Macユーザにも馴染み深い存在となった「SDカード」。そのMacにおける位置付けと初期化に関する注意点、データサルベージ術について、2回にわけてお届けする。
Macにも「SDカード」が必要だ
MacにはじめてSDカードスロットが採用されたのは、2009年に発売のMacBook Pro(13/15インチ、Mid 2009)から。この決定は多くのユーザに歓迎され、以降MacBook ProシリーズとMacBook Air 11インチ、Mac miniとiMacにはSDカードスロットが標準装備されている。
いまとなっては昔話だが、つい数年前までは多様なメモリカードが利用されていた。Panasonicや東芝が推す「SDカード」、SONY製品を中心に採用された「メモリースティック」、デジタル一眼レフカメラなど高速データ転送が求められる機器には「CFカード」。「スマートメディア」や「xDピクチャカード」もあった(どちらも製造は継続されているが)。 現在ではSONYがSDカードに参入したこともあり、かなり大雑把だが、コンシューマ向けはSDカード、プロシューマ向けはCFカードと、新製品では棲み分けがなされている。CFカードについては、高速規格の「XQD」と「CFast2.0」が最近登場したが、現状AV・カメラ製品はSDカードとCFカードが2強と言っていい。
AppleがSDカードスロットの採用を決めたことは、自然な流れだ。デジタルカメラ・ビデオとの連携が強く求められる現在、外付けのカードリーダが必須では効率が悪く、USBポート1基を占有する悩みも生じてしまう。現在MacBook Air 11インチには搭載されないが、ニーズの高さとUltrabookの状況を考えると、次期モデルでは追加を検討してほしいところだ。
初期化は専用フォーマッタで行うべし
Macの場合、デジタルカメラ/ビデオとの連携がSDカードスロットが主な役割だが、当然ながら汎用ストレージとしても利用できる。Windowsマシンなど他のPC/OSとまとまった量のデータをやり取りするために使えるし、起動ボリュームとして使うことも可能だ(参考記事)。
2010年6月以降に発売されたMac(OS X 10.6.4以降)の場合、最大2TBという大容量に対応した「SDXCカード」を利用できる。最近では、32GB、64GBといった大容量カードも安価となり、いよいよ従来の常識にしばられない使い方が見えてきたともいえる。
そのSD(SD/SDHC/SDXC)カードだが、OS X標準装備の「Disk Utility」で初期化しないこと。SDXCで定めるフォーマット形式(exFAT)に対応するうえ支障なく初期化も完了するが、カード本来の性能を発揮できず互換性の問題が生じる可能性がある。SDカードの業界団体「SD Association」が無償配布するOS X用フォーマッタを利用すべきだ。
このフォーマッタの動作条件は、OS X 10.6.5以降。現在配布されているバージョンは2種類(v3.1/v4.0)があり、前者はOS X Mountain Lionでは動作しないので注意しよう。
SDカードをうっかり初期化……そんなときには
Time Machineが登場して以降、HDDクラッシュが怖くなくなった。かつては大量のデータを消失しては途方に暮れたものだが、外付けHDDをつなぎ放置するだけで一切合切をバックアップしてくれるTime Machineのおかげで、ディスクリカバリーを考えずに済むようになった。
しかし、Time Machineが対象とするディスクは(原則)内蔵ドライブのみ、リムーバブルなSDカードの場合そうもいかない。写真や動画の場合、まめに取り込むことで対処できるが、ついSDカードに貯めるがままにしてしまう向きも多いはずだ。ああ、耳が痛い。
というのも、先日うっかりSDカードを初期化(しかもDisk Utilityで)してしまったのだ。大切な画像が記録されていたので、なにがなんでも取り戻したいのだが、iPhotoに取り込む前だったのでTime Machineには頼れない。打つ手はないのか?
そんなとき「PhotoRec」というツールの存在を思い出した。CUIだがOS Xでもしっかり動作するうえ、無料で利用できる。次回は、このPhotoRecを利用したデータサルベージ術を紹介したい。