先ほど、仕事場にイー・モバイルのHSDPA端末「D01HW」が届きました。これで念願の定額制高速無線通信が可能になるわけですよ! 早速いろいろ試してみたいと思います。
さて、今回はただいま米国で話題沸騰中の「iPhone」について。実物は手にしていないため、機能の紹介や操作感についてではなく、コアにOS Xと同等のシステムを備えるプラットフォームとしての特徴、あるいは今後の方向性などについてあれこれ書いてみたいと思う。
OS Xに第3のアーキテクチャ登場
まずはハードウェアアーキテクチャの面から。iPhoneには噂どおりARM製チップが搭載、海外のサイトに掲載された分解記事によれば型番はARM 339S0030/K4X1G153PC-XGC3で、表面にはAppleのロゴが刻印されている。型番から察するに製造元はSAMSUNG、iPhone向けにカスタマイズされたいわゆるSoC(System On a Chip)らしい。
SAMSUNGのWebサイトに一致する型番を確認できないためチップの素性はわからないが、1つ確実にいえるのは、ARMはOS Xにおける「第3のアーキテクチャ」であること。iPhoneがクローズドなプラットフォームであることをAppleが認めているため、Xcode Toolsでビルドして云々という使い方は期待できないが、PowerPCからIntelへの移行が予想以上にスムースだったように、iPhone用アプリケーション(ウィジェット)が充実する時期は意外に早いかもしれない。
ARMの採用についてだが、筆者にはiPhoneで打ち止めとは思えない。ARMは低消費電力かつモバイル / マルチメディアに強いSoCであり、iPhoneの開発でARMに関するノウハウがAppleに蓄積されただろうことをあわせると、今後も小型デバイスに採用される可能性があるという結論に達してしまうのだ。カラー化 / 動画対応によりモノクロ時代の軽快なレスポンス(特にホイールを早回ししたとき)が失われたといわれるiPodも、高速化が見込まれるARMアーキテクチャに移行する可能性がないわけではないはず。そうなれば、Cover Flowのような重い処理もこなせるようになると思うのだけれど……。
iPhoneのソースコードは公開されるのか?
iPhoneはクローズドなものの、システムはOS Xベースであり、カーネルなどシステムのコアな部分とWebブラウザのSafariについては、間違いなくオープンソースの技術が利用されている。UNIXコマンドなどは省略されているにしても、Darwinとして公開されているプログラムのうち幾分かがiPhoneに収録されていても不思議ではない。
クローズドと聞いて黙っていないのが、フリーソフトウェアの総本山「FSF」。iPhone発売前日の28日には、プレスリリースを発行し、iPhoneはユーザの権利を制限しているとAppleの姿勢を非難した。
また文書の中では、具体的な事例は示されていないものの、ライセンスにGPLを適用するソフトウェアが含まれている可能性を示唆している。OS Xの主要部分はAPSL 2.0でライセンスされているため、一般向けにソースコードを公開する義務はないのだが、GPLなコードの存在が確認されたとすると問題だ。
これは筆者の個人的見解だが、AppleはiPhoneに収録されたプログラムの一切についてソースコードを公開しない可能性が高い。OS Xの技術が利用されているものの、いわゆるコンピュータではなく家電であり、しかも特定のハードウェアと密接に結びついているため、汎用性を持たせる必要がないからだ。もしFSFの推測どおりGPLなコードが含まれていたとしても、その部分を排除して代替品を用意するだけのことだろう。
早速"なんちゃってiPhone"が登場!
世に(新し)もの好きは多いようで、iPhoneの発売と前後して早速"なんちゃってiPhone"が登場した。iPhoneyと名付けられたこのソフト、iPhoneでのWebブラウジングをシミュレートする働きを持つ。つまんだり開いたりといった指のジェスチャーを使えないうえ、現在のバージョンでは滑らかに拡大 / 縮小することもできないが、Webの画面を縮小して全体を俯瞰する機能はバッチリ対応している。
ちなみにこちらはオープンソースで、ライセンスはGPL。改変も再配布も自由なので、いつになるかわからないiPhoneの日本での発売を夢見つつ、iPhoneyをイジり回すのも面白いのでは?