物価上昇や円安等を背景に、さまざまなハイブランドの商品が新品・中古ともに値上がりを続けています。中古市場で特に人気の高いブランドのひとつが「カルティエ」。中にはここ15年で5倍に値上がりしているアイテムもあるそうです。

特に高い値が付くのはどのようなアイテムなのでしょうか。大手買取専門店「買取大吉」の鑑定士である木村健一さんに実際のところを聞きました。

カルティエ人気再燃で二次流通価格が高騰

――多くのブランド品の二次流通価格が値上がりしていますが、カルティエも値上がりが著しいそうですね。

はい。非常に高騰しています。昔から定番のトリニティリングを例に挙げると、15年ほど前は3万円でもなかなか売れませんでしたが、いまは中古でも15万円ほどの値が付くようになっています。

最近は、多くのブランドで昔流行ったものをリバイバルさせる動きが目立っており、カルティエも例外ではありません。以前は「ダサい」「古臭い」と思われていたものが、いまとなっては新鮮に受け止められていて「昔のものを使うのがかっこいい」という風潮が生まれています。

こうした背景からカルティエの人気も再燃しており、二次流通価格も高騰しているのです。

有名人の着用で憧れブランドに、男性にも人気

――ロゴを変えるなどブランドイメージを刷新して若年層の獲得に成功しているブランドもありますが、カルティエはそうではありません。にもかかわらず、若い世代も含めて人気が再燃しているのはなぜなのでしょうか。

著名人の影響が大きいのではないでしょうか。カルティエが海外セレブや若手女優によるSNSの私物紹介にしばしば登場することから、若い女性も憧れるジュエリーブランドになっています。

カルティエといえば時計が特に有名ですが、カルティエのヴィンテージウォッチはれっきとしたカテゴリーとして確立されていて、専門店もオープンしているほどです。

特に人気が高いのが「クラッシュ」という、熱によって変形した時計からインスピレーションを得たモデルで、世界的オークションで数千万円以上の値が付いています。

カニエ・ウエストをはじめとするラッパーがこぞって身に付けたことで注目が集まり、憧れの時計としてあがめられるようになりました。カルティエの時計は女性だけでなく、男性からも注目されていますね。

カルティエはもともと王侯貴族が身に付けるようなブランドでしたが、近年は「sacai(サカイ)」など若い世代に支持されるファッションブランドとコラボしたジュエリーも発売されており、ファッション感度の高い方もカルティエに注目するようになっています。

こうしてさまざまな角度からカルティエというブランドに注目が集まった結果、人気が再燃しているのです。

100万円近い買取価格が付くアイテムも

――幅広いアイテムを展開しているカルティエの中で、特に買取価格が上がっているアイテムはありますか?

やはり時計とラブブレスでしょうか。ラブブレスはここ10年で3倍ほど値上がりしています。時計なら「タンク」「サントス」「パシャ」が代表的で、中でも「タンク」が人気です。

――カルティエのアイテムを持っている場合、いまは売りどきでしょうか?

相場が非常に高騰しているので、売却するには絶好のタイミングです。ラブリングはダイヤモンドが入っているモデルなら100万円近い買取実績がありますし、トリニティリングも高いものなら100万円近い値が付くこともあります。

――カルティエの今後の相場はどうなっていくでしょうか?

ハイブランドが一度値上げした商品を値下げすることはないので、定価は年々上がっていくでしょう。また、昨今は大幅な円安が続いているため、二次流通価格も高くなる傾向にあります。日本国内で買い取った中古品を海外で販売するケースも多く、円安になると海外で高く販売できるぶん、買取価格も高くなりやすいためです。日本人はものを大事にきれいに使うため、日本の中古品は世界的にも高く評価されているんですよ。