今ラグビーが空前の盛り上がりを見せている。

この記事が載る頃には大会も終わりにさしかかっているのだろうが、ラグビーワールドカップの件だ。しかし最初に断っておくと、私は今回のラグビーワールドカップをほぼ見ていない。

大衆が盛り上がっていることに反発を覚えるという、サブカルクソ野郎精神がないとは言わない。しかし、もともと、何をしていてもすぐに綿ぼこりとかを追いかけてどこか行ってしまうという落ち着きのなさから、スポーツ観戦、というものがまともに出来ない体質なのでご容赦いただきたい

だが、そんなサブカルクソ幼稚園児の私の耳にも「日本代表大快進撃」のニュースは届いている。どのくらい快進か、私の持つ情報全てを使って説明すると、日本代表は「全部勝って予選を突破した」らしい。

世が世なら非国民として銃殺されても文句が言えない気がするが、私がまだ拘束されていないところをみると、日本もだいぶ大らかになってきた、という感じがする。

しかし、暗いニュースばかり続く日本において、ここまで明るい話も珍しい。私も日本の勝利自体は嬉しい。正直、白熱の試合より、目の前のゴミを追いかけてしまうわが身が恨めしいぐらいだ。

しかし、スポーツと言えど人間のやることなので、嫌なもめ事が起こることもある。今回のラグビーワールドカップ予選でも、あまり爽やかでない出来事があったようだ。

そんなわけで、今私は、日本の快進撃の内容をほぼ知らないまま「嫌な事件」の方だけをピンポイントで調べている。実にサブカルクソ野郎にふさわしい仕事中だ。

選手が言ってたわけではないのが救い

先日、台風19号が上陸し、各地に甚大な被害を与え、今も復旧作業は続いている。歴史的超大型台風という情報から、早くから中止を決めたイベントも多かった。

ラグビーワールドカップも中止が検討されたイベントの一つであり、実際中止された試合もある。そんな中止の検討中、意義を申し立てたのが、日本と同予選リーグで日本との対戦を控えていたスコットランドである。

「もし日本VSスコットランドの試合が中止になったら、法的措置も辞さない」という、俺たちが良くツイッターで言っているようなことを言い出したのだ。

もし試合が中止になれば、引き分け扱いで両チームに同じ勝ち点がはいる。

ここまで全勝の日本に対し、スコットランドはすでに1敗していたので「スコットランド的にそれはちょっと困る」と言うことなのかどうかは知らないが、とにかく日にちや会場を変えてでも試合をすべきと主張したのだ。

ちなみに、試合中止の際は延期せず、引き分け扱いというルールは事前に決められており、それにスコットランドも承諾していたため、開会主催者のワールドラグビーもスコットランドの主張には「残念」と苦言を呈している。

結局、試合は中止することなく行われたのだが、行われると決まるや、スコットランドは「準備に関わった人に感謝する、台風の被害に関してはお見舞い申し上げる」というような声明を出し、さらに反感を買っていた。

そして結果は「日本全勝」と言った通り、日本はスコットランドに勝利した。全勝もまたとない明るい話だが、これも空前絶後のスカっとする話である。憤死の反対で「スカっと死」してしまった人もいるのではないか。

「ざまあ」と思った日本人がいたのはもちろんだが、海外もこの件に関しては、日本のツイ廃顔負けのスコットランド煽りを展開しているという。

「連合王国の恥さらし」など「あいつは四天王最弱」みたいな意味のことが、とても翻訳不可能な罵詈雑言で書かれているようだ。また「法的措置」という言葉を逆手にとられ「スコットランドは試合を中止しなかったことに法的措置を取る準備を始めている」等のウイットに富んだ皮肉も多く寄せられている。

試合中止を巡るスコットランドの態度からすれば、当然の反応とも言えるが「いつまでも、その件で、少なくとも試合を頑張った選手を批判するのも、ノーサイドの精神に反する」という意見も出ている。

もちろん「ノーサイド」の意味は知らないので今ググったが、つまり「試合が終われば敵も味方もなくみな仲間だ」という意味である。

確かにそうなのだが「まさかそのノーサイド精神もスコットランドが主張しているのではないか」と多少疑ってしまった。

ここまで顕著でなくてもスポーツにおいて「ルールの方が俺たちに合わせろ」問題は少なからず、どの競技でも起こっているのかもしれない。

「俺たちが勝てないのはどう考えてもルールが悪い」というのは、スポーツに限らず、この世のルールで勝てない俺たちがよく主張することである。

確かにルールも所詮人間が考えたことなので完璧ではないだろう、ラグビーワールドカップのルールもこれが正しい、とは言い切れない。しかし、それを大マジで強硬に主張すると、後でさらにキツイことになってしまう、ということも覚えておかなければならない。

少なくともスポーツは、ルールを変えるより今のルールでどう勝つかを考えた方が良いし、手っ取り早いはずだ