億万長者がお金を増やすためにどこに投資をしているのか、興味のある方は多いでしょう。不動産、株式、コモディティなどさまざまな投資の選択肢があります。この記事ではグローバルの超富裕層のコミュニティ『TIGER 21』のメンバーの資産の配分先について紹介します。
超富裕層コミュニティ『TIGER 21』とは?
『TIGER 21』とは、超富裕層の起業家・投資家・経営者が集まる、グローバル規模のコミュニティです。世界の53都市に拠点を構え、123のグループがあり、1,450人を超えるメンバーが加入しています。
超富裕層に生じる問題や課題を乗り越えるために互いに学びあうことを目的としており、機密性・信頼性も重視したネットワーク組織となっています。
会員は招待制で、メンバーとして相応しいと判断された仲間のみ加わることが可能です。入会の際には、キャラクター・組織への貢献・資本などの要素で徹底的に審査されます。
活動内容としては、12~15人で行う毎月のグループミーティング、コミュニティにいつでもアクセスできるアプリ、グローバルで開催される『TIGER 21』の特別イベント、会員限定の金融・保険サービスなどがあります。
超富裕層はライフスタイルや考え方が一般人とは異なることも多く、孤立しやすい側面も。TIGER 21のようなコミュニティで理解しあえる仲間に出会いたいと考える億万長者もいるでしょう。
『TIGER 21』メンバーの資産配分
『TIGER 21』のメンバーは起業家・投資家・トップエグゼクティブで、その多くは最近事業を売却しており資産の保全に大きな関心があります。1,450人を超えるメンバーが管理する資産額は、合計1,650 億米ドル超、日本円では約25兆円とかなりの規模です。
『TIGER 21』の創設者兼会長であるマイケル・W・ゾンネンフェルト氏のレポートによると、会員の資産配分(2023年第3四半期~2024年第2四半期)のランキングを見てみると、1位はプライベート・エクイティ、2位は不動産、3位はパブリック・エクイティという結果になりました。
1位:プライベート・エクイティ
もっとも多い割合を占めたのは、プライベート・エクイティで28%です。プライベート・エクイティとは「未公開株式」で、株式市場に上場していない企業の株式のことです。
具体的な投資方法はいくつかありますが、未公開株式に投資するファンド(PEファンド)を利用するケースが多いです。未公開株式は高い利回りが期待でき、その分リスクもありますが、海外では富裕層向けに需要が増えています。
『TIGER 21』メンバーの場合、過去15年間では不動産が最大の割合を占めていましたが、近年はプライベート・エクイティが不動産を抜いています。
2位:不動産
不動産は2位に落ちたものの、依然として20%以上の割合を占めています。『TIGER 21』のメンバーは過去15年間で不動産による資産構築が進んだため、新たな成長性を求めてプライベート・エクイティをより重視する方向に進んだということです。富裕層が不動産を見切ったり手放したりしたわけではありません。
『TIGER 21』のメンバーは問題のある不動産に投資をし、ダイナミックな不動産市場でのチャンスを有効活用しようとしています。例えば十分に活用されていないオフィスビルを売却しようとしている売り手に対し、メンバーはそれを将来の住宅またはホテルの提供と見なし、改修費用をかけて魅力的なチャンスを生み出すことが可能です。
3位:パブリック・エクイティ
パブリック・エクイティとは、株式市場に上場した企業の株式のことです。富裕層ではない方も多く取り組んでいる一般的な株式投資です。『TIGER 21』メンバーがこの分野で重点的に投資してきたのが「マグニフィセント セブン」として知られるアメリカの大手テクノロジー企業グループで、結果としてメンバーに大きなリターンをもたらしました。具体的にはApple、Microsoft、Amazon、NVIDIA、Meta、Alphabet、Teslaの7社です。
『TIGER 21』のメンバーはパブリック・エクイティの割合を多少縮小させていますが、依然として主要な資産の1つと捉えており、資産の21%を配分しています。特に、インデックスファンドや上場投資信託へ集中させている傾向です。
6位:ヘッジファンド
16年前にヘッジファンドへの配分割合は12%でしたが、そこから2%にまで減少しました。『TIGER 21』の会長のゾンネンフェルト氏によると、ヘッジファンドへの投資は「死んだ」状態とのことです。
多くの『TIGER 21』のメンバーは、リスク調整後の手数料控除後の収益は、インデックスファンドの方が優れていると考えています。