東証プライム市場の平均予想PERが約15倍・グロース市場が約50倍であり、高めの株価設定でのIPOとなりましたが、初値は更に上昇しました。ただし株価は今後の成長を相当先まで織り込んだ高い水準です。

※2024年10月期の予想EPS23.69円を利用し各予想PERを算出

人手不足という時代背景の中で望まれたサービスの提供で急成長を果たす

タイミーの顧客企業は物流・飲食・小売8割以上を占めており、それら業種はいずれも人手不足の業界です。これまでニーズがありながら実現できていなかった、スキマ時間のバイトサービスの提供に加え、国内の人手不足にも後押しされてタイミーは急成長しました。

国内の人手不足は人材関連サービスのビジネスチャンスとなっており、近年は複数の人材関連企業がIPOしています。その中でも「ビズリーチ!」のテレビCMで有名なビジョナル<4194>はIPO後も成長を続け、今や日本を代表する成長株です。タイミーもIPO後の成長が続き、ビジョナルに続く存在となる可能性もあります。

今後のリスク、行政による規制強化について

人材サービスは行政による規制リスクが存在します。人材派遣、業務請負など、時代とともに人材サービスはサービスの拡大と行政の規制がイタチごっこの側面が否定できません。スキマ時間のアルバイト市場が上場企業の出るほど急拡大した結果、今後行政から新たな規制が課される可能性は同社のリスクとして存在します。また高齢化社会を迎え社会保険料の確保が迫られる中で、アルバイトという社会保険料の枠外の存在が大きくなることにより、アルバイト分も社会保険料徴収などの負担が、同社顧客の事業者に生じる懸念もあります。

タイミーについては、事業及び市場自体が急成長したが故のリスクがあるといえるでしょう。また学生のスキマバイトの利用イメージがあるものの、学生の利用は16%に留まります。サービス利用者の約半数が40~60代で中高年層という点も、今後議論を呼ぶ可能性のある部分です。

成長を維持して更なる株価上昇なるか注目

近年のIPO銘柄は初値天井、もしくはそれに近い株価推移を見せる銘柄が多いです。時価総額1,000億円超でIPOしたタイミーの株価は、今後下落が続くリスクもあります。

高株価でIPOのデビューで高い成長が期待される中で、タイミーは今後も成長を維持して株価上昇を果たすことができるか注目されます。