富裕層はあらゆる分野にお金を使うのではなく、とくに重要と判断したものにお金をつぎ込む傾向があります。近年では医療分野もその1つで、健康維持・改善のため投資する富裕層も増えているようです。今回はスイスの銀行「ジュリアス・ベア」のレポートなどをもとに、富裕層の健康への投資について解説します。

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富裕層の健康への支出は増加傾向にある

スイスの銀行「ジュリアス・ベア」が発表したレポートの「グローバル ウェルス&ライフスタイル 2024」では、健康へ投資する富裕層が増えていることについて言及されています。世界の富裕層を対象に、ライフスタイルの支出の増加率に関して地域別に分析した結果、アジア・パシフィック地域では2位、北アメリカ地域では1位、ヨーロッパ地域では4位に「健康・医療」分野が入りました。

世界の各地域では、富裕層の健康・医療分野の支出が増加傾向にあります。特にアジア・パシフィックでは、前年とくらべて健康への支出が63%と大幅に増加しました。

健康・医療支出の大幅増には、医療費が単純に上がったという要因も含まれています。しかし、高級レストランやホテルなどに匹敵する増加率であるため、需要自体も増えていると考えられるでしょう。

日本でも近年は「健康寿命」という言葉が一般的になり、心身ともに健康でいられる期間をできるだけ長く維持するよう、富裕層も熱心に取り組んでいるようです。

収入と健康意識には相関性がある

億万長者で早くなくなる人はあまりいない、というイメージはありませんか?実際に、収入が多い人ほど寿命も長いことを示す調査データもあります。

アメリカで発表された論文では、最も高収入である1%の層と、最も低収入の1%の層には、大きな平均余命の差があると発表されました。

さらに、その後継続して行われた調査結果にも変化がありました。最も低収入の下位5%では、平均余命にあまり変化がありませんでしたが、最も高収入である上位5%の平均余命は、男性が約2年、女性が約3年延びました。

この平均余命の差は、健康行動と関連していることが示されています。具体的には、喫煙・肥満・運動の3つです。収入と健康意識には相関性があり、資産や収入が多いほど、健康意識も高いといえます。

富裕層が健康・医療で行っている取り組みは?

調査結果からも分かるとおり、富裕層は健康を財産と捉え、積極的に維持・改善に努めています。ここからは具体的な取り組みについて見ていきましょう。

フィットネスジム

運動を習慣にしている富裕層は多くいます。富裕層の仕事はデスクワークが多く、そのままでは運動不足になるため、運動が重要と認識しているのです。

日本にも富裕層向けの高級フィットネスジムがいくつかあります。例えば「NAGOMIスパアンドフィットネス」 はグランドハイアット東京に併設されたジムで、天然石造りのプールや最先端のトレーニングマシンを利用できます。

「ヒルズスパ」 は港区内で展開しているスパ&フィットネスクラブで、六本木ヒルズ、アークヒルズ、愛岩グリーンヒルズ、元麻布ヒルズに施設があります。提供しているサービスも、トレーニングやマッサージはもちろん、ダイニングまであり豊富な内容です。

高級人間ドック

病気の予防に熱心な富裕層に人気があるのは、高級人間ドックです。「エグゼクティブホスピタル」は富裕層を対象とした医療サービスで、最新の医療機器はもちろんのこと、美容治療や検査後の懐石料理などが用意されています。

一部のエグゼクティブホスピタルは大学病院とも連携しており、病気が見つかった場合はすぐ治療を開始できるような仕組みを整えています。

デンタルケア

芸能人だけでなく、富裕層も口腔のケアを非常に重視しており、ホワイトニングや矯正をする方が多く見られます。ビジネスでは自分の表情が他人にどのような印象を与えるかも重要で、歯が表情にもたらす影響は大きく、歯並びの良い綺麗な口元のほうが好感を持たれることは間違いありません。

見た目だけでなく、歯は全身の病とも密接に関連しているといわれるため、適切なケアが必要です。富裕層は定期的にデンタルクリニックに通い、歯のメンテナンスに時間とコストをかけています。